小田凱人 飯塚国際3連覇


強敵 世界3位に雪辱
車いすテニスのITF世界ランク2位、小田凱人(18歳)が天皇杯・皇后杯第41回飯塚国際車いすテニス大会・ジャパンオープン(福岡県飯塚市)で見事、大会3連覇を果たした。
4月20日、男子シングルス決勝に臨み、第2シードでITFランク3位のM・デ ラ プエンテ(25歳=スペイン)を7-6,2-6,7-5で下した。2024年のウィンブルドンの準決勝では苦杯をなめ、大会連覇を逃すことになった相手との対決。
メルボンオープン、全豪オープンそして今大会と直接対決3連勝で、キッチリ借りを返した。
苦しかった決勝
決勝は、苦しみに苦しみ抜いた。
第1セット5-1リードから追いつかれ、なんとかタイブレークをモノにした。
第2セットは2-2からプエントに4ゲームを連取され、1セットオールとされる。流れは完全にプエントだった。
さらに最終セットもプエントの時間帯が続き、ゲームカウント3-5でプエントのサービスゲーム。30‐30とマッチポイントまで、あと2本に迫られた。
しかし、ここから小田が強さを発揮した。
怒涛のウイナー
バックの逆クロスのリターンから、凄まじい回転量のかかったフォアのダウンザラインでウイナーを奪い、イッキに流れを引き寄せた。このゲームをブレークした後は、怒涛のウイナーラッシュ。
残り3ゲームで何と11本ものウイナーを奪った。勝利を決める最後のポイントも、鮮やかなバックのストレートウイナーだった。
試合時間2時間31分の激戦。
トータルポイントは小田106に対してプエント108。
ポイント数では負けていたが、土壇場の凄まじい集中力で、文字通り勝利をもぎ取った。
勝つだけでは飽き足らない
小田は、大会を通じて、勝つだけでは飽き足らないと言わんばかりの、スーパープレーを見せ続けた。相手サーブのブレークポイントでリターンエースを決めたり、マッチポイントで素晴らしいウイナーを奪ったりと、常に「魅せる」プレーを意識しているように感じた。
世界トップレベルが集結した中でも、際立ったのが、ネットプレーへの果敢なチャレンジだった。
今大会のネットプレーのすべてを集計した。決勝こそ精度の高い超高速ラリーで試みる機会は減ったが、4試合通しての成功率は何と58.5%。
小田 今大会ネットプレー成功率 | |||
回戦 | 機会 | 成功 | 成功率 |
2回戦 | 13 | 8 | 61.5% |
準々決勝 | 11 | 6 | 54.5% |
準決勝 | 22 | 14 | 63.6% |
決勝 | 7 | 3 | 42.9% |
合計 | 53 | 31 | 58.5% |
ATPのプロレベルでもネットの成功率は5割を超えるだけでも十分に意義があるとされる。相手が感じるプレッシャーを高めたり、勝負どころでのミスを誘発する可能性が高いからだ。
4試合の中では、サーブアンドボレー。鮮やかなリターンダッシュからのバックボレーウイナー。驚愕レベルと言えるバックハンドのスマッシュもあった。
この日も第1セット序盤は3度の鮮やかなスマッシュ、ボレーウイナー2本を決めた。
ネットに出るだけでスーパー
1度、冷静に考えてほしい。
横10.97㍍の広いシングルスコートを、車いすを使った状態でカバーするのだ。
もちろん相手からは、頭上を狙われるスピンロブだってある。
小田は一旦前に行く素振りから相手のチェアワークを見て、瞬時にステイバックに切り替えるシーンもあった。
ただ突進するのではない。
相手のホイールの動きを見ながら、左右だけでなく、高さのコースも限定させて、ブレーキのない車いすで急激に前進し、ボレーするのだ。「切り返しで、左右に飛びつくことだってある。
これがいかに難度が高いことか、車いすに乗ったことがなくても、テニスをしたことがある方なら分かるのではないか。
健常者の最後は反応勝負でなんとか、といった世界ではない。少しでも何かが間違えば、到底、ボールに触れることすらできない。
完璧な配球、組み立て、読み、観察力、ハンドリムへの推進力、チェアワーク、強靭なフィジカル、ダッシュ後のリカバリー力。すべてが揃った時しか成功し得ない、まさにスーパーショットだ。
オンコートだけではない、血が滲むような反復練習の末、成立しているプレーなのだと、想像すればするほど、驚嘆の声が漏れてしまう。
1試合平均13度の挑戦
小田以外のプレーヤーを見る限り、せいぜい1セットに1、2度あるかのネットに付くシーン。しかも、そのほとんどが、完璧なアプローチを打った後、という流れの中でのプレー。
だが、小田は、それをサーブや、リターンの1本目から行うこともしばしばだった。しかも4試合で53度、1試合平均13度以上も試みた。そして、そこに至るまでだけで驚愕に値する「スーパープレー」を6割近く成功させたのだ。
大会18連勝
小田は大会前から「(飯塚では)シングルス、今のところ全部勝っているので負けられない。ずっとこの大会で王座に君臨していたいと思っています」と話していた。
ただの3連覇ではない。
従来の車いすテニスを、別次元のレベルにまで引き上げようとする小田の心意気がはっきりと感じられた。
16カ国・地域から63人がエントリーし、グレードもグランドスラムの次に高い、ITF Super Series。
3連覇前に出場した2019年にも優勝しており、これで4度目の優勝、無敗の18連勝だ。
小田の言葉に充実感があふれた。
「相手が常に良かったので耐えるしかないと思った。耐え抜いて最後に勝ち切れた」
国内で唯一開催されるビッグな大会は、まさに「小田による、小田のための大会」となった。
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