坂本怜 フルセット勝ちでCH3度目V王手

2戦連続日本対決制す
坂本が2試合連続「日本選手対決」を制して決勝進出を果たした。
世界ランク176位で大会第2シードの坂本怜(19歳)が11月22日、横浜慶應チャレンジャー準決勝に臨み、世界348位のサンティラン晶(28歳)と対戦。3-6,6-1,6-3で逆転勝利した。試合時間1時間50分。
2回戦で内山靖崇(33歳)を3-6,6-3,6-4で退けた翌日
2試合連続でファーストダウンからのフルセット勝利。
これで自身3度目のチャレンジャー決勝進出。
過去2度はいずれも優勝しており、3度目の優勝への期待は高まる。
| 坂本の過去のチャレンジャー決勝進出 | ||
| 年月 | 大会名 | 最終結果 |
| 2024年12月 | 四日市 | 優勝 |
| 2025年7月 | ケーリー | 優勝 |
| 2025年11月 | 横浜慶應 | ? |
またもロングラリー圧倒
この日の坂本は、サンティランのリターンの良さ、バックのスライスに苦しめられた。
第2セット序盤まで3球目攻撃でのミスがサービスゲーム6ゲームで11本と非常に多かった。
だが以降は完全に修正した。
サービスの優位性を保ったまま、焦らずロングラリーを制するパターンでポイントを重ねていった。

10本以上のラリーは14勝4敗と圧倒。
2回戦の6勝1敗、準々決勝の8勝1敗と同様に、勝負強さ、粘り強さは健在だった。
精度の高いフォアのドロップショットなど、完璧に自分の展開にして前に出る姿勢が目立った。
第2セット第7ゲーム、サンティランに、往年のピート・サンプラスを彷彿とさせる、鮮やかなダンクスマッシュを決められた。
すると、第3セット第5ゲームでは逆にやり返した。こちらはグランドスマッシュで少々カッコよさでは見劣りした? が、観客を喜ばせるだけの心の余裕が垣間見られた。
試合後半で増すサーブ力
坂本のこの2大会7試合のサービススタッツを見ると
- ファーストイン 66%(365/555)
- ファーストポイントウォン 78%(283/365)
と良好。
さらに注目すべきは、勝敗を決めたセット(ファイナルならディサイディングセット、ストレートなら第2セット)で、さらに上昇している点だ。
- ファーストイン 68%(142/209)
- ファーストポイントウォン 82%(117/142)
| 坂本の2大会 ラストセットのファーストサーブスタッツ | ||||
| 大会 | set | 1stイン | 1stPW | |
| 兵庫 1回戦 | 2-1 | ⚪️ | 70% (14/20) | 93% (13/14) |
| 兵庫 2回戦 | 2-1 | ⚪️ | 69% (25/36) | 80% (20/25) |
| 兵庫 準々決勝 | 1-2 | ⚫️ | 71% (37/52) | 81% (30/37) |
| 慶應 1回戦 | 2-0 | ⚪️ | 74% (25/34) | 84% (21/25) |
| 慶應 2回戦 | 2-0 | ⚪️ | 52% (11/21) | 91% (10/11) |
| 慶應 準々決勝 | 2-1 | ⚪️ | 67% (14/21) | 93% (13/14) |
| 慶應 準決勝 | 2-1 | ⚪️ | 64% (16/25) | 63% (10/16) |
| 7試合平均 | 68% (142/209) | 82% (117/142) | ||
この日こそサンティランのナイスリターンによって、最終セットのファーストのポイント獲得率は63%(10/16)にとどまったが、セカンドでは89%(8/9)。
ファーストとセカンドを合わせたポイント獲得率は72%(18/25)と相変わらずの良さ。
逆に、サンティランは50%(20/40)にとどまり、この差が最終セット、坂本が2ブレークと、明暗を分けることになった。
高いフルセット勝率
坂本の2022ー2024年のシニア大会成績(ITF、チャレンジャー、ATP)を見るとフルセット試合(すべて3セット)の勝率は.550だった。
だが、2025年(チャレンジャー、ATP、デビスカップ)は
この日のフルセット勝利で.636になった。
| 坂本のフルセット勝率 | |
| 2024年以前 | 2025年 |
| .550(11勝9敗) | .636(14勝8敗) |
戦うステージは上がっているのに、勝率は上昇している。
14勝のうち、第1セットダウンから2セット連取の逆転勝ちが実に10度。
常にフルMAXのサービス頼りの戦いではなく、試合を通じて、相手の対応策、戦略を練り、勝負どころを察知してサービスのギアを上げる。
そんな「大人の戦い方」ができている、一つの証しと言えるのではないか。
決勝の相手は内田海智
決勝の相手は世界ランク288位の内田海智(31歳)に決まった。
キャリアハイ2023年5月の147位の難敵。
2024年12月の四日市チャレンジャー準々決勝の対戦では坂本が6-4,7-6(3)で勝利。
そのまま準決勝で望月慎太郎を、決勝ではクリストフ・ネグリトゥ(ドイツ)を、いずれもフルセットで退け、頂点にまで駆け上がっている。
キャリアハイ更新確定
坂本は今大会準決勝進出で362ポイントを獲得し、ライブの世界ランクは162位となった。今年10月13日付けの174位を超えるキャリアハイ更新となる。
シーズン終了時のランキングは、順調すぎるぐらい順調に上昇している。
| 坂本の年度ごと最終ATP世界ランク推移 | |||
| 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
| 1167位 | 939位 | 412位 | 162位? |
そして決勝も勝てば、ポイントは393にまで伸び、150位台後半に突入。坂本が憧れ、目標としてきた錦織圭は397ポイント。わずか4ポイント差にまで迫る。
最新のATP世界ランクの順位は上から、錦織圭、スタン・ワウリンカ(スイス)、坂本怜と並ぶ可能性がある。
錦織の背中追い
くしくも1カ月前、ATP公式にアップされたネクストジェンの記事に、坂本の興味深い言葉がある。先輩プロの印象に残る試合を問われると、2014年の全米オープンの錦織圭をあげて、こう答えている。
全米オープン決勝で錦織圭選手を観たのを覚えています。チリッチ選手が彼を圧倒したんです。でも、彼のプレー、そして大会であれほど勝ち進んだ姿を見るだけでも、本当に素晴らしかった。彼からたくさんの刺激を受けました。日本人選手も良いテニス選手、素晴らしいテニス選手になれるという自信が湧きました。まさにあの試合でした。
準々決勝でワウリンカを、準決勝でノバク・ジョコビッチを倒し、そしてチリッチに敗れたあの伝説のグランドスラム。
当時8歳だった坂本の脳裏には、激戦を勝ち上がった錦織のプレーがしっかりと焼き付いている。
そして、こうも語っている。
同じ年齢の頃の圭と比べると、まるで別世界にいるような気分になります。彼は18歳になってすぐにATP初優勝(2008年2月デルレイビーチ)を果たしました。私はチャレンジャー大会で優勝しましたが、近づくたびに遠ざかっているような気がします。それでも…自分の歩みには満足しています
いや、遠ざかっているなんてことはない。
フルセットに、ロングラリーに、強いと言えば、まさに錦織圭ではないか。
ちなみに錦織圭3度目のチャレンジャー優勝は2010年5月のサラソタ。今の坂本より年長の20歳だった時だ。(もちろんその前にATPで優勝しているが)
今大会、決勝で錦織と対戦する夢は実現しなかった。
それでも決勝に勝てば、確実に「大きな背中」にまた一歩、着実に近づく。






