伊藤あおい クレーでプロ初勝利!してやったり

18歳新鋭をストレートで
世界ランク232位の伊藤あおい(21歳)が5月19日、パリで行われた全仏オープン予選1回戦に登場。世界ランク179位のジェリーヌ・ヴァンドローム(18歳=ベルギー)に7-5,7-5で勝利した。第2セット2度の降雨中断を挟んで、試合時間は1時間32分。
相手は2025年に全米オープンジュニアを制覇。同年のジュニアファイナルズも制した新鋭。2026年に入っても、3月末から4月中旬にかけてW50ナント、W75カルヴィを2大会連続制覇。続いての大会、今回と同じクレーコートだった5月のW100ヴィースバーデンでも、予選から準決勝まで進出。
この間、15連勝と波に乗っていた若手を、きっちりと料理した。
全仏オープン初勝利
「勝てる気がしない。勝てる気は微塵もしないので、ちょっとゲーム取れたらいいなと思います」と、試合前から苦手を公言するクレーコートの戦い。
プロ入り後の2022年から2024年まで1試合も戦っていなかった。
2025年からは5大会に出場したが、いずれも初戦敗退。
未勝利5連敗中だったが、6戦目でようやくプロ初勝利。
当然ながら、全仏オープンでのメモリアルな1勝にもなった。
| 伊藤あおい 過去2年間のクレーコート成績 | ||||
| 2026年5月 全仏オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚪️ | J・ヴァンドローム | 179 | 7-5,7-5 |
| 2026年3月 WTA500 チャールストン・オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚫️ | E・ヴェダー | 258 | 2-6,1-6 |
| 2025年6月 W75 ザグレブ | ||||
| 1回戦 | ⚫️ | D・ヤクポヴィッチ | 319 | 6-4,4-6,6-7(7) |
| 2025年6月 WTA125 バレンシア | ||||
| 予選1回戦 | ⚫️ | A・ギーリングス | 356 | 6-7(2),6-3,2-6 |
| 2025年5月 全仏オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚫️ | P・マルチンコ | 209 | 5-7,2-6 |
| 2025年5月 WTA125 パリ | ||||
| 1回戦 | ⚫️ | S・カルタル | 56 | 2-6,6-3,3-6 |
公言通り賞金450万円ゲット
感覚を研ぎ澄ますため、前哨戦に出場するのが一般的なルートと言えるが、伊藤の場合は「ぶっつけ本番」で臨んでいた。
「練習もせずに、本当に賞金だけもらいに行こうかなと思っています」
あくまで実戦は踏まないという意味の比喩表現で、クレー対応の練習はきっちり行っていただろうが、結果的には「有言実行」。
予選2回戦進出での獲得賞金は、2万4,000ユーロ。
公言通り?約451万円を、かっさらった。
第1、第2Sとも終盤ギアチェンジ
試合自体も、トンビが油揚げをさらうような展開だった。
第1セットも第2セットも、終盤に伊藤の巧妙さが存分と出た。
第10ゲームまでは5‐5と完全な五分。だが、プレッシャーのかかる第11、12ゲームは、いずれも伊藤がキープ&ブレークで2ゲーム連取に成功した。

バックのダウンザライン冴え
第1セット第12ゲームのブレークは、相手の30-15から4球目を、バックのカウンターでダウンザラインにコントロール。
そのままスルスルと前に出て見事なタッチで、フォアボレーを逆クロスに沈めた。
これで30-30。
続くポイントは相手のドロップショットを、苦手のクレーコートは思えないスライディングしながらのフォアスラで見事に切り返して、セットポイントを握る。
最後は8球目をまたもバックのダウンザライン際へ見事にプレースメントして、相手のミスを引き出した。
第2セットは雨にも救われ
競った展開にして、終盤にだけギアを上げ、ワンチャンスを活かす。
第2セットはこの戦略に加え、雨中断も見事に利用した。
第5ゲームで先にブレークを許し、2-3のスコアで一旦はロッカールームへ。
再開後、湿った赤土に、相手は慎重にラリーを続けようとペースを落とした。
伊藤はこのスキを見逃さず、ポイントを重ねた。
さらに6-5で2度目の中断。
伊藤リードとはいえ、直前の第11ゲームでは18度、20度のロングラリーが連続。
伊藤は膝に腕をつき、ぜいぜいと荒い息を吐いて、動けなくなっていた。
相手のミスでなんとかキープして「中断」を主審に告げられると、
嬉しそうな笑顔を見せて、足早に再びロッカールームへ。
再開後、元気に10度以上のラリーを4度重ね、4連続ポイントでそのまま勝利をモノにした。
トータルポイントは僅差
両者のトータルポイントを見ると第1セットは36対32の4ポイント差。最後の2ゲームのポイントだけを見ると8-2で伊藤。
この6ポイント差がなければ、数字の上では負けていた。
第2セットも42対37の5ポイント差。
1度目の雨中断直後の2ゲームは9-4で伊藤。2度目の中断後の1ゲームは4-1で伊藤。
この8ポイント差がなければ、ファイナルセット突入で、負けていても全然おかしくなかった。
| 両者トータルポイント | ||
| 伊藤 | ヴァンドローム | |
| 36 | 第1S | 32 |
| 42 | 第2S | 37 |
| 78 | トータル | 69 |
予選2回戦は第5シードと
フランスの観衆は、特に終盤、ヴァンドロームに大声援を送っていたが、伊藤は我関せず。
紙一重の戦いを制し
「してやったり」の表情で予選2回戦へコマを進めた。
次の相手は世界111位で予選第5シードのルル・サン(25歳=ニュージーランド)。キャリアハイ39位の強敵、初の顔合わせ。
どこまであの「上手くいった」と言わんばかりの笑顔が見られるか。




