小田凱人 飯塚国際4連覇逃す

ヒューエットに逆転で敗れる
車いすテニスのITF世界ランク1位、小田凱人(19歳)が天皇杯・皇后杯第41回飯塚国際車いすテニス大会・ジャパンオープン(福岡県飯塚市)の決勝に臨んだが、惜しくも4連覇を逃した。
4月26日、男子シングルス決勝に臨み、第2シードでITFランク2位のアルフィー・ヒューエット(28歳=イギリス)と対戦。6-4,4-6,2-6のスコアで敗れた。
雨中の室内でのファイナル。
ヒューエットの雄叫びが高らかに響くと
小田は自らのプレーに不満が残る表情でネット前に握手を求めに行った。
小田のバック冴えた第1セット
第1セット第1ゲーム。
ヒューエットのサービスゲームを小田はバックの3本のウィナーなどで、ラブゲームブレークした。
開始早々のこの猛ラッシュが、第1セットを表す象徴的なシーンとなった。
リターン、3球目とベースライン内側に入り込んだ小田の積極的なバックハンドが冴え渡った。
第1セットのバックのウィナー数は実に11本。
フォアの4本を大きく上回った。
相手が小田のフォアを警戒しバックにプレースメントする展開を、
バックの鋭いショットで完全に凌駕。
6-4でこのセットをモノにした。
第2セット終盤 ギア上げたヒューエット
第2セットは互いにリターンが冴えわたった。
お互い1キープずつした以外はオールブレークで迎えた4-4。ここでヒューエットはブレークポイントをしのいで2度目のキープに成功し5-4リード。
第10ゲームで元王者は、さらに集中力を研ぎ澄ます。
小田のワイドサービスを読み切った、渾身のダウンザラインへのバックのリターンウィナー。
最後は小田のスマッシュを見事にロブで抜き返す。
このスーパーショットで1セットオールに持ち込んだ。
ファイナル 試合巧者の前に屈す
ファイナルセットは一転してキープ合戦。
ヒューエットからのサービス開始が勝負のアヤとなった。
第4ゲーム、このセット初めて小田のサービスを破って、ヒューエットが3-1リード。
続くサービスもキープされて、小田はイッキに1-4までリードを広げられた。
こうなるとヒューエットは小田の1本のウィナーを恐れることはない。
小田に波に乗らせぬように、
読みの外したサービス、ボディーサーブを混じえて着実にポイントを重ねていった。
追い込まれた小田は2-5で迎えた第8ゲームのサービスもブレークされ、勝利を逃した。
1カ月前に敗れたばかり
「勝負の神様」が用意した舞台に思えた。
宿命のライバル、ヒューエットとの顔合わせ。
前回対戦の3月27日、マイアミ・オープン車いす男子シングルス決勝では久々の敗北を喫した。
対ヒューエットの連勝は5でストップ。
昨年1月の全豪オープン決勝で同選手に敗れたのを最後に続いていた
自身の連勝記録も「42」で止まったばかりだった。
新絶対王者、シーズン通して無敗記録での年間グランドスラムを狙っていた小田にとっては、ショックある1敗だったはずだ。
| 小田凱人の2025年シーズン以降 | ||||
| 2026 | 4月 | 飯塚でヒューエットに再び敗戦 | ||
| 3月 | マイアミでヒューエットに敗戦 | |||
| ↑ 14連勝 ↑ | ↑42連勝↑ | |||
| 2025 | ↑ 28連勝 ↑ | |||
| 1月 | 全豪でヒューエットに敗戦 | |||
飯塚無敗21連勝でストップ
その敗戦からわずか1カ月後に迎えた国内での対戦。
飯塚国際は「シングルス、今のところ全部勝っているので負けられない。ずっとこの大会で王座に君臨していたいと思っています」と話していた、国内唯一のスーパーシリーズ。
「ジャパン・オープン」と冠の付いた大会には、絶対に負けられない。
そんなプレッシャーのかかる舞台は、今回は仇となった。
飯塚での小田は昨年までの3連覇前に出場した2019年にも優勝。今回4連覇、5度目の優勝を狙っていたが…
飯塚での生涯無敗記録は「21」でストップした。
| 小田凱人 飯塚国際の過去の勝敗 | |||
| 2019年4月=初優勝 | |||
| 回戦 | 対戦相手 | スコア | |
| 1回戦 | ⚪️ | 井上 瑞稀 | 6-1,6-1 |
| 準々決勝 | ⚪️ | 高橋 剛志 | 6-4,6-7(0),6-1 |
| 準決勝 | ⚪️ | 長櫓 圭永 | 6-0,6-3 |
| 決勝 | ⚪️ | W・デーンチュエンノ | 7-5,6-3 |
| 2023年4月=2度目優勝 | |||
| 1回戦 | ⚪️ | 嘉村 雄造 | 6-0,6-0 |
| 2回戦 | ⚪️ | 城 智哉 | 6-0,6-1 |
| 準々決勝 | ⚪️ | M・デ ラ プエンテ | 6-2,7-5 |
| 準決勝 | ⚪️ | R・スパーガレン | 6-1,6-2 |
| 決勝 | ⚪️ | 眞田 卓 | 3-6,6-1,6-4 |
| 2024年4月=2連覇 | |||
| 1回戦 | ⚪️ | 荒井 大輔 | 6-4,6-2 |
| 2回戦 | ⚪️ | C・ラツラフ | 6-0,6-0 |
| 準々決勝 | ⚪️ | R・スパーガレン | 7-5,6-4 |
| 準決勝 | ⚪️ | G・リード | 6-4,6-0 |
| 決勝 | ⚪️ | A・ヒューエット | 6-1,7-6(5) |
| 2025年4月=3連覇 | |||
| 2回戦 | ⚪️ | G・ジャシアク | 6-0,6-3 |
| 準々決勝 | ⚪️ | C・ラツラフ | 6-2,6-0 |
| 準決勝 | ⚪️ | D・カヴェルザスキ | 6-0,6-4 |
| 決勝 | ⚪️ | M・デ ラプエンテ | 7-6(5),2-6,7-5 |
| 2026年4月=4連覇ならず | |||
| 2回戦 | ⚪️ | ホ・ウォンイム | 6-2,6-0 |
| 準々決勝 | ⚪️ | R・スパーガレン | 6-1,6-1 |
| 準決勝 | ⚪️ | ジー・ジェンシュー | 6-2,6-3 |
| 決勝 | ⚫️ | A・ヒューエット | 6-4,4-6,2-6 |
スーパースターの宿命背負い
対ヒューエットとの連敗は2024年3月以来、2年ぶりとなった。
だが相手はまだ28歳。
絶対王者から引きずり降ろされた今、打倒小田だけに照準を絞って日々鍛錬している。
絶対に負けが許されない状況で、
こんな気持ちの相手を跳ね返すことは、並大抵ではない。
逆の立場となった小田は、その難しさが身にしみているはずだ。
小田のコート入場時のテーマソングは長渕剛の「SUPER STAR」だった。
ふさぎこんでも始まらない。『いきがっていたティーンエイジ』を卒業し、スーパースターであり続けるためには、くちびるを噛み締め、もう1度はい上がるしかない。
ヒューエットとの再々戦の舞台はおそらく6月の全仏オープンにやってくる。
得意の赤土を、今度こそリベンジの舞台にする。




