MENU
伊藤あおいの試合予定と結果は
データで深堀り

伊藤あおい足引きずりながら勝利

伊藤あおいスニガー戦スコアとコートの写真
tennis udon

まさに激闘を制した。伊藤あおい選手はBNPパリバ・オープンの予選1回戦で、D・スニガー(ウクライナ)を4-6,6-1,6-4と逆転で破った

スポンサーリンク

相手選手は伊藤より2歳年上で世界ランク127位。格下にも思えたが、実は2019年のウィンブルドンジュニア王者だった。ITFのシングルタイトルを7個とっており、2019年のITFジュニアファイナルでは準優勝した実力者。将来を嘱望されている選手だった。

トータルポイントウォンは伊藤51.2%に対してスニガー48.8%。ポイント差わずか5ポイントの激戦。サービスポイント、リターンポイントとも、伊藤がトータルでわずかに制す、まさに紙一重の勝利だった。

スニガーと伊藤のポイント獲得率
スニガーマッチ伊藤
49.5%
51/103
サービス
Pウォン
52.0%
52/100
48.0%
48/100
リターン
Pウォン
50.5 %
52/103
48.8%
99/203
トータル
Pウォン
51.2 %
104/203

第1セットはウィンブルドンJr王者の実力が際立った。伊藤は強力なフォアバックのダウンザラインでウィナーを奪われ、3度のブレークを許す。自身は2度ブレークしたものの、4-6で落とした。

第2セットは逆に伊藤の真骨頂が発揮された。4度のブレークポイントを許すもすべて死守。ブレークポイントセーブ率100%(4/4)。強風の中、ムービングボール、フォアスラを駆使した。どちらかといえば強打一辺倒の相手を「沼」にはめた。

1セットオール。ファイナルセットにかけるスニガーは、なんとか慎重さを取り戻す。しかし、伊藤の「らしさ」が再び出たのが、ゲームカウント1-1の相手サービスゲーム。アドバンテージ伊藤の場面。バックのスピンサーブをクロスにリターンした伊藤。中央付近の返球をドロップ気味のフォアスラで、再びバックの打ち合いに持ち込む。

相手が前に出てこないとみるや、コート中央、一番ネットが低い浅い所へ両手バックで返球。そのままフォアスラで前に出ることになったスニガーに対して、伊藤の選択はロブ。スピンロブではない。両手バックでフラット気味に高々とあげた。ベテランテニスでよく見る、あの「光景」だ。

これをスニガーはスマッシュミスし、ネットにかけた。

影は真下にあった。完全に太陽がまぶしい逆クロス気味のロブを狙っていたのだろう。まして強風、プレッシャーのかかる相手のブレークポイント。すべて計算づくでスニガーの厳しい状況をつくりあげたのは、間違いなく伊藤本人だった。

だが、試合はこのままで終わらなかった。ファイナルセット4-4の相手のサービスゲーム。15-30と、伊藤リードの大事なポイントで、アクシデントが起こった。センター付近の打ち合いから、スニガーがバックハンドクロス。序盤から散々、ダウンザラインに攻め込まれ、ストレートに意識が合った伊藤は逆をつかれ、右足をひねって倒れ込んでしまう。

コートレフリーが慌てて審判台から駆け寄り、観衆がどよめく。そのまま棄権かと思われたが、メディカルタイムアウトをとり、伊藤はコートに戻った。右足は足首からふくらはぎまで、テーピングで完全に固定された状態で、最後まで戦うことを決めた。

この後のこのゲーム、伊藤は足を引きづりながらスニガーの強打に対抗。相手のミスを誘い出し、このセット4度目のブレークに成功した。次のサービスゲームでは、ショートクロスやドロップボレーを駆使。あまり動かなくても済むショートポイントで、ついにマッチポイントを迎えた。

最後、相手のバックハンドがネットすると、そのままコートに倒れ込んだ。ラケットを杖のようにして試合後のあいさつをしにいかなければならない状況だった。

次戦の予選2回戦の相手は、第10シードのA・ボンダールを破ったM・イングリス(オーストラリア)となった。1日空くが、回復というまでには時間が足りない可能性の方が高いだろう。

勝てば出場3大会連続WTA1000の本戦出場となるが、無理はしてほしくない。それでも、相手に難しい状況をつくり、自分は困難な状況に追い込まれても、なんとか切り抜ける。伊藤の「テニスIQ」の高さを存分に示してくれた試合だった。

伊藤あおい前戦ベンチッチ戦
2025年伊藤あおい次戦日程と予定
合わせて読みたい
伊藤あおいの競り合う力
伊藤あおいの競り合う力
Xからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
ABOUT ME
テニスうどん
テニスうどん
駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました