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伊藤あおいの試合予定と結果は

伊藤あおい見事WTA1000本戦初勝利

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世界105位の伊藤あおい(21歳)が7月27日、WTA1000ナショナル・バンク・オープン1回戦(カナダ・モントリオール)に臨み、同じく予選上がりの世界108位のケイティ・ヴォリネッツ(23歳=アメリカ)に6-2,2-6,6-2のフルセットで勝利した。試合時間2時間ちょうど。

最後のフォアボレーが決まると、伊藤は満面の笑みで飛び跳ね、小さくガッツポーズした。相手に丁寧にお辞儀をして握手すると、我に返ったように、控えめないつもの姿に戻った。

やはり喜びは隠せなかった。

WTA1000の本戦は今回が自身4度目の出場。

過去3度はいずれも1回戦敗退だったが、うれしい、うれしい初白星を挙げた。

ツアー勝利は昨年10月、4強入りしたWTA250木下ジャパンオープン以来、9カ月ぶりとなった。

WTA1000 カタール・トータルエナジー・オープン 2月10日~2月16日
回戦対戦相手Rスコア
1回戦⚫️J・オスタペンコ372-6,1-6
WTA1000 ドバイ・デュティーフリー選手権 2月16日~2月22日
回戦対戦相手Rスコア
1回戦⚫️B・ベンチッチ650-6,2-6
WTA1000 マイアミ・オープン 3月17日~3月30日
回戦対戦相手Rスコア
1回戦⚫️L・デイビス2294-6,6-3,4-6
WTA1000 ナショナルバンク・オープン 7月27日~8月7日
回戦対戦相手Rスコア
1回戦⚪️K・ヴォリネッツ1086-2,2-6,6-2

第1セットは、第1ゲームこそ自らのサービスを落としたが、ほぼ完璧な内容。バックのストレートが素晴らしく残り3ゲームはすべて楽々とキープして3ブレーク。6-2で奪取した。

第2セットはヴォリネッツに、うまく戦われた。俊敏なフィジカルでロングラリーを制したり、バックのストレートを増やし、伊藤のバックを封じ込めた。伊藤もフォアの強打などで対抗するも2-6で、このセットを落とす。

そして運命のファイナルセット。

最初の4ゲーム、もっと言うならば最初の2ゲームが勝敗を決めるポイントとなった。

伊藤は第2セットで見せていたフォアの強打から急転、フォアのムーンボールを多用。

緩急のタイミングの変化中心から、イッキに空間の高低、前後の変化に転じて相手を惑わした。ヴォリネッツは目に見えてリズムを崩し、ミスを連発した。

伊藤が第1ゲームキープの後、第2ゲームはブレーク。この勢いで、そのまま4ゲーム連取。フォアのムーンボールからバックのダウンザライン・ウィナー。フォアドロップで前におびき出してのフォアボレーウィナー。相手のフォアボレーをフォアスライスでストレートにパッシング。

まさに「伊藤ワールド全開」。

あまりの引き出しの多さに、観衆も驚きと称賛に満ちた大きな拍手を送った。

WTA1000初勝利まで、決して簡単な道のりではなかった。

4月下旬から自身ワーストとなる7連敗。フルセットを落としたりタイブレークが取れなかったりと、2カ月間も勝利から見放された。

6月、ウィンブルドンでグランドスラム初の本戦もフルセット、あと一歩のところで初勝利を逃した。W50コロイオスで決勝まで進み、自信を取り戻したかに見えたが、再び3連敗。

2セット、2ゲームしか取れずに完敗する試合が2試合続いた。

しかし、どんな時でイライラを表に出すことはなく、笑顔を絶やさなかった。サーブチェンジの際、ボールボーイに笑顔でボールを促したり、ボールボーイがボールが手につかない様子を見ると、優しい顔で待ってあげたり。

17ゲーム連続サービスキープ失敗の間も、その姿は全く変わらなかった。

この日も相手ボールがわずかにラインを割っている映像が映し出されると、大笑いで安堵の表情を浮かべた。

普段通り謙虚に自然体を貫き、また1つ「大きな壁」を超えた。

次の2回戦の相手は、1回戦免除だった世界9位のジャスミン・パオリーニ(29歳=イタリア)だ。

2024年全仏、ウィンブルドンの連続ファイナリスト。

キャリアハイは2024年10月28日付けの4位。

2024年6月以降、1年間以上トップ10以内を維持している。

シングルスツアー3度優勝、ダブルスは9度優勝。シングルス414勝282敗、グランドスラム28勝23敗。

今シーズンも5月、地元のWTA1000イタリア国際を制覇。決勝では現在世界2位のココ・ガウフ(21歳=アメリカ)を6-4,6-2で退けた。2024年2月のドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権に続く、自身2度目のWTA1000のトロフィーを掲げた。

ランク、実績、どこをどうとっても、間違いなく世界トップの選手だ。

伊藤は、かつてトップ10だった選手としては2度の対戦経験がある。

今年2月、カタール・トータルエナジー・オープン1回戦で元世界5位のエレナ・オスタペンコ(当時27歳=ラトビア)に2-6,1-6。翌週のドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権1回戦では、元世界4位のベリンダ・ベンチッチ(当時27歳=スイス)に0-6,2-6。当時は37位と65位だったが、いずれも完敗だった。

今回は正真正銘、現状のトップ10選手と顔を合わせ。

「強大な敵」に思えるが、伊藤は過去50位内の選手に2勝2敗と互角の勝負を演じている。

2024年10月、香港オープンで当時29位のケイティ・ボルダー(28歳=アメリカ)を倒したのが、過去最高のランク保持者。

伊藤は当時156位で、すでに100位以上も格上の選手に勝った実績もあるのだ。

伊藤あおい過去の世界ランク50位以内との対戦
回戦対戦相手Rスコア
2024年10/16 WTA250 木下ジャパン・オープン
2回戦⚪️E・コッチャレット506-4,6-3
2024年10/29 WTA250 香港オープン
1回戦⚫️K・ボルター294-6,4-6
2025年2/10 WTA1000 カタール・トータルエナジー・オープン
1回戦⚫️J・オスタペンコ372-6,1-6
2025年2/15 WTA1000 ドバイ・デュティーフリー選手権
予選2回戦⚪️A・クルーガー407-5,6-2

今大会、女子は賞金総額が昨年比60%も増額されている。1回戦の勝利で12,770ドル(約180万円)、予選7000ドル(約100万円)と合わせて、2日で280万円を稼いだことになる。2回戦に勝てば、19,705ドル(約290万円)が加わる。

賞金はもちろん、8月18日から予選スタートの全米オープンを前に、大きな自信と弾みがつく1勝を挙げた。

次はグランドスラム初の予選突破、そして初勝利へ。

「大金星」に向かって戦うパオリーニ戦が、さらに大きな「経験」「力」になるのは、間違いない。

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テニスうどん
テニスうどん
駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
WOWOW、U-NEXT、ATP、WTAの配信も利用させていただいています。
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