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伊藤あおいの試合予定と結果は

錦織3球目攻撃で驚きの16ウイナー

錦織パリバ表紙
tennis udon
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世界ランク76位の錦織圭選手が3月5日、BNPパリバ・オープン1回戦(ATP1000、インディアンウェルズ)に出場し、世界ランク58位のJ・ムナル(スペイン)を下した。スコアは6-2,5-7,7-6。ファイナルセット、タイブレーク2時間57分の激闘を制した。

▶「tennisTV」動画より

錦織がゲームを支配できた、最大の理由が、3球目攻撃によるウイナーの数の多さだった。ムナルの3本に対して、錦織は16本ものウイナーを奪った。

トータルウイナー数はムナル23本に対して錦織44本と、21本も多く圧倒した。しかし、その分、錦織はアンフォースドエラーも多かった。ムナル39本に対して59本と、逆に20本差を付けられた。トータルポイント差はムナル109に対し116と、わずか7ポイント差の僅差だった。

それでも、錦織は最後まで自分から攻撃を仕掛け、自分からゲームを支配する姿勢を貫いた。緩急織り交ぜたサービスから、きっちりとポイントを組み立て、セオリー通りの3球目攻撃、さらには5球目以降のウイナーへとつなげていった。

ラリー回数別のポイント数
0~4ショット
ムナル錦織
サービスエース
リターンエース
3球目ウイナー16
4球目ウイナー
12ウイナー数計21
63ポイント数69
5~8ショット
10ウイナー16
33ポイント数33
9以上ショット
ウイナー
13ポイント数14
109トータルポイント計116

3球目攻撃の16ウイナーといえば4ゲーム分のポイント数に相当する。ビッグサーバー、サーブアンドボレーヤーではない錦織には際立って多い数字だった。その大きく上回った分の差が、ほぼ、そのままポイント数の差となった。

3球目のショットで決まった16本のウイナーと、その時のスコアを、すべてを書き出してみた。

サービスこそファーストからスピードを落としたデュースサイドのスライス、アドバンテージサイドのスピンが目立ったが、3球目のショットは実に多彩だった。

フォアの回り込み一辺倒ではなく、サーブアンドボレーを織り交ぜたり、バックのダウンザラインを用いたり。ムナルを混乱させるには十分なバリエーションの豊富さだった。

ポイントも平行カウントか1ポイント差がほとんど。いかに勝負どころで錦織がショートポイントにこだわったかが、よくわかる。

第1セット
ゲーム
カウント
サービス
コース球種
3球目
コース内容
3-0
15-15
フォアに
スライスS
フォアボレー
逆クロスウイナー
3-0
30-40
バックに
スピンS
バックのクロス
ウイナー
3-0
AD錦織
フォアに
スライスS
フォアのクロス
ウイナー
4-1
0-0
Tゾーンに
フラットS
フォアのストレート
ウイナー
5-2
30-15
バックに
スピンS
バックボレー
逆クロスウイナー
5-2
40-30
バックに
スピンS
バックのストレート
ウイナー
第2セット
0-1
30-30
フォアに
スライスS
フォアのストレート
ウイナー
2-3
15-0
ボディーに
フラットS
フォアの逆クロス
ウイナー
3-4
30-40
バックに
スピンS
バックボレー
逆クロスウイナー
4-5
30-40
バックに
スピンS
フォアの逆クロス
ウイナー
第3セット
1-2
30-0
フォアに
スライスS
バックボレー
クロスウイナー
4-3
15-15
フォアに
スライスS
フォアの逆クロス
ウイナー
4-3
30-15
バックに
スピンS
フォアのストレート
ウイナー
4ー5
40-40
ボディーに
スライスS
フォアの逆クロス
ウイナー
5-6
30-30
フォアに
スライスS
フォアの逆クロス
ウイナー
5-6
40-30
ボディーに
フラットS
バックのストレート
ウイナー

サービスゲームで第1セットは4度のブレークポイントを迎えたが、4度すべてで死守。第2セットは8度中5度、第3セットでは2度中1度と、通算14度のブレークポイント中10度も錦織はしのいだ。その確率71%。対するムナルは8度のブレークポイントしか与えなかったが、3度しかセーブできなかった。その確率38%。ポイントメイクのうまさの差は歴然だ。

足の痙攣で第3セットにメディカルタイムアウトを取るなど、決して本調子とは言えない中で、錦織が幾度もピンチを切り抜けることができたのは、間違いなく短いラリーを制したおかげだった。錦織がブレークポイントをセーブした10度のうち7度までが4球以内のショートポイントで切り抜けたものだった。

逆から見たブレーク成功割合は錦織63%(5/8)に対して、ムナル29%(4/14)。相手の3球目攻撃を許さないどころか、きっちりと仕留めに行く、さすがのリターン力だった。

少ないチャンスを活かした錦織は5度ブレーク成功。逆にムナルは4度のブレークと、結果が逆転する最大の理由となった。

2月の出場2大会はいずれも初戦敗退だったが、錦織にとっては、およそ1カ月ぶりの勝利となった。次戦、2回戦の相手はフランスのU・アンベール。第18シード、世界19位の難敵だ。

ムナルより1ランク上のリターン、サービスの持ち主なのは確実で、この日のように簡単にショートポイントを奪えるほど、甘い相手ではないだろう。「体が動かなくなって、あきらめそうになりました」と心配なコメントも残したが、全力のリカバリーで2連勝を期待したい。

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ABOUT ME
テニスうどん
テニスうどん
駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
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