MENU
伊藤あおいの試合予定と結果は
データで深堀り

伊藤あおいのポテンシャルを表す数字の巻

有明
tennis udon

テニスうどん
テニスうどん

えっ!どういうこと?ブレークポイントセーブ率100%?

 全豪オープンに向かう伊藤あおい選手が、その前哨戦となるWTA125ワークデイ キャンベラ国際で、見事初優勝を飾った。決勝を含め5試合を戦い抜き、その強さの一端を垣間見る驚くべき数字をWTA公式サイトから見つけてしまった

スポンサーリンク

 テニスをした方なら分かってもらえると思う。想像してほしい。自分のサービスゲーム。ブレークポイントを迎えたピンチ。これを切り抜けるセーブ率は、どれぐらいだろうか。自分が勝った試合の感覚的に言えば6割を超えれば、よく粘れたなという感じではなかろうか。それがだ!

▶伊藤あおい選手の「キャンベラ国際」サーブ時ブレークポイントセーブ割合

ブレークポイントBPSAVE割合BPSAVE
1回戦73.3%1511
2回戦100%
準々決勝60%10
準決勝62.5%
決勝100%
通算86.6%4539

 な、なんと100%が2度もあるではないか。力の差が歴然で、ブレークポイント1、2度をセーブしたというなら合点もいくが、そういう話ではない。特に108位と格上のサスノビッチ(ベラルーシ)との2回戦。8度のブレークポイントをことごとくしのいだ。欲しいポイントを、面白いように奪って6ー1、6ー2と圧倒してしまった。決勝のウェイ・スジャ(中国)戦でも4度をすべて死守。この差がオールサービスキープの6ー4、6ー3に。「なんか優勝できました」とのおとぼけ? あおい節につながった。

 5試合合計は迎えたブレークポイント45度中39度セーブ、なんと驚異の86.6%!

 逆に、自らリターンで迎えたブレークのチャンスで、奪ったポイント割合はどうだったかというと

▶伊藤あおい選手の「キャンベラ国際」リターン時ブレークポイント奪取割合

ブレークポイント奪取割合BP奪取
1回戦46.2%13
2回戦30.8%13
準々決勝66.7%
準決勝63.6%11
決勝42.9%
通算49.1%5326

 ブレークポイントを迎えれば、ほぼ半分、ゲームを奪ってしまう。これまた素晴らしい数字だ。

 相手のプレッシャーがかかる場面で「フォアスラ」で「あおい沼」に陥れ、まんまとゲームを奪ってしまう。こちらは、なんとなくイメージできていたが、やはり彼女自らのサービスゲームで、ブレークポイントをしのぐというのは、想像できない。確かにワイドのスライスサーブは素晴らしいが。この5戦のサービスエースはすべて1試合1本だけ。だというのに、まるで全盛期のATPビッグサーバー、カルロビッチやラオニッチのような数字ではないか。

 すべてストレートの完全優勝だったので、偶然かもしれない。気になったので、昨年末(2024年)データも見てみた。5試合以上戦ったWTA選手のブレークポイントセーブ率ランクは、どうだったのか。

▶2024年WTAブレークポイントセーブ率、主な上位(5試合以上出場選手に厳選)

選手名割合
ルル・サン66.9%
シフォンティク66.1%
13サバレンカ61.2%
14伊藤あおい60.9%
15ガウフ60.6%

 これまた上位14位入り! 言わずとしれた世界ランク2位シフォンティク、1位サバレンカと遜色ない数字。同3位ガウフを上回っている。

 初優勝したツアー内、5試合だけの86.6%という数字では、統計学的には信憑性は、やや落ちると言われるかもしれない。昨年10月から出始めたWTA(香港オープン、木下オープン)の5試合と合計した。すると、90回許したブレークポイントのうち、しのいだ回数65。確率なんと72.2%。ここまでくると偶然ではないだろう。

 サーブ力がまったく違う男子と比べるのもおかしいのだが、ATPの最近52週の、同データ上位ランクはというと、1位シナー73.7%、2位ベレッティーニ73.4%、3位シェルトン72.5%、4位ブランドン・ナカシマ71.1%。いずれも強烈なビッグサーバー。

 伊藤の70%超というのがいかに特筆すべき数字かというのが分かるだろう。強烈なサーブ1本なら諦めもつくというもの。ではなく、スライス、ムーンボール、ダウンザライン、スニークインといった戦術による大事なポイントの奪取。取れそうでゲームが取れないという、相手選手にとって、これほどメンタルを痛めつけられることはないだろう。これこそまさに「あおい沼」だ。

TBS NEWS DIGさまからの動画です

Xからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
ABOUT ME
テニスうどん
テニスうどん
駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました