伊藤あおい3時間14分大接戦制す

自身2番目ロングマッチ
伊藤あおいがシングルス復帰3試合目で激しいロングマッチを制した。
世界ランク201位の伊藤あおい(21歳)が3月10日、ITF W35「マジック・ホテル・ツアーズ・バイ・FTT」(チュニジア・モナスティル)1回戦に大会第1シードとしてに出場。世界583位のエレナ・ミロヴァノビッチ(25歳=セルビア)と対戦し、7-6(4),6-7(4),6-4のスコアで勝利した。試合時間は3時間14分だった。
ITF&WTAツアーでは自身3度目の3時間マッチ。
2022年10月4日、小堀桃子戦の3時間28分に次ぐ、
自身2番目のロングマッチとなったが、しっかりとモノにした。
| 伊藤あおい 過去の3時間超えマッチ | |||
| 2022年10月4日 W25牧之原国際 | |||
| 時間 | 対戦相手 | スコア | |
| 3:28 | ⚪️ | 小堀桃子 | 7-6(3),6-7(5),6-4 |
| 2026年3月4日 シングルス1回戦 | |||
| 3:14 | ⚪️ | E・ミロヴァノビッチ | 7-6(4),6-7(4),6-4 |
| 2023年3月23日 亜細亜国際2回戦 | |||
| 3:00 | ⚪️ | 秋田史帆 | 6-4,6-7(7),7-6(5) |
体力面の不安がよく取り立たされる伊藤だが、3時間超えの3試合すべてを勝ちきっているのはさすが、としか言いようがない。
セルビア代表と8P差の熱戦
伊藤は前週3月4日に、同じ場所で行われているITF W35モナスティル大会で、腰椎疲労骨折から6カ月ぶりに実戦復帰したばかり。
相手のミロヴァノビッチはITF W15のモナスティルで2023、2025年と2度優勝。ダブルスでも12度優勝を誇る。
2024年にはセルビア代表としてビリー・ジーン・キングカップにもシングルスで出場するなど、同国期待の選手。
決して簡単な相手ではなかったが、故障明けにもかかわらず、伊藤は、きっちりと振り切ってみせた。
トータルポイントは128対120。
228ポイントを争い、8ポイント差という僅差だった。
| 伊藤VSミロヴァノビッチ トータルポイント | ||
| 伊藤 | セット | ミロヴァノビッチ |
| 48 | 第1S | 45 |
| 44 | 第2S | 45 |
| 36 | 第3S | 30 |
| 128 | 通算 | 120 |
「あおい沼」の真骨頂
内容的には決して素晴らしい出来という訳ではなかった。
それでも「あおい沼」の真骨頂が随所で見られた。
第2セット以降、強打の相手に31本ものウィナーを取られたが、それ以上にミスを誘発させた。
アプローチで前に出られると、何度も何度も
ドンピシャでそのコースを読み当て、相手を迷わせた。
逆を突かれ完全なウィナーになっても飄々としたもの。相手がせっかくオープンコートを当てても、伊藤の動きを気にするあまり、大きくミスするシーンもあった。
ネットに着かれても、一撃のパスで抜くことはほとんどない。
ローボレー、バックハイと嫌なところを突き続けた。
これでは相手もなかなか前で勝負しようという気にはなれなかっただろう。
フォアスラ&バックで効果的な攻撃
たまに見せる攻撃も効果的だった。
バックのスライスが苦手と見るや、
あえて浅いフォアスラを送り、バックのカウンターアプローチですかさずネットを取った。
この攻撃に慣れられると、今度はバックの長いクロスを多用。
序盤に散々ダウザラインを見せられていたミロヴァノビッチは
反応が遅れ、スタミナを大いに削られた。

フルセットマッチ6連勝
伊藤も決してフィジカルは万全なように見えなかった。
だが、最後は伊藤のまいた様々な戦略が、ミロヴァノビッチの心を折り、徐々にポイント差は広がった。
負けを察したラスト3ゲーム、ミロヴァノビッチは2度コートに膝をつき、しゃがみこんでしまった。
これで2025年8月以降、伊藤のフルセットマッチは6連勝。
通算では50勝33敗。
.568の高勝率を誇っている。
前回大会の宿題
前回の復帰大会はシングルスとダブルスの両方に出場。3日間で単複4試合を戦った。
ダブルスでは1回戦、準々決勝とも、問題なくプレー。
一方で課題が露呈したのがシングルスだった。
1回戦は実戦不足感は否めず。なんとか2時間37分のフルセットでモノしたが、決定的な場面でフィニッシュ・ショットをミスする姿が目立った。
翌日の2回戦では、長期離脱の影響によるコンディション不良か、シングルスコート1面でのフットワークがままならず完敗。
試合勘とフィジカルの両面で課題を残していた。
| 伊藤あおい 前回復帰大会の勝敗とスコア | ||||
| ITF W35 モナスティル#10 | ||||
| 2026年3月3日 ダブルス1回戦 パートナーはベク・ダヨン | ||||
| 回戦 | 対戦相手 | R | スコア | |
| 1回戦 | ⚪️ | A・カルナラトネ D・マルチンケヴィツァ | 934 722 | 6-2,6-3 |
| 2026年3月4日 シングルス1回戦 | ||||
| 1回戦 | ⚪️ | D・ヴァレンテ | 1483 | 4-6,6-2,6-4 |
| 2026年3月5日 シングルス2回戦 ダブルス準々決勝 | ||||
| 2回戦 | ⚫️ | ルー・ジャージン | 455 | 1-6,3-6 |
| 準々決勝 | ⚫️ | W・ファルコフスカ H・シャイク | 124 397 | 6-7(4),6-2,5-10 |
完全に蘇った観察眼
この日も第2セット以降、苦しそうなシーン、ボールを追えないシーンはあったが、まったく動けないという状況は減った。
試合勘で言えば、フォアスラはキレ味が明らかに増し、バックの精度も上がっていた。
何より相手のフォーム、動きを読み切る観察眼は完全に蘇っていた。
後は体力と相手のボールへの反応力。
第1セット、ファーストサービスの出来は素晴らしかったのに、結局8本犯したダブルフォルトなど、気にするべき課題は、次の段階のものへと移ることができるだろう。
貴重 1日の休養日
2回戦は、予選上がりで世界ランク636位のティエン・ジアリン(19歳=中国)と、ワイルドカードで出場している世界1842位のリトゥパルナ・ナヤック(21歳=インド)の勝者と当たる。
伊藤にとって大きいのは、2回戦は12日以降となり、休養日が1日取れることだ。
まだまだ試合翌日の疲労感は相当なものだろうが、どれだけ回復できるか。
3時間超えの激戦に耐え、昨年見せた「勝負師」の顔が徐々に戻りつつある。




