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伊藤あおいの試合予定と結果は

伊藤あおい狙ってサービスエース9本

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世界101位の伊藤あおい(20歳)が4月23日、「安藤証券オープン」1回戦(東京)に登場し、世界171位のE・ベクタス(32歳=米国)を6-3,6-4のストレートで下した。

サービスエースは何と9本。相手の2本を大きく上回った。

失礼ながら球速が極端に上がったとか、凄まじい回転数だったという話ではない。

「わずかに違う」ということこそ、伊藤のエース量産の秘密だった。

エース9本の内訳を見ると、

明らかに欲しいポイントで狙ってノータッチを奪っていることが分かる。

第1セットは6本。うち、自ら5-3アップのサービング・フォー・ザ・セットの

第9ゲームに4本が集中した。

まず欲しい最初のポイント、少しスライス回転を増やしたワイドサーブで先行。

デュースにもつれ込み一番苦しいシーンでも3本。アドバンテージサイド、相手のブレークポイントではフラット気味の普段より浅めのサイドラインを狙ってエース。

スライスの回転量を少し増やしたサーブの連続エースでセットを締めた。

第1セット D=デュースサイド、A=アドバンテージサイド
1-140-15D=センター
4-215-0A=ワイド
5-30-0D=ワイド
5-3相手ADA=ワイド
5-340-40D=ワイド
5-3自分ADA=ワイド
第2セット
3-40-30D=ワイド
3-440-40D=ワイド
5-415-15D=ワイド

第2セットは3本。いずれもゲーム終盤に集中。

すべて回転量を少し増やしたスライスワイドだった。

いくらプロの世界であれ、通常、欲しいポイントほどサービスは力んでしまうものだ。伊藤の場合は、それが逆だった。力より相手の読みを少し外すことに重点を置いた。

むしろ球速自体は落ちていた。

代わりに、わずかにスライス回転を増やしたり、わずかにフラットにしたり。

ほんの少しだけコースが良かったり、伸びがあったり、わずかにクイックモーションで打ったり。

ファーストサーブだけではない。相手ブレークポイントのセカンドサーブでも、従来のペースより速いサーブや深いサーブで何度も相手を差し込まさせていた。

エースにならなかったサービスでも、ほんのわずか内側に入っていれば、ノータッチになっただろうサーブは、まだまだ何本もあった。

常に最大限のパワーで最良なコースにサーブを狙いたいのが、並のプレーヤーだとしたら、

大事なポイントだけ、相手に分からない程度に球速、プレースメント、回転量、自分のモーションを「ギアチェンジ」する頭脳的なサービスを駆使していたのが伊藤だった。

相手にしてみれば

たまたまラインに載っただけ、と思い込みたくなるようなシーンの連続で、そのままマッチが終わってしまった感覚だろう。

ゲーム運び、ポイントの奪い方でも戦略的だった。

どのポイントも失いたくない、一方的な展開で勝ちたいと考えるのがアスリートの本能だろうが、伊藤の場合は、勝負どころの奪取を楽しんでいるかのようにすら映った。

第1セットでは第6、7ゲームで8連続ポイントを奪った。自らのサービスゲームを落とし事実上タイとされた3-2から、ラブゲームブレーク&ラブゲームキープ。一気の攻勢でリードを奪い、最後の山場となった第9ゲームは4度のデュースの末、この日の切り札の「わずかに違うサービス」でしのぎきった。

第2セットでも4-4からラブゲームブレーク。最後のあがり2ゲームで8ポイント対2ポイントと圧倒的なラッシュで締めくくった。

全部のポイント、全部のゲームを取ろうとしてのではない。欲しいポイント、欲しいゲームを確実に手にできるよう相手にあえてポイントを取らせていると言ったら大げさか。

伊藤が得意だというオセロで例えるならば、序盤相手を優勢にしておいて、イッキに自分のコマへとひっくり返してしまうようなものだと言えるのではないか。

ベクタスとの前回対戦、2024年10月の木下オープン予選1回戦のスコアも

実は今回と全く同じ6-3,6-4。

4-3リードの第8ゲームでブレークし、ラブゲームキープで第1セット奪取。

第2セットは第3ゲームで先にブレーク。その後はあっさりサービスキープされ続けたが、最後の自らのサービスゲームを5度のデュースの末、キープして勝利した。

ノラリクラリと言っては失礼かもしれないが、今回も全く同じ「沼」ペースで、きっちりと勝利をモノにした。

相手にしてみれば「なぜ負けたか分からない?」と首を傾げたくなる、本当に嫌なプレーヤーだろう。

次戦の相手は1回戦で清水映里に勝った山口芽生に決まった。

過去3勝1敗。2024年11月の浜松ウイメンズオープンでは、試合中に頭を打ち途中棄権で敗れている。

今度は伊藤の頭脳的戦略を知りきった相手と、どう戦うか。

世界ランク100位以内突入が確実視される今、国内大会第1シードとして、まだまだ簡単に姿を消すわけにはいかない。

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テニスうどん
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駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
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