2025.01.07 2025.02.23

石井さやか170キロフォア対伊藤あおいの巻

tennis udon

テニスうどん

170キロって、石井のフォアハンド速すぎないか！

　石井さやかが鮮烈なフォアハンドで４大大会予選デビューを飾った。全豪オープン予選の２日目、注目の日本人対決、石井対伊藤あおい。６ー３、６ー４で石井に軍配があがった。持ち前の強烈なサーブとフォアハンドで終始、プレッシャーをかけ続けた。伊藤あおいの登場でテニススクールで「フォアスラ」を打つ人が続出中との話だが、この日ばかりはフォアの「フラットスピン」の威力が勝った。

伊藤下した石井のフォア

　かつて知ったる者同士の対決。石井は今まで苦戦していた伊藤のフォアスラのストレートにも、しっかり配球された丁寧なバックハンドで対応し、成長を見せつけた。伊藤もフェデラーのSABERばりのリターンダッシュを見せるなど、ネットプレーになんとか活路を見出そうとした。しかしながら石井が「沼」にはめられる気配は最後までなかった。

　▶石井＆伊藤のストロークでのウイナー比較

石井フォア	石井バック		伊藤フォア	伊藤バック
10	３	第１S	２	０
８	３	第２S	２	１
18	６	通　算	４	１
	24		５

　伊藤の５本のストロークウイナーに対し石井は実に24本。アンフォースドエラー（凡ミス）の数は第１S、石井「11」に対して伊藤「５」。第２Sは「９」ずつ。強打の石井が完全に打ち勝った。ここまで差がつけば石井はのびのびプレーできた。

　伊藤にしては珍しいダブルフォルトも５本。第１セット石井から５ー３で迎えた伊藤のサービスゲーム。０ー40からのダブルフォルトであっさりセットを落とす。第２セット石井から５－４リードで迎えた伊藤のサービスゲーム。もつれる展開になるかと思いきや、15ー15からダブルフォルトで、あっさりこのゲームダウンで石井に仕留められた。典型的なリターン強打の重圧に、屈した形だった。

　無理もない。とにかくこの日の石井のフォアハンドは強烈だった。ウイナーの球速を１つずつ見直すと驚いた。170キロ超えが３本もあるではないか。石井のこの日の最速サービスが180キロ。１stサーブのアベレージが156キロ。伊藤の１st最速は148キロ。いかにこの170キロが規格外か、伝わるだろうか。

　ATP男子は時にフォアウイナーが200キロ近いこともあるが、一般的にWTA女子のフォアハンドは速くて150キロほどと認識している。測り方はあれど、ドジャース大谷が広いコートに向かって、縦横無尽にストレートを投げ込むようなものだ。

　３本の内容を見てみよう。１本目、第１S、０ー１で迎えた自らのサービスゲーム。第２Gはデュースにもつれ込んだ。AD伊藤で迎えた自らのピンチ。①ボディー気味のサーブ②正面にスライス返球されたリターンをフォアで相手バックに突き刺す③力ない返球をベースライン上に入り込み、完全に構えきったところから、キレイなダウンザラインでノータッチ。読みの良い伊藤がクロスに体重を移したところを完全に決めきった。この日最速の177キロ！

　２本目、第１S、１ー２で迎えた第４G、また自らのサービスゲーム。30ー15。①センターにフラットサーブ②伊藤のスライス返球はTゾーンに落ちる③ベースライン１メートル前に入って完璧なクロス。伊藤のフォア側、ベースライン角に突き刺さる。173キロ。これまた伊藤は逆に動いていた。

　３本目、第２S、１stを取った後の大事な立ち上がり第１G。自らのサービスゲーム30ー０。①デュースコートで完璧なセンターサーブ②バックのスライス返球はベースラインセンター付近に③コースを隠し超高速スピンのクロス。伊藤は相手を惑わすためフェイク気味にバック側へと動いたが、意に介せず振り抜いた。スピン気味なのに173キロ。石井が静かに拳を握った。おそらく勝負をモノにした手応えがあったのだろう。

　2024年全日本選手権の覇者。話題では１歳上の伊藤あおいの方が先行気味だったが、この日見せたサーブ、フォアの３球目攻撃で世界に挑む。その覚悟とポテンシャルの大きさを存分に見せてもらった。一方の伊藤は、同じ日本人選手から世界レベルのパワーとの差を感じさせられたかもしれない。

　石井の本戦出場まであと２勝。次戦は日本時間８日。現在世界208位、４大大会過去９度の出場を誇る29歳ベテランSachia Vickery（米国）と対戦する。

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#伊藤あおい #石井さやか