伊藤あおいデビュー戦勝利ならず


第1セット奪うも逆転負け
世界ランク108位、伊藤あおい(21歳)が、惜しくもグランドスラム初勝利を逃した。
6月30日、ウィンブルドン1回戦に臨み、世界ランク80位、カミラ・ラヒモワ(23歳=ロシア)に7-5,3-6,2-6で逆転負けした。
伊藤にとって、グランドスラムを通じて初のデビュー戦で、いきなり初勝利を挙げことはできなかった
「うざさ」見せた
第1セットは先に2ブレークされゲームカウント2-5とされた。
だが、ここから伊藤自らが持ち味として挙げた「うざさ」を存分に見せつけた。
サービングフォアザセットだったラヒモワを嘲笑うかのように3連続ブレークで5ゲーム連取。この間のポイントは20-5。
面白いようにダウンザラインへのフォアスラで相手のバックのミスを引き出した。
象徴的だったのは第12ゲーム30-30からの2ポイント。コードボールになって前に出てきた相手をバック後方にトップスピンロブ、何とか返した相手の右横を楽々と抜き去るバックのバッシングショット。
続くセットポイントでは、クロスのボールをフォアスラで返球した後、足を取られ転倒。だが、何とか立ち上がり返球し続け、9球目を相手にミスさせた。
このセット7-5で奪う大逆転。
相手のイライラは頂点に達していた。
相手上回る点も多数
第2セット以降、ラヒモワも冷静さを取り戻した。バックのミスを減らし、強打で押し切った。伊藤も最終セット2-5、15-40から2本マッチポイントを逃れる粘りを見せたが、ここまでだった。
コートの適応に時間がかかったためか、特に序盤多かったフォアスラのミス、さらに8本のダブルフォルトはあったが、それでも最終スタッツで、相手を上回る項目も多数あった。
伊藤あおいVSラヒモワスタッツ | ||
ラヒモワ | 項目 | 伊藤 |
1 | エース | 1 |
4 | ダブルフォルト | 8 |
50% | 1stサーブイン | 60% |
72% | 1stサーブPW | 54% |
37% | 2ndサーブPW | 40% |
53% | ブレークPW | 55% |
5/11 | ネットPW | 12/19 |
30 | ウィナー | 20 |
35 | UE | 33 |
95 | トータルPW | 84 |
PW=ポイントウォン、UE=アンフォーストエラー |
特にネットでのポイントウォンは12/19と相手の5/11をポイント数、確率とも大きく上回った。
絶妙なタッチでフォアボレー4本、バックボレー2本のウィナーを奪った。パッシングショットも機会3本すべて成功。
グラスコートでも十分に戦える適性を、感じさせた。
頼もしき視野の広さ
直前の繰り上がりで権利を手にした本戦切符。「ラッキー感は否めない」と笑う強心臓ぶりは、テニス選手なら誰もが憧れる「聖地」でも一向に変わらなかった。
ウィンブルドン史上最も暑い開幕となった最高気温32℃の灼熱コート。
コートチェンジの際、日よけの傘をかけてくれるボールボーイに、毎回丁寧にお礼を言い、ラヒモワが奇声を上げて感情をあらわにするシーンも、冷静に観察していた。
ラケットをクルクル回して集中力を高める仕草、ダブルフォルトして笑みをこぼす姿。すべてが普段通り。大舞台でも浮足立つところは全くなかった。
同大会は今年から自動ライン判定になったが、セルフジャッジ慣れしてか、機械が「アウト」と判定しているのに、大きなジェスチャーで自ら「アウト」をアピールする姿も、いつも通り? だった。
類まれなる視野の広さで、少しでも相手の嫌がる部分を見つけ出そうとする冷静さは、どんな大舞台でも同じだった。
グランドスラムで唯一、予選と本戦会場が違うウィンブルドンで、貴重な雰囲気を味わった。真っ白なウェア姿で、西日を浴び真っ黒に日焼けしながら戦った2時間1分。
敗れはしたが、忘れられない瞬間になったことだろう。
次は得意のハードコートシーズンに戻る。グランドスラム1勝は、8月の全米オープンに取っておく。
▶「WOWOW official」動画より
伊藤あおい第1セット2-5からセット奪取
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