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伊藤あおいの試合予定と結果は

ネットミスが減った錦織

錦織アリゾナクラシック スコア
tennis udon

錦織圭選手がアリゾナ・クラシック準々決勝(フェニックス)に3月14日臨み、世界ランク40位で第2シードのF・コボッリ(イタリア)を下した。6-2,4-6,6-4。スコアは競りはしたが、終始、落ち着いたプレーで好調ぶりを維持、順調に準決勝にコマを進めた。

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「ラケットにボールが吸い付くような感覚が戻ってきた」という前回のコメントでもわかるように、明らかにフィーリングの良さが上昇してきた。

強烈なストローク戦でもネットミスする心配がほとんどない。ベースラインに突き刺さるような精度の高いショットで、ラリー戦を圧倒した。

同じ「当たり」の良さは、サービスにも現れた。

前回2回戦のM・ククシュキン戦(カザフスタン)は相手棄権により第2セット早々で途中で終わってしまったが、ファーストサービスが入った時のポイント獲得は95%(18/19)と素晴らしい数字を残していた。

1回戦のナルディ戦でのファーストサービスイン確率は57%、2回戦ククシュキン戦は61%、この日は63%と、上昇一途だ。

ファーストイン時のポイント獲得率はこの日も69%と高いままで変わらないが、ファースト確率が上がれば、その分、自らに入るポイントもより多くなっていく。

同じイタリア選手との対戦、1回戦ナルディ戦と、この日のコボッリ戦の、サービス内容を比較してみよう。というより、大きく変わったのは、ファーストをフォルトした際の、そのミスの内容だ。

38回フォルトしたうち、ネットミスはわずか6回。6割以上がサービスラインをオーバーするバックアウトのフォルトだった。

準々決勝コボッリ戦のファーストサーブ フォルトの内訳
1st確率ポイント
ウォン
ネットバックサイド
第1S66%
(23/35)
61%
第2S63%
(19/30)
79%
第3S63%
(24/38)
70%10
マッチ63%
(65/103)
69%25

一方でナルディ戦。29回フォルトのうち、ネットミスは14度。5割近くをネットにかけた。3割しかサービスラインをオーバーしなかった。

この日は雨中断があるなど、湿気でボールの飛びも悪かったはずだが、ネットフォルトが減ったのは明らかだった。

1回戦ナルディ戦のファーストサーブ フォルトの内訳
1st確率ポイント
ウォン
ネットバックサイド
第1S57%
(17/30)
71%
第2S57%
(21/37)
67%754
マッチ57%
(38/67)
69%14

ナルディ戦では第1セットで2度のブレーク、第2セットでも2度と計4度のブレークを許し、本人も反省していた。

最初にブレークを許した第1セット第1ゲームでは、6度のファーストサービスのうち4度をフォルト(ネット2、バックアウト1、サイドアウト1)。2度目のブレークを許した第5ゲームでは6度のファーストサービスのうち4度をフォルト。そのすべてがネットにかかったもの

第2セットの最初のブレークを許した第3ゲームでも、同じ傾向は続いた。8度のファーストサービスのうち5度をフォルト。うちネットが4(サイドアウト1)という内容だった。

ネットを超えなければ何も始まらない、どうせミスするならネットよりバックアウトを、というのがテニス選手の「本能」だろう。何よりネットミスはレシーバーの気持ちを楽にし、自らのサービスゲームのリズムの悪さを助長する。

ネットにかけるたび、トス、タイミングとも試行錯誤している錦織の姿が見られた。

しかし、この日はきっちりと修正してみせた。第1セットブレークなし、第2、第3セットで1ゲームずつ、3セットで計2度のブレークしか許さずと、結果にもつながった。

ブレークを許した第3セットの第8ゲームは6分の2しかファーストサービスが入らなかったが、4度のフォルトはすべてバックアウトネットだけはしないという錦織の明確な修正意図が、垣間見えた。

チャンレジャーとはいえ、ベスト4まで来た。何より楽しみなのが準決勝の世界80位、J・フォンセカ(ブラジル)との対戦だ。

2024年末のネクストジェン王者の18歳。1月の全豪オープン1回戦で強打が売りのA・ルブレフに打ち勝ち勝利。2月のATP250ブエノスアイレス大会でツアー初優勝。王者ジョコビッチからも「スーパースターになる可能性を秘めている」とお墨付きをもらった期待の新星だ。

スマッシュのような強烈なフォアハンドストロークに、錦織がどこまで対抗できるのか。サービス上昇の数字は、好ゲームの期待感を増してくれる。サービスがきっちり仕上がった状態でのベストマッチを期待したい。

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ABOUT ME
テニスうどん
テニスうどん
駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
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