錦織圭 復活の期待膨らむ4ゲーム連取

4日連続試合も軽快に
世界284位の錦織圭(36歳)が3月4日、チャレンジャー100のティオンヴィル・オープン2回戦に臨み、世界150位で大会第6シードのニコライ・ブドコフ・キェア(19歳=ノルウェー)と対戦。6-3,4-6,2-6のフルセットで惜しくも敗れた。試合時間1時間40分。
予選からこの日が4日連続の試合。しかも、相手は191センチ、伸び盛りの長身ビックサーバーだったが、最後までフィジカルに不安を見せることなく、軽快にプレーした。
特に第1セットは、ここ最近ではなかった「覚醒」のプレーだった。
ネクストジェン4強 難敵相手に
キェアは2024年のウィンブルドンジュニアの覇者で全米オープンジュニア準優勝者。
昨年は19歳ながらチャレンジャー大会を4度制覇。
20歳以下のNext Gen ATPファイナルズの出場権を獲得して4強入りしている。
今年の全豪オープンでは綿貫陽介らを破り、グランドスラム予選を初めて突破。
文字通り2026年の飛躍が期待されているノルウェーの新星だ。
こうした勢いのある若手と互角にやりあえるかが、ランキング再浮上を目指す錦織にとっては大事な試金石になるが、完全に互角以上と言える、素晴らしい第1セットを見せた。
第1S 第6ゲーム以降4ゲーム連取
試合開始から自らのサービスゲームで1ポイントも落とさないラブゲームキープを2ゲーム続けた。
3ゲーム目の第6ゲームはデュースにもつれたが、ここから完全に錦織にスイッチが入った。
巻き付くような素晴らしいフォアの逆クロスの後、ピンポイントでベースラインに突き刺すダウンザラインウィナー。
ワイドサーブから鮮やかなバックのクロスウィナーと、完璧なプレースメントでキープ成功。
圧巻は第1セット3-3で迎えた、直後の第7ゲーム。
リターンも高速ラリーも冴え渡る。
ラケットにボールが吸い付いた後、弾き出されるような、本来のストロークが完全に蘇った。
リターンからフォアのダウンザラインで完璧なウィナーを奪う。
19歳の若者は両手を広げ叫び
36歳がこんな高速展開を続けるのかと、呆れ驚いたような表情を見せた。
天下の宝刀バックのジャックナイフリターンも出て、あっという間のラブゲームブレーク。

最終ゲームも鮮やかブレーク
完全に「ゾーン」に入った、錦織の素晴らしい時間帯はまだ続く。
第9ゲームのリターンゲーム、最初のポイント。
相手の完璧なワイドサーブに飛びつくと戻り際、鮮やかなバックのスライスで、そのままネットへダッシュ。相手はフルスイングのフォアをボディー正面にぶちかましてきたが、勢いを見事に吸収するかのようなバックボレーでウィナー。
フランスのファンから大歓声を浴びた。
バックのナイスリターンを続け、またもあっという間の0-40。
2本返されたものの、3度目のブレークポイントをモノにして、このセット6-3。
体の不安なく、ストリングスのフィーリングさえ噛み合えば、まだ、こんな驚きのプレーができるのか。
相手にも観客にも、そう思わせるには十分過ぎる、見事な4ゲーム連取だった。
最終セット ブレークポイント0
第2セット以降は、さすがに錦織のペースが落ちた。
第1ゲームで、バックに狂いが生じ、立て続けの3連続ミスでブレークされる。そのまま4-6。
最終セット、錦織も、前に入り、打つ高さ、タイミング、コースを変えて、ラリーを重ねるごとに相手の時間を奪う素晴らしいプレーで対抗したが、キェアの勢いが上回る。
第3ゲームで今度はフォアのフレームショットが続いて最初のダウン。
第7ゲームでこのセット2度目のブレークを許す。
キェアは、容赦ない高速サーブと高速ラリーと、攻撃の手を緩めず。
錦織に、このセット、最後まで1度もブレークバックのチャンスは来なかった。
11回連続ネット成功
ただ試合を通じて、力で完全に押し切られることもなければ、フィジカルの問題で自分のプレーができない、もどかしさに悩む姿もなかった。
| 両者の主なポイントスタッツ | ||
| 錦織 | キェア | |
| 92%(11/12) | ネットPW | 60%(3/5) |
| 29 | ウィナー | 27 |
| 28 | UE | 20 |
| 70 | トータルポイント | 81 |
| PW=ポイントウォン、UE=アンフォーストエラー | ||
最終セット第6ゲームで、この試合初めてフォアボレーをミスするまで、
錦織はネットに11回出て11回連続でポイントを奪った。
ウィナー数は29本。
15本のエースを奪ったキェアの27本を上回った。
肩の不安が消えたのかと思わす流れるような自然体のサーブも、1回戦以上にキレ味を増した。
180キロ台と決して速くはないが、うまい配球で5本のエースを奪った。
翌週はシェルブール大会
きれいな当たり、バリエーション豊富なショット、芸術的で多彩な戦術。
錦織らしい「美しいテニス」がこんなに長く続いたのを見るのは、本当に久しぶりだ。
しかも4日連続の試合、3試合連続フルセットマッチで。
次のエントリー大会は翌週のチャレンジャー・シェルブール大会。
ここもきっちりと戦えるようなら、もう1度トップ相手に輝きを放つ時が来ることを、本当に信じてみたくなる。




