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伊藤あおいの試合予定と結果は

超アグレッシブ 赤土仕様の伊藤あおい

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世界ランク100位の伊藤あおいが、第5シードで世界56位のS・カルタル(イギリス=23歳)に惜しくも敗れた。5月12日、フランス・パリで行われたWTA125クラランス・トロフィー1回戦で対戦し2-6,6-3,3-6。

手に汗握る1時間51分の激闘の末、敗れたが、

強打を誇る格上選手を相手に、積極性あふれるプレーを存分に披露した。

全仏オープン予選の前哨戦、クレーコートシーズンの幕開けとなる一戦で、大きな手応えをつかんだ。

赤土仕様の、超アグレッシブな伊藤あおいの「誕生」だ。

数々の変わった姿を見せた中で、最も際立ったのがフォアの積極性だ。

リターン時にフォアスラのブロックリターンを使うのが、従来の姿だったが、この日は第1セットの最終ゲームから、エース級のワイドサーブ以外、ほぼすべてスピンでの強打のリターンに変更した。

クレー特有の高く跳ねるボールにも、バックはもちろん、フォアでも、錦織のエアーKのように1歩前へ飛び上がってアタックしていった。

フォア狙い、スライスリターン想定で3球目攻撃を仕掛けていたカルタルだったが、ここからイッキに形勢逆転。伊藤は第1セットこそ失ったが、第2セット以降、フォアのストレートリターンを起点にポイントを重ねた。

ストローク戦になっても強打強打。何度もフォアのストレート、逆クロスのウイナーが決まった。従来が緩急なら、急をさらに加速させたハイテンポなテニスで、フォアの強打が売りのカルタルと互角、いや、それ以上に渡り合った。

ウイナー数では「30」対「25」で伊藤が上回った。

ミスもあったが、伊藤は

自身が得意とするバックの9本を上回る、13本のウイナーを、フォアで量産した。

第1S 両者のウイナー数と内容
伊藤カルタル
サービスエースサービスエース
フォアウイナーフォアウイナー
バックウイナー2バックウイナー
ネット2ネット
セット計9セット計11
第2S 両者のウイナー数と内容
サービスエース1サービスエース0
フォアウイナー6フォアウイナー3
バックウイナー3バックウイナー1
ネット2ネット0
セット計12セット計4
第3S 両者のウイナー数と内容
サービスエース1サービスエース0
フォアウイナーフォアウイナー6
バックウイナー4バックウイナー3
ネット0ネット1
セット計9セット計10
マッチ通算30マッチ通算25

伊藤にとって、クレーコートでの戦いは、ITFツアーでは2021年11~12月にかけてトルコのアンタルヤ遠征以来、実に4年ぶり。まだプロ入り前の16歳の時、W15レベルでの戦いで7勝3敗だった。

今回のクレーコートシーズン入りを前に「クレーはめっちゃ嫌いです。絶対勝てないと思います。1勝したら奇跡です。クレーシーズンはまじで勝てたら奇跡だと思って」と、苦手ぶりを吐露していた。

その言葉とは裏腹に、フォアの強打以外にも、クレー仕様の「新型テニス」をしっかりと用意していた。

第1セットの第3ゲームではフォルトにこそなったが、

1ゲームに3度もサーブ&ボレーの姿勢を見せた。

ファイナルセットのラスト3ゲームはいずれもデュースにもつれ込んだもの。

ゲームカウント3-5の30-40のブレークチャンスでは、フェデラーのSABERばりの前進。

バックのジャックナイフリターンで勝負に出た。

惜しくもミスしたが、これが決まっていれば、本当に勝負は分からなかったはずだ。

弾むコートで、相手パワーに押し負けないよう、

ショートポイントで得点を奪いに行く新スタイルを幾度も見せた。

第1セットから最終セット序盤まで5度落とした自らのサービスゲームは、すべてラブゲームでのダウン。

従来の格上との対戦時のように、相手リターンから主導権を握られたものではなく、積極的になるあまり、自らが先にミスを重ねた末のものだった。

トータルポイントは「82」対「92」で相手が上。サービス時の両者のポイントウォンは「34」対「54」と、大きく水を開けられた。

しかしながらリターン時は「48」対「41」と、伊藤が圧倒していた。

サービスゲーム時の積極性のバランスさえ整えば、十分に戦える確信を得たはずだ。

この日、組み合わせが決まった国別対抗ビリー・ジーン・キング・カップ・ファイナルの、日本の準々決勝の相手はイギリス。カルタルは4月の同大会予選でシングルスNo.2を務めていた。前回初招集されながら出番がなかった伊藤とはいえ、

9月の中国・深圳で対戦の可能性もある格上相手に、キッチリと内容の濃い戦いをした。

また伊藤のWTAランク100位以内との対戦は、これで13度目。2024年までは1勝2敗だったが、今年に入ってからは6勝4敗と勝ち越している。

伊藤あおい世界ランク100位以内との対戦勝敗 7勝6敗
回戦対戦相手Rスコア
2023年9/6 ITF W100 安藤証券オープン
2回戦⚫️王希宇951-6,4-6
2024年10/16 WTA250 木下ジャパン・オープン
2回戦⚪️E・コッチャレット506-4,6-3
2024年10/29 WTA250 香港オープン
1回戦⚫️K・ボールター294-6,4-6
2025年1/3 WTA125K キャンベラ国際
準決勝⚪️N・パリザス ディアス916-2,6-2
2025年2/1 WTA500 アブダビ・オープン
予選1回戦⚫️S・ケニン756-7(4),2-6
2025年2/8-10 WTA1000 カタール・トータルエナジー・オープン
予選1回戦⚪️A・ボンダール944-6,6-3,6-3
予選2回戦⚪️V・グラチェワ706-2,6-4
1回戦⚫️J・オスタペンコ372-6,1-6
2025年2/14-16 WTA1000 ドバイ・デュティーフリー選手権
予選1回戦⚪️T・タウンゼント836-3,6-4
予選2回戦⚪️A・クルーガー407-5,6-2
1回戦⚫️B・ベンチッチ650-6,2-6
2025年3/19 WTA1000 マイアミ・オープン
予選2回戦⚪️E・リス784-6,6-4,6-2
2025年5/12 WTA125 クラランス・トロフィー
1回戦⚫️S・カルタル562-6,6-3,3-6

5月5日に初めてトップ100入りしたばかりだが、この日の50位台選手とのフルセットの戦いで、よりハッキリと上位ランカーと渡り合えるポテンシャルを示した。

伊藤にとって本番と言える、全仏オープン予選は1週間後の5月19日から。実戦テストの意味合いが強かった一戦を終え、修正の時間は、まだある。

敗れはしたが、今後への期待感が増すばかりの、「強打あおい」のお披露目だった。

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テニスうどん
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駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
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