錦織3カ月ぶり実戦 6カ月ぶり勝利

102日ぶり実戦
錦織が102日ぶりに実戦のコートに帰ってきた。
世界158位の錦織圭(35歳)が11月18日、横浜慶應チャレンジャー1回戦に臨み、世界793位の市川泰誠(24歳)に4-6,6-1,6-1で勝利した。試合時間1時間21分。
「序盤はだいぶ硬さもあって納得いかないこところは多かったですけど、まあ初戦としては十分な試合ができたかなと思います。最終的には楽しかったです」
日吉の蝮谷コートに溢れんばかりに詰めかけた観衆の前で、
約3カ月ぶりの復帰戦を勝利で飾り、試合後のインタビューでは笑顔も見せた。
6カ月ぶりの勝利
今シーズンの錦織は右肩、背中、腰痛など、度重なる故障に悩まされてきた。
錦織にとって公式戦は、8月8日、ATP1000シンシナティ・オープン1回戦で、当時世界47位のカミロ・ウーゴ・カラベッリ(26歳=アルゼンチン)に5-7,3-6で敗れて以来。
勝利は5月19日、ATP250ゴーネット・ジュネーブ・オープン1回戦で、当時世界67位のラーナー・ティエン(19歳=アメリカ)に4-6,6-4,6-4で逆転勝利して以来。約6カ月ぶりとなった。
ギリギリ戻れた
9月に日本の東京・有明で開催された国別対抗戦「デビスカップ」ドイツ戦や、ATP500「木下グループジャパンオープン」にも出場できず。年内復帰は難しいと思われたが、国内ラストのチャレンジャーを復帰の舞台に選んだ。
「ギリギリでした。来年のために1試合でも多く出たいなという思いでエントリーしました」。
国内で開催されるチャレンジャー大会に出場するのは、2006年3月の「島津全日本室内テニス選手権」以来、実に19年8カ月ぶり2度目。
2026年シーズンに向けて、
目標通り、年内に無事コートに戻ってこれたことにこそ意義がある。
リターンミス徐々に減少
序盤の第1セットはさすがにミスが多かった。
アンフォーストエラーは実に17本。33ポイントでセットを奪った市川に対して、半分以上がミスによるポイント献上だった。
特に久々の実戦で、リターンが合わず。
市川の32回のサービスインに対してリターンミスは10本を数えた。
だが、第2セット以降はアンフォーストエラーも減少。
第2セット第5ゲームではフォアのエアケイも飛び出し、観客をわかせた。
リターンミスは第2セット18回中4本、第3セット23回中4本と、プレー数を重ねるごとに減っていった。
| 両者の各セットアンフォーストエラー数 | ||
| 錦織 | 市川 | |
| 17 | 第1S | 10 |
| 6 | 第2S | 13 |
| 9 | 第3S | 9 |
| 32 | マッチ | 32 |
ウィナーの数も第1セットこそ市川を下回る6本だったが、
第2、3セット合計は13対4と圧倒した。
| 両者の各セットウィナー数 | ||
| 錦織 | 市川 | |
| 6 | 第1S | 9 |
| 8 | 第2S | 2 |
| 5 | 第3S | 2 |
| 19 | マッチ | 13 |

第2セット第3ゲームから第3セット第4ゲームまで
9ゲーム連取でイッキにリードを奪った。
その後はより激しく動いた際の感触を確かめるかのようにギアアップ。
ファイナルセット、多少ミスが増えたのは、そのためで、大半が大差をつけた後だった。
自力でランキング上昇へ
もし、このまま実戦復帰しないまま2025年シーズンを終え、6カ月以上の期間を空ければ、プロテクトランキング(SR)の適用条件を満たしていた。
だが、それよりも自力でランキングを上げる道を選んだ。
ワイルドカードがもらえなければ、グランドスラムも予選からとなる、150位台という位置。
一刻も早くトーナメントを戦い抜ける状態にまで、体を持っていくことが大事になる。
2025年シーズンで、錦織が最も試合数を長く戦ったのは、シーズン初戦1月のATP250香港まで遡る。準優勝した決勝までの5試合だ。
その他で3試合以上戦ったのは、3月のフェニックスチャレンジャーで準決勝まで進んだ4試合が1度あるだけ。それ以外はすべて1試合か2試合しか戦えていない。
今大会2回戦の相手は世界374位のシン・サンフィ(28歳=韓国)。
無理は禁物だが、なんとかもう1試合、安心して戦えるというところを見せてもらいたい。




