MENU
伊藤あおいの試合予定と結果は
データで深堀り

錦織 「上がりゲーム」のうまさ

錦織のアリゾナスコア
tennis udon
スポンサーリンク

世界ランク76位の錦織圭が3月12日、ATPチャレンジャーのアリゾナ・テニス・クラシック1回戦(米国フェニックス)に臨んだ。世界ランク67位のL・ナルディ(イタリア)を6-4,6-3のストレートで破り、2回戦進出を決めた。

トータルポイントは錦織「68」に対してナルディ「56」の12ポイント差。スコア、トータルポイント、ともに錦織の楽勝にも思えるが、実際は第1、第2セットとも、試合中盤までポイント数で負けていた。

第1セット錦織ナルディ
スコア経過ポイント数ポイント数
錦織2-4ナルディ1520
錦織6-4ナルディ19
トータルポイント3428

第2セット錦織ナルディ
スコア経過ポイント数ポイント数
錦織2-3ナルディ1517
錦織6-3ナルディ1910
トータルポイント3427

素晴らしかったのは、ゴルフでいうところの終盤の「上がり」ゲームの出来だった。第1セット、第2セットとも、あれよあれよの勢いで終盤にポイントを重ねていった。どちらのセットも4連続ゲーム取得での締めくくりだった。

第1セット。ゲームカウント2-4で迎えた第7ゲーム。自らのサービスゲームをラブゲームキープ。ファーストの入りに苦戦し、全体的にネットミスが多かったが、このゲームはすべてファーストインできたのが大きかった。

ここからイッキに攻めに転じ、リターンもコート内に1歩入り込んだ、より攻撃的なものに変わった。キープ、ブレーク、キープ、ブレークの、ほぼ完璧なラッシュだった。

第2セット。イッキに行くかと思われたが、なかなか調子が上がらない。しかし、ナルディ1ブレーク、錦織2ブレークを許して迎えた第5ゲームから、再び錦織がギアを上げた。相手のダブルフォルトの後、目の覚めるようなバックのダンザラインでウィナーを奪うと、再び攻撃力をアップさせた。

自らのサーブだった第7ゲームでは0-40、第9ゲームでは0-30とピンチもあったが、攻めのラリー戦を制した。ブレーク、キープ、ブレーク、キープでイッキに勝利を手繰り寄せた

点の取り合いのテニスには、「シリーズ」という考え方がある。連続ポイントを連ならすことができれば、その分、勝利確率がグッと高まるというもので、ポイントが3連続以上連なれば、それを「シリーズ」とカウントする。

錦織のこの日の第1セットを見ると、中盤の第6ゲームまでは3連続ポイントはゼロ。だが、最後の「上り4ゲーム」では4連続1度と3連続2度の計3度

第2セットでは、中盤の第5ゲームまでは4連続ポイントが1度。だが、最後の「上がり4ゲーム」では3連続ポイントが2度と4連続ポイントが2度の計4度

ウィナー数で見ると、第1セットは中盤までは2本に対して「上がり4ゲーム」は7本。第2セットは中盤まで2本に対して「上がり4ゲーム」は6本だった。

緊迫した場面でのギアチェンジは、やはり、さすがだった。このウィナー量産による連続ポイントの多さこそが、マッチ12度もあったブレークポイントを、8度もセーブできた原動力になった。

この日の相手ナルディは、先月のATP500ドーハ大会、3回戦で中国のジャン・ジジェンを6-4,6-3で下し、4回戦ではC・アルカラスと1-6,6-4,3-6のフルセット激闘を演じた。その後のATP500ドバイ大会では8強入り。決して調子の悪くない世界67位を、こうも簡単に片付けられたのは、錦織の「うまさ」にほかならない。

次戦の相手は錦織より2歳年上の37歳、M・ククシュキン(カザフスタン)。世界ランク166位ながら最高位は39位。当然「うまさ」では定評がある。1回戦は日本の内山靖崇をストレートで退けた。

しかし、錦織の過去の対戦成績はATPレベルでは9勝0敗、予選も含めれば10勝0敗。チャレンジャー大会とはいえ、ここで負けるわけにはいかない。(6-3,2-1棄権勝ち)

準決勝まで進めば、18歳ブラジルの新星、J・フォンセカと対戦する可能性もあるドローとなっている。次代を背負うと期待される、自分より半分の年齢の相手と対戦すれば、感じるものも多くあるだろう。チャレンジャーとは思えない、ハイレベルな注目の戦いは続く。

Xからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
ABOUT ME
テニスうどん
テニスうどん
駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました