伊藤あおいの競り合う力


万全ではない状況で接戦
伊藤あおい選手がBNPパリバ・オープンの予選決勝で敗れた。世界136位のM・イングリスに6-7(4),5-7。前々日の予選1回戦の試合中に痛めた右足をふくらはぎまでテーピングした状態で時折、足を引きずりながら、何度もコートに転がりながらプレーした。
トータルポイントは第1セットは40対42の2ポイント差。第2セットは40対41ポイントの1ポイント差。マッチ通算でもわずか3ポイント差の接戦だった。あらゆるスタッツがほぼ互角。ブレークポイント9度中6度しのいだイングリスに、わずかに軍配が上がった。
イングリスと伊藤の セットごとのトータルポイント | ||
イングリス | 伊藤 | |
42 (51.2%) | 第1S | 40 (48.8%) |
41 (50.6%) | 第2S | 40 (49.4%) |
83 (50.9%) | マッチ | 80 (49.1%) |
イングリスと伊藤 のセットごとのサービスポイントウォン | ||
イングリス | 伊藤 | |
59.0% (23/39) | 第1S | 55.8% (24/43) |
60.0% (27/45) | 第2S | 61.1% (22/36) |
59.5% (50/84) | マッチ | 58.2% (46/79) |
イングリスと伊藤のセ ットごとのレシーブポイントウォン | ||
イングリス | 伊藤 | |
44.2% (19/43) | 第1S | 41.0% (16/39) |
38.9% (14/36) | 第2S | 40.0% (18/45) |
41.8% (33/79) | マッチ | 40.5% (34/84) |
相手のイングリスは2022年全豪オープンで3回戦進出の実力者。敗れた伊藤だが、万全ではない状況で、2セット計1時間49分、ここまで競り合ったのは、むしろ称賛に値するだろう。
不利な状況でブレークバック
故障している状況でコートに立つ自分を想像して欲しい。先に相手にリードを許した展開になると、イッキにメンタルが沈み、あっという間にゲーム差を開けられてしまうというのが、普通ではないか。だが、伊藤は違った。
第1セットはタイブレーク。2-1伊藤リードから5ポイント連続失点した後、2ポイントを返す粘りを見せた。結果は4-7。
ゲーム運びでは、タイブレーク以上の粘りを見せた。
第1セット、キープキープでゲームカウント1-1。先にイングリスにブレークを許して1-2とリードされる。だが、その直後のゲームをすかさずブレークバックして2-2に。
その後、互いにキープキープが続き5-5からの第11ゲームを、またも先にイングリスにブレークされる。伊藤から見て5-6で相手のサービング・フォー・ザ・セットのゲーム。ここでも伊藤はブレークバックしてタイブレークに持ち込んだ。
第2セットは第1ゲームを最初に伊藤がブレーク。しかし続く自らのサービスゲームをブレークされ1-1。以降はキープキープ、5-6で迎えた第12ゲーム。伊藤がデュースの末、ついにブレークを許し敗退。ここまで両者の間に2ゲーム差が開くことは1度もなかった。
特に第1セットを落とした後の第2セット。最初の第1ゲームでリードした以外、すべて伊藤が追いかける展開となったが、最後の最後まで足を引きずりながら、食らいついた。
WTA1000予選でも同じ
WTA1000の出場3大会連続本戦入りは逃した。しかし、この予選6試合で5勝1敗。5勝した相手の世界ランクは94、70、83、40、127位。今回134位のイングリスに敗れるまで、112位の伊藤は、ほぼ格上か同等の選手を相手に、見事に競り勝ってきた。
振り返ってみよう。2月14日のドバイ選手権の予選1回戦、83位T・タウンゼント戦、第1セットを奪って迎えた第2セット4-4から。伊藤が第9ゲームをブレーク、第10ゲームをキープして6-4。
2月15日の2回戦、40位A・クルーガー戦。第1セット5-5。伊藤がキープし6-5。第12ゲームをラブゲームでブレークし7-5。
3月3日、BNPパリバの予選1回戦、127位D・スニガー戦の第3セット。互いに3度ずつのブレークが続いてファイナルセット4-4。続く第9ゲームで、伊藤がデュースの末、このセット4度目のブレークに成功し5-4。最後は自らのサービスゲームをキープして勝利を決めた。
ゲームカウント4-4,5-5あたり、セット終盤の強さを存分に見せつけた。メンタル勝負になれば、百戦錬磨の格上相手にも、引けを取らない。
競って勝つスタイル
簡単にミスはせず、もつれたゲーム展開にすれば、相手にプレッシャーがかかり自滅を誘発しやすくなる。伊藤は、そんな自分の「イヤらしさ」、「沼スタイル」を十分に、わかっているのだろう。だからこの日、故障を抱えていても、いくら逆境になっても、簡単には諦めなかった。
第2セット5-5、イングリスサービスゲームの40‐30。伊藤は積極的なバックのリターンから、バックのクロスの打ち合いでチャンスをつかみ、得意のスニークインでネットへ。
あとはフォアのドライブボレーでウィナーを取るだけの展開だったが、これをまさかのミス。おそらく右足を軸にする際に、力が入らなかったのだろう、通常ならあり得ない転び方をした。
伊藤は、このミスで、このゲームを落とし5‐6。先に勝利まで残り1ゲームに迫ったイングリスは、次の伊藤のサービスゲームで積極的に攻めていき、そのまま勝利を手にできた。
このドライブボレーをミスした第11ゲームをデュースに持ち込めていれば、また違った展開になったかもしれない。
プロである以上、コートに立った以上、伊藤はこのわずかなゲームのアヤを「言い訳」にする気などないだろう。
悔しさはコートの上で晴らすしかない。ジリジリしたゲーム展開をひょうひょうと制する姿を今度こそ。万全な状態で、いち早くコートに戻ってきてくれることを願うばかりだ。

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