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小田凱人 攻めて全仏1回戦突破

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車いすテニス男子世界1位で第1シードの小田凱人(東海理化=19歳)が6月3日、パリで行われている全仏オープン男子シングルス1回戦に臨んだ。世界6位のS・ウデ(54歳=フランス)を6-3,7-5のストレートで倒した。3年連続優勝を目指すローランギャロスで幸先よい1勝を挙げた。

難しい初戦だった。全仏オープン連覇を始め、単複合わせグランドスラム22回優勝を誇る、地元のレジェンドといきなりの対戦。だが、持ち前の攻撃的なテニスを存分に見せ、1時間26分で難敵を振り切った。

第1セットは6-3。しかし第2セットは先に2ブレークを許し0-4とされる厳しい展開。だが、ここから、ウィナーの嵐を浴びせた。

7-5の大逆転でこのセットをモノにするまで、8ゲームで23本のノータッチウィナーを量産。終わってみれば、フォアウィナー22本、バックウィナー18本。

トータル45本と驚異的な数字を残した。

小田の各セット ウィナー数
第1S第2Sマッチ
サービスエース
フォアウィナー1622
バックウィナー18
ボレーウィナー
セット計153045
※リターンエースを含む

大会前には、より攻撃的なテニスを目指す考えを、宣言していた。

「コートの中に入っていって、ボレーで最後はフィニッシュしたり、自分のフォアハンドやバックハンドのウィナーで、エースを取って試合を支配していくというのが自分のスタイル」

この数カ月、より集中して取り組んできたというテーマを、弾む赤土のコートの上で見事に体現した。

サービスゲームは文字通りコート内に入り込んで3球目攻撃で圧倒。コートアレーからバックのポール回しダウンザラインも決まった。ネットでは老獪なウデのパッシングに苦しんだが、最終ゲームは2本のボレーウィナーを奪った。

ラスト8ゲームは、文字通り相手を支配し続けた。

小田は、相手のS・ウデと因縁があった。2023年、全豪オープン準優勝、全仏オープン優勝、ウィンブルドン優勝で迎えた全米オープン。今回と同じ1回戦でぶつかり1-6,1-6で完敗した。グランドスラム3大会連続優勝をかけた舞台で、まさかの初戦敗退だった。今回は2年前と似たシチュエーションでの対決だったが、きっちりと勝ちきった。

今大会では、そのウデとダブルスを組む。54歳と19歳、年齢差は35歳。24歳でバイク事故に遭い左大腿部を切断。障害者ゴルフで活躍した後、34歳からテニスに転向した大ベテランから、吸収できるものはすべて吸収する意欲だ。

パリの凱旋門にちなんで名付けられた男。パリ・パラリンピックで金メダル獲得の瞬間、ホイールを外し、赤土に寝そべった感動のシーンもまだ記憶に新しい。

「色んな大会に出てきましたけど、ローランギャロスの会場が一番自分に合っているなと思います」

宿命とも言える、このサーフェスとの相性の良さは、本当にすさまじい。

初めて4大大会に挑んだ16歳だった2022年6月2日、全仏オープン準決勝で38歳の国枝慎吾に敗れて以来、丸3年間、負け知らず。

パリ・パラリンピックを含めて14連勝。勝率は17勝1敗の9割4分4厘だ。

2022年全仏オープン 小田の車いす男子シングルス成績
回戦対戦相手スコア
1回戦⚪️N・ペイファー6-1,6-3
準々決勝⚪️G・リード6-1,6-4
準決勝⚫️国枝 慎吾2-6,1-6
2023年全仏オープン 小田の車いす男子シングルス成績
回戦対戦相手スコア
1回戦⚪️荒井 大輔6-1,6-4
準々決勝⚪️R・スパールハレン6-2,2-6,6-4
準決勝⚪️M・デ ラ プエンテ6-2,7-6(6)
決勝⚪️A・ヒューエット6-1,6-4
2024年全仏オープン 小田の車いす男子シングルス成績
回戦対戦相手スコア
1回戦⚪️R・スパールハレン7-6(7),6-2
準々決勝⚪️T・エフベリンク6-1,6-4
準決勝⚪️三木 拓也6-1,6-1
決勝⚪️G・フェルナンデス7-5,6-3
2024年パリ・パラリンピック 小田の車いす男子シングルス成績
回戦対戦相手スコア
2回戦⚪️B・バートラム6-2,7-6(4)
3回戦⚪️D・ロドリゲス6-0,6-1
準々決勝⚪️T・エフベリンク6-4,6-1
準決勝⚪️G・フェルナンデス6-2,7-5
決勝⚪️A・ヒューエット6-2,4-6,7-5
2025年全仏オープン 小田の車いす男子シングルス成績
回戦対戦相手スコア
1回戦⚪️S・ウデ6-3,7-5
準々決勝⚪️D・カベルサスチ6-2,5-7,6-0
準決勝M・デ ラ プエンテ
決勝

「1年の中でも、一番楽しみだし、注目してもらえるタイミングだと思うので、このチャンスを逃さず最後まで勝ち切りたいです」

赤土パリの連勝街道はどこまで続くのか。小田の言葉通り、優勝すれば、その数字は「17」にまで伸びる。

準々決勝の相手はD・カベルサスチ(31歳=スペイン)に決まった。

過去4勝1敗、小田と同じ左利きの世界7位。

油断はできないが、「速攻」で勝負をかける支配的な「小田スタイル」が崩れない限り、もはや相手の出来は関係なさそうだ。

※準々決勝も勝ち、パリ連勝を15に伸ばしベスト4入りを決めた。

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ABOUT ME
テニスうどん
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駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
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