伊藤あおいVS柴原瑛菜 2時間45分激闘


2時間45分 合計252ポイント
大げさではない。日本女子テニス界、日本選手同士の戦いで、歴史に残るハイレベルな激闘だった。
日本選手3位のランクを維持する世界101位の伊藤あおい(23歳)と、同4位のランクとなる世界139位の柴原瑛菜(27歳)が、4月26日、安藤証券オープン準決勝で顔を合わせた。スコアは6-3,4-6,7-6で、柴原に軍配が上がった。
試合時間2時間45分。第2セット終盤では、途中雨により雨を閉じコート回復まで1時間13分の中断があった。その時間を含めると約4時間にも及ぶ死闘だった。
両者のトータルポイントは実に252ポイントにも及んだ。
11度のデュースの末 柴原決定的なリード
試合は終始、柴原が先行し、伊藤が追いかける展開になった。第1セットはいきなり2ブレークされた伊藤が1ブレークを返し巻き返したが、及ばす柴原の6-3。トータルポイントは30-39。
第2セットも先に2ブレークされた伊藤が2ブレークを返す4ゲーム連取で逆転し6-4。トータルポイントは38-33。こちらも大接戦。
両者のトータル252ポイント | ||
伊藤 | 柴原 | |
第1S | 30 | 39 |
第2S | 38 | 33 |
第3S | 55 | 57 |
第3Sの経過 | ||
第6Gまで | 31 | 35 |
第10Gまで | 44 | 44 |
第12Gまで | 51 | 50 |
タイブレーク | 4 | 7 |
通算 | 123 | 129 |
最終セットはもっと熾烈な争いとなった。第3ゲームで伊藤がサービスゲームを先に落とし、柴原にゲームカウント2-4までリードを許した。
その柴原のサービスキープとなった第6ゲーム。
なんと11度のデュース、両者26ポイントを戦う壮絶な攻防。
伊藤には5度のブレークチャンスがあったが、すべて柴原にしのがれゲームを奪われた。次のサービスゲームをキープしても、ブレークチャンスはあと1ゲーム。
通常なら完全に万事休すのシーンだが、伊藤は諦めなかった。
伊藤7連続ポイントから追いつく
誰もが気落ちして当たり前の第7ゲームをラブゲームキープ。
次の第8ゲームのリターンゲームでも3連続ポイント。
この土壇場、まさかの7連続ポイントで、柴原にプレッシャーをかけた。
柴原も2ポイント返す意地を見せたが、伊藤がブレーク。ついに4-4に追いつく。
その後も両者キープキープで5-5。
この時点での第3セットの両者のポイントは44-44と全くの互角。
残り2ゲームは、ブレーク合戦。特に伊藤は第12ゲーム、柴原のサービスゲームのマッチポイントをしのぐ意地を見せた。
タイブレークを迎えた時点で両者のポイントは51-50とわずかに1ポイント伊藤のリード。
最終的な最終セットのトータルポイントは57-55の2ポイント差で柴原。
文字通りタイブレークの差だけで決着がついた。
数字的がはっきり示すよう、どちらが勝ってもおかしくない戦いだった。
伊藤のフォアスラVSバックスラ
この激戦を数字と言葉で表すことに限界を感じるが、巧みな技とパワー、凄まじい戦術と戦術のぶつかり合いだったことだけは、どうしてもお伝えしておきたい。
最も象徴的な両者のラリーは、まだ序盤の第1セット第7ゲーム、柴原4-2リードのサービスゲームのデュースで展開された。
通常なら伊藤のフォアスラに回り込んでフォアの逆クロスで攻撃するのが、対伊藤の最もよく見られるパターン。
そこから伊藤が得意のバックでストレートにカウンター、もしくはバックのショートクロスに持っていくのだが、それを柴原は避けてスライスで対抗したのだ。
柴原伊藤の20ラリー攻防 | |
① | 柴原センターセーブ |
② | 伊藤センターにリターン |
③ | 柴原相手バックに返球 |
④ | 伊藤もバックでクロスへ |
⑤ | 柴原もバックでクロスへ |
⑥ | 読んだ伊藤バックでクロス攻撃 |
⑦ | 振られた柴原の返球はセンター |
⑧ | 伊藤がフォアクロスで攻撃 |
⑨ | 柴原逆にクロスカウンター |
⑩ | 伊藤フォアスラでセンター付近へ |
⑪ | 柴原回り込まずバックスライスストレート |
⑫ | 伊藤フォアスラでストレート |
⑬ | 柴原もう1度バックスライスストレート |
⑭ | 伊藤もう1度フォアスラストレート |
⑮ | 柴原両手バックでクロス |
⑯ | 伊藤バックでストレート攻撃 |
⑰ | 柴原ストレートへフォアカウンター |
⑱ | 伊藤の両手バックは甘いクロスに |
⑲ | 柴原バックスライスでクロスアングルドロップ |
⑳ | ストレートスライスを読んだ伊藤ネット前拾えず |
伊藤のフォアスラをあえてバックのスライスでストレート展開。伊藤はもう1度フォアスラでストレートと、両者が狭い左サイドでフォアとバックのスライスを打ち合う、かなり珍しい形が繰り広げられた。
伊藤の得意なカウンター封じを精度の高いバックのスライスで行った後、時間をかけてチャンスボールを待ち、今度は同じバックのスライスの構えからクロスアングルへ。
強打のコースを読むことに長けている伊藤だが、フォア側に釘付けにされた後、さらにボールを手元まで引き付けるスローペースのスライスで、最も長い距離を走らされた。
これだと伊藤の広い周辺視野で相手のコースを読み切り、カウンターを打つ方法は通用しない。相手のスピンボールをショートクロスに展開するのは得意だが、低くて長いスライスを持ち上げるのは、かなり難しくなる。
柴原が伊藤の長所を、消し去ろうとした。
これこそ、まさに伊藤が普段やっている戦術、それを柴原が逆にぶつけた格好だった。
伊藤も対応 終始見ごたえある応酬
このバックスライスのストレートに、逆クロス気味のバックスライス、ドロップショットも織り交ぜた。球足の長い球と浅い球を使う柴原の攻撃はその後も続いた。そして、かなり効いた。
だが、第2セット中盤以降、今度は伊藤がそれに対応し始めた。きっちり前のボールも追いつき、強打しない上手いアプローチでネットを取りポイントを重ねた。
すると柴原は両手バックをまぜたり、最終的にはフォアで回り込んで強打するようになった。
他にも1本目のボレーで決める展開を好む伊藤がネットに出た際、柴原はスローな球でローボレーさせる、それができない場合は高いロブを上げる、という戦術は徹底していた。
お互いを知り尽くした者同士。
練りに練った戦術とテクニックを駆使して、最後の最後まで見応え十分な攻防を繰り広げた。
合宿過ごした先輩へ
先のビリー・ジーン・キングでは同じ日本代表選手として合宿を過ごした先輩後輩。ランキングは伊藤の方が上の方だが、シングルスNo.2に選ばれたのはルーマニア、カナダ戦の2試合とも柴原だった。
それでも伊藤は、こんな感想を話したという。
「元々出れると思っていなかったですし、私が監督だったら絶対柴原さん出すので、柴原さんかなって思っていました。絶対使いづらいだろうなと思いますよ、私。応援だけはしようと思って、頑張ろうとしていました」。
この言葉からも7歳年上への十分過ぎるほどのリスペクトが感じられる。
「たくさん練習させていただきました。自分はいつも練習環境に結構困っていたので、すごい強い方とかと練習をたくさんさせてもらえてありがたかったです」。
最後まで死力を尽くした伊藤のプレーは、先輩への感謝、恩返しの意味もあったかもしれない。
次は両者ともカンガルーカップ国際女子オープンテニス(岐阜)に出場予定。
互いに切磋琢磨する最高の舞台が再び整う可能性が、来週にもある。
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