園部八奏 大坂なおみと真っ向対決


プロデビューは黒星スタート
大きな「経験」を手にするプロデビュー戦となった。
世界ランク266位の園部八奏(17歳)が10月13日、木下グループジャパンオープン女子の1回戦に臨み、世界ランク16位で第1シードの大坂なおみ(27歳)と対戦。0-6,4-6のスコアで敗れた。試合時間1時間16分。
10月8日、大阪市内で会見しプロ転向を発表したばかり。
「できることだけやって、あとは楽しめたら一番いいんじゃないかなと思います」と話していた通り、
自分の持ち味を全力で元世界1位にぶつけに行った。
「自分のテニス」貫く
190キロを超える大坂のファーストサーブにさほど引けを取らない、170キロ超えのサウスポーからのサーブ。
「もっとも得意」と公言する思い切りの良いフォア。
それを組み合わせた3球目攻撃。
序盤はプロ初戦の緊張、元全米オープン女王に対する力みもあったが、
第2セット以降は揺らぐことなく「自分のテニス」を貫いた。
大坂から1ブレークを奪い、サービスゲームも5ゲーム中3度キープ。

試合が進むに連れ、徐々に対応する姿、世界トップに対しても確実に通用するポテンシャルの高さを、見せた。
まだ17歳。プロデビュー戦、相手はあの大坂。自分を見失ってもおかしくない要素はたくさんあったが、立派にプレー。大阪・靭に詰めかけた日本のファンから大きな拍手を浴びた。
フォアは十分通用した
最も輝きを見せたのが、第2セット終盤のサービスゲーム2ゲーム。
デュースの末、サービスキープした第7ゲーム。園部が奪った全ポイントを振り返ってみる。
- ナイスサーブに大坂リターンミス
- 3球目バックのドロップウィナー
- 4球目大坂ミス
- ナイスサーブに大坂リターンミス
- 3球目フォアストレートウィナー
- 4球目大坂ミス
- 5球目フォア逆クロス、ほぼウィナー
アドバンテージ大坂の状況で3球目フォアを迷うことなく打ち込みウィナーを奪った。
第9ゲーム。
- 5球目バックストレートウィナー
- 7球目フォア逆クロスウィナー
- 6球目大坂ミス
- センター168キロのサービスエース
ここまで3、4、5球目以降のラリーになると大坂に完全に主導権を握られていたが、
徐々にスピードにも慣れ、7球目のフォアで逆クロスに決めたシーンは見事だった。
3球目攻撃だけでなく、
高速ラリーからのフォアで、世界トップ相手にポイントを奪えた。
大きな自信になったことだろう。
素晴らしい「クジ運」
ツアー出場は今回が4大会目。
3勝4敗と負け越しとなったが、不思議なことに予選含めて対戦はすべて100位以内の選手。
園部八奏 過去のツアー全成績と世界ランク100位以内との対戦 | ||||
回戦 | 対戦相手 | R | スコア | |
2024年2/3 WTA500 アブダビ・オープン | ||||
予選1回戦 | ⚫️ | B・ペラ | 89 | 4-6,0-6 |
2025年2/1‐5 WTA500 アブダビ・オープン | ||||
予選1回戦 | ⚪️ | H・バティスト | 93 | 6-3,6-1 |
予選2回戦 | ⚪️ | C・ブクサ | 98 | 6-3,6-3 |
1回戦 | ⚪️ | ユアン・ユエ | 55 | 6-4,6-3 |
2回戦 | ⚫️ | O・ジャバー | 33 | 3-6,3-6 |
2025年3/17 WTA1000 マイアミ・オープン | ||||
1回戦 | ⚫️ | I・カメリア・ベグ | 69 | 3-6,1-6 |
2025年10/13 WTA250 木下ジャパン・オープン | ||||
1回戦 | ⚫️ | 大坂なおみ | 16 | 0-6,4-6 |
今大会の公開ドロー、自らの手で大坂との対戦を引き当てたのと同様、これほど短期間に、貴重な対戦経験を積めている。
「クジ運が悪い」のではなく「クジ運が良い」と考えた方が、間違いなく正解だろう。
強烈なサーブとフォア、そして強打のラリー。最高のお手本となる大坂と濃密な1時間を過ごした。
すでに2月、WTAツアーのデビュー戦となったWTA500アビダビ・オープン1回戦で世界ランク55位のユアン・ユエ(中国)を撃破し、初勝利も挙げている。
グランドスラム初出場、初勝利を狙う来シーズンは、きっと、さらに大きな足跡を残してくれるに違いない。