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伊藤あおいの試合予定と結果は
データで深堀り

伊藤あおいが元グランドスラム女王に敗れる

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カタール・トータルエナジー・オープン1回戦で、世界120位の伊藤あおいが、元世界5位相手に敗れた。WTA1000のデビュー戦。2017年全仏の覇者で現在、世界37位のJ・オスタペンコ(ラトビア)と対戦し、2-6、1-6のストレート負けだった。時間にしてわずか54分。トータルポイントは34対60。全96ポイント中63.3%をオスタペンコに許した

フォアバックをひたすら強打するオスタペンコに、数字上は圧倒された。

第1S トータルポイント第2S トータルポイント
伊藤あおいオスタペンコ伊藤あおいオスタペンコ
18311629
36.7%63.3%35.6%64.4%

マッチ通算 トータルポイント
伊藤あおいオスタペンコ
3460
36.2%63.8%

特にリターンから、オスタペンコにストロークウィナーを量産された。伊藤から見たセカンドサービスウォンは、わずか23.5%。ファーストサービスウォンも、48.6%。

ここまで強打してくる相手はそうそういないとはいえ、元グランドスラム覇者に、リターンから完全に主導権を握られた

自らのサービスゲームのポイント獲得は22対31。わずか41.5%の取得確率にとどまった。

第2セット序盤は、センターにサービスエースを決めたり、より厳しいワイドを狙ったり、クイックモーションで打ったりと、相手のミスを引き出す、かなりの工夫が見られた。

それでも、このクラス相手では、スライス系のサービスだけでは、キープしていくのは難しいと感じたのではないか。その分、課題は明白と言えるのではないか。

試合後の伊藤は笑っていた。ゲームを奪えたのは3ゲーム。伊藤節になら「3ゲームが目標でした」と、言いもしそうだが、本当にただの完敗なのか。

プレー中の伊藤の目は、終始、今までにないほど、厳しく集中しているように見えた。

第1セットの第6ゲーム。オスタペンコのサービスゲームだった。わずか13分でゲームカウント1ー4。ただポイントを重ねるゲームになりそうなところだが、伊藤は違った。

オスタペンコの2連続ダブルフォルトでデュースに。先に1本取られ、アドバンテージを許したところ。一矢報いるため、伊藤は明らかに狙っていた。

バックのリターンをセンター気味に突き刺し、返ってきたボールを逆クロスにバックでウィナー。次のデュースサイドのリターンでは、完全にワイドサーブを読み切りポイントにつなげる。

アドバンテージ伊藤。オスタペンコがファーストサーブをミスすると、ここで伊藤はスルスルとリターンポジションをあげた。その距離、サービスラインから、わずか1メートル。女子では、なかなか見ない位置に突っ込んだ。

大げさではない。本当にロジャー・フェデラーのSABR(Sneak Attack by Roger)のような動きを見せたのだ。

そしてバックハンドのジャックナイフ

結果はネットミスだったが、本気で攻めてポイントを奪いに行った。従来、相手のサーブ力が明らかに劣る場面で、このような攻撃は見せていたが、この日は半ば強引と思えるほど、一撃必殺にこだわった。

その後、相手のフォアの2連続ミスなどを誘い出し、このゲームでこの日唯一のブレークに成功。百戦錬磨のオスタペンコも、確実に、怪訝な表情を浮かべていた。

第1セット第8ゲームのリターンゲームでも0ー30から、前に突っ込んでジャックナイフ。これもポイントならず。そして第2セット第4ゲーム、30ー15。この日3度目のバックハンド超速攻リターンで、ついにポイントを奪ってみせた。

先のサービスゲームの課題。

そして、ストレートへのフォアスラから、相手バックへのムービングボール、という伊藤が幾度となく国内ツアーで見せてきた「必殺技」は、オスタペンコの強打からのドライブボレーウィナーという形で、完膚なきまでに粉砕された。

また違ったレベルの相手とは、従来とは違った戦い方をしなければならない。そのチャレンジの本気度は、3度トライした超速攻リターンで明確だった。

伊藤はこの日、世界トップとの距離を確かに確かめた。54分間の完敗の時間は、きっと無駄にはならない。

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ABOUT ME
テニスうどん
テニスうどん
駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
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