坂本怜 グランドスラム初勝利ならず

4時間近い激戦の末
坂本怜が自身初となるグランドスラム本戦に出場したが、初勝利はならなかった。
世界ランク203位、坂本怜(19歳)が1月20日、全豪オープン1回戦に臨み、世界ランク150位のラファエル・ホダル(19歳=スペイン)と対戦。6-7(8),1-6,7-5,6-4,3-6のフルセットで敗退した。試合時間は3時間51分。
同じ2006年生まれ。ともに予選を勝ち上がって初のグランドスラム本戦。「全豪オープンジュニア覇者」対「全米オープンジュニア覇者」と似通った点が多かった「同世代対決」に惜しくも敗れた。
| 坂本の過去のグランドスラム成績=選手名の後ろは当時の世界ランク | ||||
| 2025年1月 全豪オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚫️ | T・ボイヤー | 136 | 0-6,2-6 |
| 2025年8月 全米オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚪️ | T・ジンク | 348 | 4-6,7-5,7-6(8) |
| 予選2回戦 | ⚫️ | I・ブセ | 135 | 4-6,6-4,4-6 |
| 2026年1月 全豪オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚪️ | D・エバンス | 187 | 6-1,6-2 |
| 予選2回戦 | ⚪️ | C・スミス | 148 | 6-4,6-4 |
| 予選決勝 | ⚪️ | G・ゼッピエリ | 156 | 6-2,6-2 |
| 1回戦 | ⚫️ | R・ホダル | 150 | 6-7(8),1-6,7-5,6-4,3-6 |
▶「Australian Open」YouTubeより
第1セット セットポイントも
第1セット、坂本は苦しみながらも必死に食らいついた。
両者オールキープでタイブレーク突入。
タイブレークは4-4から先にミニブレークして5-4リード。すぐにミニブレークバックされたが、キープして6-5。リターンながらセットポイントを迎えた。
ここで両者渾身のラリー。
18本目のフォアを坂本がミスして、セット奪取を逃した。
第2セットで連続キープストップ
第2セットは、ファーストセット奪取で楽になったホダルに、ますます攻め込まれた。
1-1の第3ゲームで先にブレークを許す。予選3試合25ゲーム連続サービスキープしていた坂本だったが、
ついに今大会33ゲーム目のキープ失敗。
第5、7ゲームと3連続ブレークを許し、1-6で2セットダウン。
あとがなくなった。

意地見せた第3セット
第1、2セットのリターンゲームで坂本がポイントを奪えたのは、
49ポイント中、わずかに7ポイント。
ブレークポイントは第1、2セットともゼロ。
このままノーチャンスで終わると思われた。
| セット別 レシーブポイントウォン | ||
| 坂本 | ホダル | |
| 12%(4/34) | 第1S | 26%(11/43) |
| 20%(3/15) | 第2S | 50%(16/32) |
| 45%(18/40) | 第3S | 38%(16/42) |
| 31%(9/29) | 第4S | 29%(10/34) |
| 38%(16/42) | 第5S | 27%(6/22) |
| 31%(50/160) | 通算 | 34%(59/173) |
だが坂本はここから驚異的な粘りを見せる。
相手のスピンサーブを果敢に前へ踏み込んでのリターン。
少ない甘い球を見つけ次第、思い切ってダウザラインに展開する「勝負」に出た。
これが試合を追うごとに決まり始めた。
ラケット投げても切れず
第3セット第10ゲーム以降、ホダルは明らかにストレート勝利を狙ってギアを上げた。
だが、ここでも坂本は負けずに応戦。
ほとんどのボールがベースライン付近というハイレベルなラリーの攻防を繰り広げた。
5-5で迎えたリターンゲーム。0-15で坂本は痛恨のボレーミス。
ラケットをコートに叩きつけ悔しがった。
昨年までの坂本ならここで集中力が切れていたかもしれない。
だが、ここから見事に立て直した。
第3セットは5度のブレークポイントのうち2度ブレーク成功。7-5。
| セット別 ブレークポイントウォン | ||
| 坂本 | ホダル | |
| 0%(0/0) | 第1S | 0%(0/4) |
| 0%(0/0) | 第2S | 75%(3/4) |
| 40%(2/5) | 第3S | 33%(1/3) |
| 100%(1/1) | 第4S | 0%(0/1) |
| 0%(0/3) | 第5S | 33%(1/3) |
| 33%(3/9) | 通算 | 33%(5/15) |
第4、5セットも坂本ペース
安定感あるサービスキープを続け、リターンゲームでは相手にプレッシャーをかける。
坂本のこの流れは第4セット以降も続いた。
リターン時のポイント奪取率は坂本の方が終始上回った。
だが、思わぬアクシデントが両者の明暗を分けた。
ファイナル 魔の第6ゲーム
ファイナルセット2-3で迎えた坂本のサービス第6ゲーム、30-30。
激しいスライディングでボールを追いかけた直後のファーストサービスで、坂本の左脚に異変が発生する。
続くセカンドサーブで左脚に体重を乗せると、明らかに痙攣が起きた。
3球目のバックをミスし、ブレークポイントのピンチ。
左太ももを叩き、なんとか回復までの時間を作ろうとするが、
タイムバイオレーションまで取られた。
そんな状況下で必死にデュースに持ち込み、2度目のブレークポイントも7球目の渾身のフォアストレートウィナー。
陣営に心配するなとばかり、大きくガッツポーズ。
感動的なファイティングスピリッツを見せた。
だが、3度目のブレークポイントまでは防ぎきれなかった。
痙攣さえなければ…
ファイナルセットもブレークポイントの数は同じ3回ずつだった。
だが、そこまでの内容が違う。
レシーブ時のポイントウォンは坂本38%(16/42)。対してホダル27%(6/22)。
坂本の方が大きく上回っていた。
左脚が痙攣したゲームの6ポイント以外、坂本は、なんと1ポイントも失っていなかった。
ホダルは5度のサービスゲーム中4度までがデュースにもつれ込んだ。
対して坂本はブレークされたゲーム以外のすべてをラブゲームキープ。
第1、2セットあれほどチャンスがなかったリターンゲームで、ホダルを完全に追い込んでいた。
さらにファイナルセットのトータルポイントウォンは「32」対「32」と互角。
この数字を見ると、何より悔やむべきは痙攣後の4ポイント。
あれさえなければ…。
違ったスコアになったのは間違いない。
もっと言えば坂本の方が確実に勝利に近かっただろう。
ネクストジェンでリベンジを
とはいえ、予選上がり同士の接戦というような一戦ではなく、グランドスラムらしい、実にハイレベルな好マッチだった。
例年以上に厳しいオフのトレーニングに臨み、肉体強化して臨んだ初の5セットだったが、
坂本にとっては、フィジカル面での課題も見えたことだろう。
「5セットを楽しみたい」との試合前の言葉通り、その難しさ、面白さも知ったはずだ。
グランドスラム1勝こそ、「ライバル」に先んじられたが、互角に渡り合える逸材であることだけは、確実に世界へ証明した。
今シーズン終盤には、坂本もホダルも、きっとネクストジェン出場を決めていることだろう。
リベンジの機会は、まだまだあるはずだ。




