粘りの柴原瑛菜が日本に勇気

カナダ撃破に単複で貢献
杉山愛キャプテンが涙で顔をクシャクシャにして日本メンバーと抱き合った。涙から一転、柴原瑛菜(27歳)は笑顔で、その抱擁を受け入れた。輪を作って飛び跳ねるメンバー。会心の笑顔があふれた。日本女子が予選1位で、9月のファイナルズ進出を決めた感動的なシーンだった。
世界ランク136位、柴原が、単複2試合で、日本の勝利に貢献した。
▶「Billie Jean King Cup」公式Xより
まずシングルス激闘

4月13日、「ビリー・ジーン・キング・カップ」(BJK杯)予選、カナダ戦。柴原は、まずシングルス第1試合に登場した。世界159位、V・エムボコ(18歳)と対戦。4-6,7-6(8),5-7、2時間45分の死闘の末、敗れたが、その驚異的な粘りのプレーは、日本チームに確かな勇気と力を与えた。
6度のマッチポイント逃れ
追い込まれて追い込まれても、攻めの姿勢、集中力を切らさなかった。
第2セットのタイブレークで相手に3度のマッチポイントを握られた。1度は相手サーブの絶体絶命のピンチだったが、これも切り抜けた。
第2セットタイブレーク 柴原の相手マッチポイントでのプレー | |
5-6 | 柴原1stサーブ 3球目バックのクロス攻撃、相手ネットミス |
6-7 | エムボコ 2ndサーブ リターン返球し相手フォアエラー |
7-8 | 柴原2stサーブ 8度のラリーの末 相手ネットにかけ |
第3セット、ゲームカウント4-5。自らのサービスゲームで0-40の大ピンチ。ここでも相手に3度のマッチポイントがあった。
第3セット 4-5 柴原サービス 相手マッチポイントでのプレー | |
0-40 | 12度のロングラリー 相手フォアがロングに |
15-40 | 見事なバックのクロスで相手追い込みポイント |
30-40 | ギリギリのコードボールからネットでポイント |
1本目、12度のロングラリーを制して15-40に持ち込む。2本目、コードボールがありながらバックのクロスで攻め込み、相手のバックのスライスがロングアウトして30-40。
3本目、3球目攻撃のフォアの逆クロスで攻め込みアプローチに出る。フォアの強打のクロスはコードボール。アウトになりそうなところがコートに収まり、エムボコのフォアクロスをフォアボレーしてポイントを奪う。
7度目に決められるまで、計6度のマッチポイントをしのいだ。
特に第3セット第10ゲーム、2度のコードボールをねじ込んだのは、まさに柴原の執念そのものだった。
ブレークポイントセーブ71.4%
ブレークポイントを14度迎えたが、そのうち10度をしのいだ。
ブレークポイントセーブ割合は71.4%という素晴らしい粘りだった。
トータルポイントでは118‐128と完敗。
しかし、柴原が再三のピンチで見せた集中力あふれるプレーが、最後の最後まで勝負をわからなくした。
シングルス初黒星に涙
昨年のファイナルズ(スペイン・マラガ)で、柴原はシングルス2勝をあげた。1回戦のルーマニア戦でJ・クリスチャンに6-4,7-6(2)。E・コッチャレットに3-6,6-4,6-4。
この実績を買われ、杉山キャプテンは今回のシングルス2試合でのナンバー2起用。柴原はその期待に応え、ルーマニア戦でM・ブルガルに7-5,6-2と勝利していた。
この試合で4連勝を狙っていたが、これがシングルス初黒星となった。
それでも劣勢にも諦めず、体力と気力は度外視で1ポイントも無駄にしない姿勢を見せ続けた。この思いは日本メンバーへと、確かに伝わっていた。
試合後は涙を流し、悔しさをにじませた。
エース内島で1勝1敗タイに
この柴原の涙に、日本のエース内島萌夏(23歳)が奮い立った。

シングルス第2試合では世界ランク51位、内島が、カナダの128位、M・スタキュジッチ(20歳)を6-3,6-3で下し、1勝1敗のタイに戻す。
柴原の粘りに呼応するように、第2セット第5ゲーム、自らのサービスゲーム0-40から3度のブレークポイントを免れて、キープしたのが大きかった。
ダブルスでオーダー変更 再び柴原
そして迎えた第3試合のダブルス。
青山修子(37歳)のツアーでのパートナー、穂積絵莉に代わって、シングルスで敗れたばかりの柴原が再び起用された。
青山&柴原組は2024年7月までツアーを回り、タイトル10度獲得したペアの再結成。両親は日本人だが、アメリカ・カリフォルニア州で育った柴原は、2019年7月、東京五輪を目指すため日本国籍を選んだ。悔し涙にあらわれたように、代表への思いは人一倍だ。
日本国籍取得前、尊敬する青山に、ダブルスのコンビを申し出たが、すでにパートナーが決まっていたため一旦は断られた。それでも柴原が猛アタックをかけ実現した経緯がある。
ツアーでは柴原がシングルスに専念するため解消したが、この日も2人のコンビネーションは抜群だった。
BJK杯12勝2敗
集中力抜群のダブルススペシャリスト青山に引っ張られ、柴原はシングルス以上の躍動を見せた。この青山&柴原組がR・マリーノ&K・クロス組を2時間17分、6-3,5-7,6-2のフルセットで破った。トータル2勝1敗で日本が勝利を決めた瞬間だった。

この1勝で、柴原はビリージーンキングカップのダブルスでも9勝1敗。すべて青山とのコンビで積み上げたものだ。
3勝1敗のシングルスと合わせた通算12勝2敗は、勝率8割5分7厘。
「団体戦は好き」という言葉通り、柴原はシングルスで流した涙の雪辱を、即座にダブルスで返してみせた。
単複合わせて5時間2分を戦い抜いた柴原は「シングルスで勝てなくて、本当に悔しくて。もう1回有明の皆さんの前で勝てるチャンスをくれて、本当にうれしかった。フィアナルズに行けて嬉しい」と声を張り上げた。
いざファイナルズへ
柴原の執念の粘り、逆境でも攻め切る姿勢を見て一丸となった日本は見事に、2年連続ファイナルズ進出を決めた。9月16~21日に中国・深圳で行われる8カ国のトーナメント方式で優勝を争う。
終始、優しい笑顔で鼓舞した杉山愛キャプテンやコーチ陣。出場がなくても、大きな声援を送り続けた穂積、伊藤あおい、サポートメンバーの園部八奏らを含め、まさに日本チーム全体でつかんだ勝利だった。
杉山キャプテンは言った。
「2日間、一緒に戦ってくれた選手たちが凄すぎます。持てる力を全部出してくれたのでこのし勝利が付いてきたと思う。ありがとう」
感謝とともに、最後に付け加えた。
「もっと高い所を狙えるチームだと思う」。
すでに昨年の8強に並ぶ、8カ国入り。2023年覇者カナダを倒す、力強い歩みを見せた日本女子が、さらなる上位進出を狙う。
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