坂本怜 内山倒し4強進出

1時間56分 逆転勝利
世界ランク176位で大会第2シードの坂本怜(19歳)が11月21日、横浜慶應チャレンジャー準々決勝に臨み、世界330位で第7シードの内山靖崇(33歳)と対戦。3-6,6-3,6-4のスコアで見事逆転勝利した。試合時間1時間56分。
坂本にとって、内山との対戦は2年ぶり2度目。2023年11月の兵庫チャレンジャー予選1回戦で対戦。
1-6,2-6のスコアで完敗していたが、見事に成長した姿を見せた。
第2セットも先にダウンから
第1セットは1ブレークを許して3-6でセットダウン。
第2セット第1ゲームでブレークを許す厳しい展開だった。
それでも坂本の集中力は途切れなかった。
このセット、ファーストイン確率84%と高い数字で気落ちすることなくキープを続け、1-3の劣勢から2ブレークで5ゲーム連取し、セットオールに持ち込む。

そして勝負のファイナルセット。
さらにファースト、セカンドともサーブのギアをMAXに上げ、圧巻のサービスゲームを披露。
4-4で迎えた第9ゲームを見事ブレークして、第10ゲームのサービングフォアザマッチをラブゲームで締めくくった。
サービススタッツ内山上回る
前回の内山対戦時とこの日のサービススタッツを比較すると、如実に向上していることが分かる。
ビッグサーバー同士の対決で、今回は内山の数字のすべてを上回った。
| 2023年兵庫チャレンジャー坂本対内山 サービススタッツ | ||
| 坂本 | 内山 | |
| エース | 3 | 5 |
| 1stイン | 50%(27/54) | 78%(35/45) |
| 1stPW | 52%(14/27) | 83%(29/35) |
| 2ndPW | 37%(10/27) | 40%(4/10) |
| 2025年慶應チャレンジャー坂本対内山 サービススタッツ | ||
| 坂本 | 内山 | |
| エース | 9 | 5 |
| 1stイン | 69%(57/83) | 64%(56/87) |
| 1stPW | 77%(44/57) | 73%(41/56) |
| 2ndPW | 58%(15/26) | 45%(14/31) |
| ※PW=ポイントウォン | ||
最終セットサービスゲーム20‐1
各セットごとで見ると、坂本の最終セットの凄さが際立つ。
| 2025年慶應チャレンジャー坂本の内山戦 各セットごと | |||
| 第1S | 第2S | 第3S | |
| エース | 3 | 3 | 3 |
| 1stイン | 55% (17/31) | 84% (26/31) | 67% (14/21) |
| 1stPW | 76% (13/17) | 69% (18/26) | 93% (13/14) |
| 2ndPW | 43% (6/14) | 40% (2/5) | 100% (7/7) |
なんと坂本は自らのサービスゲーム5度のうち4度でラブゲーム。
残りの1ゲームでも1ポイントを失っただけ。
最終セットのトータルポイントは36‐24と12ポイント差だったが、
内山のサービスゲーム23-16に対して坂本は驚異の20-1。
21ポイントを戦い、20ポイント奪取したというわけだ。
もちろん男子はサービスゲームが圧倒的に有利だが、ここまで差がつくのは珍しい。
ファーストイン時93%、セカンドでも100%という圧倒的な数字で
内山に付け入るスキを与えなかった。
内山が観客前のフェンスぎりぎりに下がる。そこからリターンしても、肩口に跳ね上がったボールの球威に押され、ねじ込むような体勢で両手バックを打たなければならない。
まさに坂本のセカンド恐るべしのシーンが幾度も見られた。
76%が4球以内に決着
最終セットの坂本のサービスゲームの全21ポイント(うち20ポイントが坂本)のラリー数を見ると、いかに坂本のサーブがすごかったかが分かる。
エース3本、リターンミス8本、3球目攻撃でのウィナー4本。4球目内山がなんとか返球を試みてミスしたのが1本。
21ポイント中16本までが4球以内に決着が付いた。
その割合、実に76%。
| 坂本の最終セットサービスゲームのラリー数 | |||||
| R数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5以上 |
| 回数 | 3 | 8 | 4 | 1 | 4 |
内山がポイントを奪えたのは、第4ゲーム30-0から。坂本が完全に追い込んで前に出たが、内山がバックの絶妙なトップスピンロブで逆転し得た9ラリーでの1本だけだった。
中程度のラリーにすら持ち込めなかった内山は、セット終盤、自らのサービスゲームで1ブレークも許されない大きなプレッシャーを感じたことだろう。
坂本のサービスゲームの怒涛の勢いが、第9ゲームの千金ブレークに繋がった。
10度以上のラリーも圧勝
2回戦同様、ロングラリーからネットを取る坂本の粘りはこの日も健在だった。
10本以上のロングラリーは9度あり、坂本の8勝1敗。
確実に我慢して、前に出る展開に持ち込み、ポイントを重ねていった。
最後のブレークゲームではデュースで2度連続して10本以上のロングラリーになった。
坂本が10本目のバックをダウンザラインにウィナーを決めてアドバンテージを奪ったシーンは、内山を大きく追い込むことになった。
続く17本のラリーでは内山がフォアのストレートでウィナーを奪い返し意地を見せたが、ここまでだった。
2度目のデュース。
坂本が完全にオープンコートを作って前に出て、8本目のフォアボレーウィナーでアドバンテージ。
そして4本目の強力なフォアストレートから6本目のフォアのドライブボレーでウィナーを奪いブレーク成功。
2本の完璧な展開づくり、ネットプレーで、ほぼ勝利を手中にした。
坂本の「カモン!」の雄叫びが日吉のコートに大きく響いた。
坂本の2年間の成長がハッキリ見て取れるシーンだった。
準決勝の相手はサンティラン
準決勝の相手は、世界348位のサンティラン晶(28歳)に決まった。
予選から快進撃を続けた744位の楠原悠介(28歳)を6-3,6-2で退けての勝ち上がり。
これまた楽しみな日本選手対決だ。
坂本がチャレンジャーで準決勝以上に進んだのは今回が4度目。
過去3大会のうち2度で優勝している。
| 坂本の過去のチャレンジャー準決勝以上 | ||
| 年月 | 大会名 | 最終結果 |
| 2025年11月 | 横浜慶應 | ? |
| 2025年7月 | ケーリー | 優勝 |
| 2025年1月 | ノンタブリー | 準決勝敗退 |
| 2024年12月 | 四日市 | 優勝 |
一方のサンティランは9度準決勝の経験があり、敗退8度、優勝1度(2017年7月ウィネトカ)。2019年5月の光州チャレンジャー以来、6年半ぶりとなるセミファイナルの舞台に期するものはあるだろう。
坂本が内山に続き、再び先輩の壁を越えられるか。
錦織圭は準々決勝で姿を消したが、まだまだ楽しみな試合が残っている。




