伊藤あおい復帰大会は2回戦敗退

ストレートであっさり
腰椎疲労骨折のブランク明けの伊藤あおいが、復帰2戦目で敗れた。
世界ランク203位の伊藤あおい(21歳)が3月5日、ITF W35「マジック・ホテル・ツアーズ・バイ・FTT」(チュニジア・モナスティル)2回戦に臨み、世界445位ルー・ジャージン(36歳=中国)と対戦。1-6,3-6のスコアで敗れた。試合時間は1時間4分。
6カ月という長期離脱による、体力と試合勘の不足で苦戦した前日の1回戦。
連戦となった、この日は、
さらにパフォーマンスが落ちて、見せ場なくゲームセットを迎えた。
ボール追えない姿目立ち
第1セット第1ゲームこそキープするも、そこから8ゲームを連取された。
安定感のあるバックにフォアのスライスのキレ味はさすがだと思わせるシーンもあるが、長くは続かない。
フットワークがおぼつかない分、どうしてもラリーで左右に振られると先にミスが出た。

第1セット第5ゲームでは、両手バックを膝を落として踏ん張る際、
バランスを崩して後方へ大きく転倒。
相手のルーに「ARE YOU OK?」と心配されると、伊藤は「THANK YOU」と答えて立ち上がったが、その後はどうも躍動感がなくなった。
自分のサービスゲームの競った大事なシーンや、ゲームポイントで相手が使うドロップショットに反応できない。
普段の伊藤なら間違いなく追いつけているボールも、追えないシーンが目立った。
| 伊藤の動きが気になったシーン | |
| ①R1-3 0-15 | 両手バック時に尻もちをついて 転倒 |
| ①S 1-4 0-15 | フォアスラ踏ん張れずミス 左足伸ばす仕草 |
| ②S 0-1 30-30 | 前におびき出され頭上へのロブ 追わず |
| ②S 0-1 30-40 | 相手のフォアのドロップショット 追わず |
| ②S 1-2 30-40 | 相手のバックのドロップショット 追わず |
| ②R 2-4 15-30 | 相手のフォアボレー 距離はないものの追わず |
| ②R 3-5 15-0 | 相手のバックのドロップショット 追わず |
| ○数字はセット、Sは伊藤サービスゲーム、Rはリターンゲーム ポイントはサーバーから | |
コンディション管理重要
腰椎の疲労骨折は、治ったように見えてからが「本当の勝負」とも言われる。
21歳の伊藤は該当しないと推測しているが、特に成長期だった場合、診断画像上は安定していても、負荷がピークに達した際に再発しないとも限らない。
切り返しの際に怖さが残ることもあるかもしれない。
6カ月間に及ぶ長期ブランク明け。
前日の復帰試合、いきなり2時間30分超えのフルセットの疲労感で
体が悲鳴をあげ、ただ動けなかったと信じたいが、
やはり慎重なコンディション管理が今後の鍵になる。
今後のスケジュールは?
今大会の後は、翌週のモナスティル大会への出場が決まっている。
その後には株塾甲府国際オープンテニスにエントリー。
坂詰姫野、日比野菜緒、柴原瑛菜、石井さやか、本玉真唯、齋藤咲良ら豪華メンバーが集う予定だ。
その後は、抑えて置かなければならない点として、
伊藤はスペシャルランキング(SR)を使える立場にあるということだ。
SRの使い所は?
スペシャルランキングとは、故障、出産などの長期離脱からの復帰をスムーズにするための救済制度。実際のランキングが低下しても、離脱前のランキングで大会出場資格を得られるというものだ。
伊藤あおいの離脱期間は26週間(6カ月)以上。
この場合、最大8大会までSRを使用できる。
その保持されるランクは、申請書と医療証明を提出した日によって決まる。そのため、正確な数字は把握でていないが、おそらく2025年9月8日時点の87位。いずれにしろ、グランドスラム本戦ストレートインを十分に満たせる位置にいる。
これをどこで使っていくかが、最大の焦点となる。
SRの規定は?
そのスペシャルランキングを使用して出場できる8大会のグレードと限度は以下のように決まっている。
- グランドスラム=最大2大会まで
- WTA1000大会=最大5大会まで
またSRの使用可能期間に関しては、最初の復帰大会から52週以内という制限がある(既存ランクによる出場は起算に無関係)。
仮に5月24日からの全仏オープンから使用した場合、2027年1月17日からの全豪オープンも52週内に収まる。ただしグランドスラム最大2大会までという枠があるためウィンブルドン、全米は使えなくなる、など様々な考えなければならない条件が出てくる。
早期復帰かサーフェス優先か
ツアーは3月末からクレーシーズンに突入する。
例えば、ここでしっかり実績を積み、あまり得意ではないサーフェスだが、全仏で勝負。そのまま、昨年も本戦から出た芝のウィンブルドンを狙うケース。
これは高額賞金、トップ100以内への早期復帰が狙える。
だが、クレーでのプレーは腰の負担が大きい分、判断には注意が必要だ。
あるいは昨年好調だった7月下旬からのハードコートシーズン、ナショナルバンク、シンシナティのWTA1000を中心に使用(ワイルドカードがもらえれば別だが)、同じくハードの全米と翌年の全豪を狙うケース。
得意サーフェスだけに上位進出の可能性は高く、効率的にポイントを稼げる可能性はある。
一方で、復帰序盤は落ちたランクを使用する分、
ITFやWTA予選など、あまり恵まれていない環境下で多くの試合をこなさないといけなくなる期間が増える。
調整としては悪くないが、ポイントを早く稼ぐという意味では、おそらくマイナス。
腰の状態、トップ100以内への早期復帰、高額賞金確保の優先度など、いろいろな条件によって、様々なルートを想定しておく必要がある。
ダブルス敗れるも元気な姿
いずれにしろスケジュールの道筋を決めるのは、すべて伊藤の体次第というところだろう。
まずはコンディションを整えることが先決。
焦りは禁物だが、まずは3大会、日本での甲府国際を終えるころには、少しでも「戦える姿」に近づいていたい。
シングルス後、午後にはダブルス準々決勝でも敗れた。
6-7,6-2,10ポイントタイブレーク5-10の惜敗。
だが、欠場しなかったのもさることながら、
午前中とは打って変わった動きは、大きな安心材料となった。
コートが半面になり、パートナーがいると元気いっぱい。
再三、見せ場を作った。
とんでもないバックのアングルショットもあった。
相手のフォアの強打に、バックで真っ向勝負。アレー付近の狭いゾーンで1対1のストレートラリー。針に糸を通すかのような精度で実に31本の攻防。最終的にはフォアに振られて敗れたが、相手前衛にポーチに出させない、素晴らしいコントロールだった。
左右前後に振られさえしなければ、
間違いなく、きっちりとラケットはフルスイングできることが確認できた。
2大会目となる来週のモナスティル大会も、第1シードでの登場予定。
まずは1戦1戦、少しずつフルコートで動ける体を取り戻すしかない。




