坂本怜3カ月ぶり復活勝利

３時間超え第８シードに激勝

世界ランク294位の坂本怜（18歳）が６月18日、チャレンジャー大会サッスオーロ(イタリア)1回戦に臨み、世界175位のアルバロ・ギジェン・メサ（22歳＝エクアドル）と対決した。

試合時間３時間８分、1-6,6-3,7-6(6)のスコアで今大会第８シードから見事、勝利を挙げた。

超ラッキーポイントから

１セットオールで迎えたファイナルセットは第２ゲームで坂本が先にサービスを落とす厳しい展開。第７ゲームでブレークに成功するが、続く第８ゲームを落として、3-5になった。

相手サーブの40-15という、絶体絶命の状況。だが、坂本の打ったボールはイレギュラーで高く跳ね上がり、チャンスへと変貌。

さらに決めにいったフォアハンドストロークがコードボールになって相手コートに落ちた。

この超ラッキーなポイントから流れが変わった。

４本のマッチポイントしのぎ

このゲームの２本のマッチポイント、さらにタイブレークを含め

計４度の相手マッチポイントを、坂本は、すべてしのいだ。

逆にタイブレーク7-6で迎えた自身最初のマッチポイントは見事モノにした。

トータルポイントは「112」対「113」。

１ポイント坂本が負けていたが、最終的には大接戦に持ち込んで競り勝ちに成功した。

先月優勝した100位台相手に

相手のメサは５月のチャレンジャー、サントス・ブラジル・テニスカップで３度目の優勝。

現在、自己最高ランクを更新中という、上り調子の選手だ。

2023年2月、まだ坂本が16歳の時、ITF M15 ネイプルズで1度対戦し、その際も4-6,7-5,6-3で坂本が勝利していた。「現在地」を探りたい坂本にとっては、負けられない相手だっただろう。

今回の100位台選手からの白星は、その分も、うれしい勝利と言えるだろう。

サービス力で逆転

タイブレークに２本のサービスエースがあったことに象徴されるように、完敗だった第１セットから、尻上がりにサービスの調子を上げた。

故障の不安が消えたからか。

ベースライン最後方に下がる相手の肩口に跳ね上がる、本来のサーブがよみがえった。

第1セットはファースト確率、ファーストイン時のポイントウォンとも50%以下という低調ぶりだった。

しかし、最終的にはマッチ通算でファースト確率64%、ファーストポイントウォンも66%まで上げた。

イレギュラーが通常以上に激しい、かなり厳しい環境のクレーコートだったが、第２セット以降は、両者とも集中力が切れることのないナイスゲームだった。

３カ月ぶりチャンレジャー本戦勝利

坂本は３月のATP1000マイアミ・オープンで、ワイルドカードを得てツアー本戦デビュー。１回戦で世界41位のA・ミュラー（28歳＝フランス）に4-6,4-6と健闘の末、敗れた。しかしながら、その後は不振と故障に苦しんだ。

韓国ラウンドとなった４月のチャレンジャー、釜山、光州オープンをともに１回戦敗退。およそ1カ月ぶりの戦列復帰となったヴィチェンツァでも1回戦敗退。先週のハイルブロンでは予選2試合を勝ち抜いたが、腹筋の不安から1回戦を試合前に棄権していた。

チャレンジャー本戦での勝利は、３月13日のカップカナ1回戦以来、実に３カ月ぶりとなった。

ダブルヘッダーで２回戦敗退

順延順延で大会運営が押し、３時間超えの試合から、わずか２時間あまりで、２回戦を戦う過酷なスケジュールが組まれた。

疲労は隠せず、世界186位、ルカ・ヴァン・アッシュ（21歳＝フランス）に2-6,3-6で敗れた。とはいえ５本のサービスエースを奪うなど、サーブの内容は、まずまずだった。

大接戦をモノにした喜びに浸っている暇はなかったが、十分に復活の手応えをつかんだ１勝だった。

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スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西１部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り！時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、ＷTAの公式データを参考にさせていただいています。
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