MENU
伊藤あおいの試合予定と結果は
データで深堀り

錦織11本のパッシングに屈すの巻

tennis udon
スポンサーリンク
テニスうどん
テニスうどん

残念無念、錦織が全豪オープン2回戦で敗退した

ほぼ世界トップ10の実力者トミー・ポールとは差があったの?

テニスうどん
テニスうどん

錦織の何が悪かったというより、ポールが本当に強かったよ。ストロークの精度はもちろん、錦織にファーストボレーを確実にさせる嫌らしさ、それを可能にする球際の強さが、さすがだった。

▶錦織のセットごとのネットポイント獲得率ポールのパッシングショット数

錦織ポール
セットP確率内訳パス
フォア
パス
バック
パス
合計
第1S67%12/18
第2S50%3/6
第3S40%4/10
第4S38%3/8
通算52%22/4211

 トミー・ポールのパッシングショットの数は、錦織の3本に対して4セットで11本。きちんと展開をつくって前に出るタイプの錦織がこれほど抜かれたのは、珍しい。ストロークの良さからあまりクローズアップされることはないが、そもそもネット前での動きも本当にトップクラスの選手だからだ。本来は高いはずの錦織のネットポイント獲得率は、第1セットこそ67%あったが、50→40→38%とセットを追うごとに下がっていった。

 ポールが放った11本のパッシングショットをすべて見返してみた。まず第1セットの3本のパス。すべてが錦織に1度ボレーをさせてから、次の2本目で抜いたものだった。錦織のアプローチはいずれも悪くないストレート方向だったが、強烈なバックのクロスで錦織のバックボレーを弾き飛ばしたもの。バックのスライスをボディー正面気味に沈めてフォアのローボレーにさせたもの。あえてスローテンポなフォアのスピンでペースを落とし、フォアボレーを浮かさせたもの。この後を確実に撃ち抜いた。タイブレークでセットこそ落としたが、錦織がきちんと組み立てて前に出ても、慌てない姿勢を、まずは誇示した。

 第2セット、錦織にとっては、完膚なきまでやられた0ー6のスコアで、パッシングショットこそ0本だった。しかし、錦織がボールをコートに叩きつけ、珍しくコードバイオレーションを取られるほど悔しがったシーンも、バックのファーストボレーをミスさせられたものだった。

 第3セットでさらに象徴的なシーンが訪れる。錦織がゲームカウント0ー4から追い上げ、3ー4で迎えたサービスゲーム。キープすれば五分となる、デュースでの大事な場面。コーナーいっぱいのスライスのワイドサーブから3球目攻撃。錦織は強烈なフォアをダウンザラインに放ち、ネットを取る。これ以上ない完璧な形だ。だが、ここでポールは体を反転させながらバックのスライスで錦織の足元に沈める。甘くなった球を強烈なフォアのクロスで撃ち抜いた。第1セットと完全に同じパターン。このショットが、このセットの錦織の反撃意欲を大きくダウンさせた、ように見えた。

 そして錦織が逆転への最後の望みをかけた第4セット序盤。1-2でのリターンゲーム。30ー30のチャンス。セカンドサーブをフォアでストレートに叩きリターンダッシュするが、ポールは今度は速いテンポの両手バックで錦織の正面を突く。やや浮いたボレーをストレートに抜き、ポールはこの日一番のガッツポーズした。

 錦織にとっては、この日5度目となるファーストボレーをさせられた後のパッシング。ここで何とか逆転へのプランを模索していた錦織の選択肢は、ほぼなくなってしまった。

 ストロークポイントの推移を見てみる。錦織は第1セットこそ0~4本以内、5~8本、9本以上のすべてのラリー状況で互角に戦えていた。しかし、第2セット以降、ポールのストロークの精度は上昇。なかなかポイントを奪えない状況が続いた。特に9本以上とロングラリーになる展開ほど苦戦。第3セットはポール12ポイントに対し、錦織はわずか2ポイント。第4セットはポール5ポイントに対して錦織0ポイント。錦織はいよいよネットに活路を見出すしかない状況に追い込まれていた。

 もはや後がなくなった錦織は、今まで以上に早めにネットに仕掛ける。ポールがガッツポーズしたパッシングの直後のポイント。再びフォアで前に出るが、今度はカウンター気味のフォアのクロスであっさり抜かれる。これでゲームカウント1ー3。立て続けに2本やられた。さらにその2ポイント後。第5ゲーム、自らのサービスゲーム15ー0からも、バックのスライスで前に出るが、これまたフォアのショートクロスを食らう。わずか4ポイントの間に3本抜かれた。

 そして最後のポイント。ゲームカウント1ー5、30ー40のポールのマッチポイント。再びバックのスライス。コーナーギリギリの最高のアプローチだったが、これまたカウンターのフォアのクロス。錦織の2回戦敗退が決まった。

 序盤に嫌なファーストボレーを意識させられ続けた錦織。最後はポールの強烈なフォアクロス3連発の前に成すすべがなかった。

錦織全豪オープン1回戦はこちら
錦織サービスゲームに「時短」を見たの巻
錦織サービスゲームに「時短」を見たの巻
Xからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
ABOUT ME
テニスうどん
テニスうどん
駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました