伊藤あおいの逆転生んだリターン力


見事な逆転勝利
伊藤あおいが久々の勝利だ。WTA1000のカタール・トータルエナジーズ・オープン(ドーハ)の予選1回戦。アンナ・ボンダール(ハンガリー)を4ー6、6ー3、6-3の逆転で下した。伊藤の世界ランクは現在114位。世界ランク94位、最高位は2022年7月の50位という格上選手を相手に、きっちり競り勝った。自身にとって約1カ月ぶりのうれしい白星となった。
第1セット、4ー4の自らのサービスゲーム。30ー15から得意のフォアスラを2本連続ミス。さらにダブルフォルトでこのゲームを失う。次のゲームをデュースの末、キープされ1セットダウンの苦しい展開だったが、ここから巻き返しに成功した、データを探る。
第2セット積極的に展開しラッシュ
1セットダウンで迎えた第2セット、自らの最初のサービスゲーム。0-30と追い込まれたが、ここから開き直ったように、積極的に打って出る。ライジング気味の速いテンポ、どちらかといえば得意ではないというフォアでも積極的に展開した。デュースの末、キープに成功すると、さらにアグレッシブさは加速した。続く第2ゲーム、ドロップショットなどを織り交ぜブレークに成功。第4ゲームもブレークし、イッキに4-0と引き離した。
これまでの伊藤は、のらりくらりとゲームを重ね、プレッシャーのかかるゲームをうまく奪う印象が強かった。いわゆる「沼」戦法とは違い、この日はすさまじい猛攻のラッシュ、連続ポイントのラッシュだった。第2セットは伊藤の6-3で1セットオールに追いつく。
第3セットは「沼」
伊藤が積極的に打ってくるとなれば、当然、ボンダールも、打ち合いを臨んでくる。ファイナルセット。ここで伊藤本来の力が発揮される。フォアスラ、ムービングボールを駆使し、相手のミスを誘い出していく。このセット、5度のブレークポイントのうち2度のブレークに成功。逆に自らのブレークポイントはゼロだった。
伊藤の1stサービスイン確率は81%(21分の17)、1stサービスイン時のポイント獲得率は76.5%(17分の13)、2ndイン時のポイント獲得率も75.0%(4分の3)。攻撃にはやる相手の気持ちを逆手にとり、付け入るスキを与えなかった。第2セットで積極的に自分が仕掛けた分、いつもの自分の形でポイントが転がり込んだ。
攻撃支えたリターン力
伊藤のボンダール戦 相手のファースト、セカンド時のリターンポイント獲得率 | |||||
第1S | 第2S | 第3S | |||
1st Return Points Won | |||||
37.5% | 9/24 | 55.6% | 10/18 | 41.2% | 7/17 |
2nd Return Points Won | |||||
64.3% | 9/14 | 63.6% | 7/11 | 56.3% | 9/16 |
トータル | |
1st Return Points Won | |
44.1% | 26/59 |
2nd Return Points Won | |
61.0% | 25/41 |
相手のサービスはかなり強力だった。ファーストは女子選手ではトップクラスのフラット系、セカンドも相手のバック肩口にはねる強烈なスピンサーブ。それでも自らの形に持ち込めたのは、伊藤のリターン力があったからこそだった。
相手のファーストイン時でも44.1%を得点に結びつけた。特にセカンドでは61.0%。スライスのブロックリターンを駆使しながらも、ディフェンシブにはなりすぎず、以前よりも積極性が目立った。トータル100度のリターン機会で51度のポイント獲得と、半分以上を手にした。
ちなみに全豪オープン予選石井さやか戦の1st Return Points Wonを見ると、38%、セカンドでは43%。トータル40%(23/58)。これも決して悪すぎる数字ではないが、石井のパワーに圧倒され、3球目で仕留められるパターンが目立っていた。それを見事に解消した数字だ。
国内ツアーとはワンステップ違う戦い方
シーズン初戦で、キャンベラ国際を優勝する衝撃のスタート。だが、その後は全豪オープン予選1回戦で石井さやかに3ー6、4-6のストレート負け。
続くシンガポール・オープンでも予選1回戦でシングルス世界632位ながら、キャリアハイ34位のベテラン、ゼン・サイサイ(中国)に4ー6、2-6で完敗。アブダビ・オープン予選1回戦では世界21位ソフィア・ケニン(米国)に6ー7(4)、2-6で敗戦。昨年の木下オープンで勝利した強敵に、リベンジを許していた。
3連続の初戦ストレート負け。
世界に戦い方を知られ、稀有なプレースタイルの有利性は失われつつある。またフィジカル、パワー負けしていることも当然、本人は自覚しているはずだ。
伊藤の「うまさ」の持ち味を活かすには、相手に完全に主導権を与えないリスクを、国内ツアー以上に取る必要があるのだろう。それが、まずは成果が形となって現れた。
伊藤の次は予選決勝。予選第8シードのヴァーヴァラ・グラシェバ(フランス)と対戦する。現在70位ながら、昨年東レ・パンパシフィック・テニスで本玉真唯を破ってもいる世界元39位の、これまた強豪だ。伊藤の進化しつつあるテニスが、本当に通用するか、大事な一戦。勝てば、WTA1000の本戦という大舞台が待っている。

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