伊藤あおい8ゲーム連取された後の変化


ベンチッチに2ゲームしか奪えず
世界120位の伊藤あおい選手がWTA1000のドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権1回戦に臨み、世界65位ベリンダ・ベンチッチ(27歳)に敗れた。
試合時間1時間3分、スコアは0-6、2-6のストレートだった。
先週のWTA1000、カタール・トータルエナジー・オープンの元世界5位、エレナ・オスタペンコ戦の2-6、1-6に続く1回戦敗退となった。
ベンチッチは65位の選手じゃない
65位のランクだけを見て、誤解なさる方もいるかもしれないので、ベンチッチがいかに世界トップクラスの選手であるかを、まずは振り返っておこう。
2019年の全米オープンでは当時、世界1位だった大坂なおみを破る番狂わせなどでベスト4進出。(大坂との対戦成績は、2025年の全豪オープンの棄権勝ちを含めて4勝2敗)。
またウィリアムズ姉妹の両方を、破った7人のうちの1人(他にヒンギス、シャラポワ、クライシュテルス、エナン、チャクベタゼ、大坂)。
2020年2月にキャリアハイの世界ランク4位。2021年、東京五輪シングルス金メダリスト。
2023年も2大会制覇するなど31勝13敗と絶好調だったが、9月に入り産休。2024年4月に第1子となる女の子ベラちゃんを出産。わずか半年後の10月に実戦復帰。
2025年1月の全豪オープンで、いきなりベスト16入り。さらに2月8日、WTA500「ムバダラ・アブダビ・オープン」でママになってから初優勝して、通算9度目のツアー制覇。
ベンチッチの世界ランクは産休明け上昇過程での65位であり、本当の実力的には、世界トップ20位内の選手なのは間違いない。
35分間の一方的な展開から
伊藤はこの日、第1セットをわずか25分で失った。第2セットも第1ゲームでブレークを許しゲームカウント0-2。35分間で8ゲーム連取を許した。
だが、ここから、ここまでとは違うテニスを見せた。元世界4位相手に、今の自分にできうる限りの順応をしてみせた。
第3ゲームで4度のデュースの末、自らのサービスをキープし初めてゲームを奪う。第5ゲームこそブレークを許したが、第7ゲームもキープ成功。特に第8ゲーム、ベンチッチのサービングフォーザマッチの1ポイント目で、今後の伊藤が目指しているだろう理想の形が見て取れた。
見せた理想の形
相手ファーストサーブをきっちりフォアスラリターン。センターの打ち合いから相手バックへ、高さのあるフォアのムービングボール。ベースラインいっぱいのボールをクロス返球したベンチッチに対し、先にバックでストレート展開。
ベンチッチのフォアのクロスを、伊藤はフォアでショートアングルに運ぶ。ベンチッチはストレートにウィナーを狙ってくるが、これを伊藤はバックのカウンター気味のショットで応酬。
再びセンターの打ち合いの後、フォアスラで相手バックへ配球。ベンチッチのクロス返球を、またもバックでストレートへ攻撃。なんとか追いついたベンチッチのフォアのクロスを、再びフォアでショートクロス。
ベンチッチは今度はクロスにウィナーを狙ってくるが、伊藤はこれをセンターにフォアスラ返球。急いで戻ったベンチッチの返球はコート中央付近に。これを伊藤はライジングのバックで逆クロスへのウィナーを狙うが、惜しくもネット白帯でベンチッチのポイント。まさにボール1球分、紙一重の勝負だった。
従来の、高さをうまく使った立体的なテニスに加え、フォアのアングルを駆使。ウィナーの取れる早いタイミングのバックで、先にダウンザラインに攻撃したり、カウンターを取っていく。
トップ20レベルの相手にも、自分からポイントをとれる形をつくるところまでは、きっちりと持っていくことができた。
第1セットと第2セットで統計に差
この惜しいポイントに象徴されるように、完敗の中で、第2セットには第1セットと明確に違う数字が残った。第1セットでは自らのファーストサーブが入っても30%足らずしかポイントできなかったが、第2セットでは64%以上と互角な数字に上昇。ウィナーの数もわずか1から5に。第1セット33%だったトータルポイント割合は第2セットは41.5%に。
実はこのトータルポイントウォンを第2セット0-2の以前と以降で、わけて見ると、32%(16/50)→45%(19/42)まで上昇する。
この間、ポイント差で見ると19対23でわずか4ポイント差だった。
終盤、形をつくった後、フィニッシュのショットで、わずかにミスする場面が目立った。アンフォースドエラーが、第1セットより第2セットに増えた一因になったが、これがウィナーとなっていたら、もっと競り合うことができたはずだ。
伊藤対ベンチッチ 第1セットと第2セットの数字の変化 | ||
1stサービスポイントウォン | ||
第1S | 第2S | トータル |
29.4% (5/17) | 64.7% (11/17) | 47.1% (16/34) |
トータルポイントウォン | ||
33.3% (13/39) | 41.5% (22/53) | 38.0% (35/92) |
ウィナー数 | ||
1 | 5 | 6 |
アンフォースドエラー | ||
14 | 16 | 30 |
2週連続WTA1000の予選突破の意義
2週連続WTA1000の1回戦完敗。確かにトップ20に勝っていくには、まだまだ課題も多いだろう。だが、それに向けて明らかな変化が見て取れる。
予選1回戦のテイラー・タウンゼント(米国)もシングル83位ながら、かなりの強者。グランドスラムダブルスの覇者で複ランキングは3位。ストロークも、かなりの強打を誇るが、伊藤は対応し6ー3、6-4で振り切った。
予選2回戦では、第1シードで世界40位のアシュリン・クルーガー(米国)をも、撃破した。第1セット5-2アップから5ー5にまで追いつかれたが、きちんと攻めきり7-5で奪取。第2セットも6-2とストレート勝ち。
この2試合、相手に時間を与えてしまうようなフォアスラを控え、きちんとチェンジオブペースを意識した、明確なアクセントとしてのスライスが大半になった。この日の最終ゲームの1ポイント目同様に、バックのストレート展開やカウンター狙いも明らかに意識的に増やしているように見えた。
またフォアのジャンピングショット、いわゆるエアKや、今まではあまり打たなかった逆クロスの強打。さらにフォアクロスのアングルを起点に、バックで自ら攻撃するパターンが増えた。
相手パワーに押されたオスタペンコ戦を教訓に、自ら攻撃できるところは、攻撃する形にアップデートされつつある。
世界40位を倒せた事実
この日、伊藤が完敗したベンチッチは、先日WTA500「ムバダラ・アブダビ・オープン」で優勝している。その決勝の相手こそ、伊藤が今大会予選2回戦で倒したアシュリン・クルーガー。スコアは4-6、6-1、6-1のフルセットだった。
▶WTA公式動画より
クルーガーは伊藤あおいと同じ20歳。2023年の木下ジャパン・オープンでツアー初優勝、2024年に全米オープン3回戦に進出するなど、将来のアメリカを背負うと期待されている若手ホープだ。過去、伊藤が倒した最高ランキング上位者は、昨年木下ジャパンオープン2回戦のE・コッチャレットの50位だったが、これを上回るアップセットとなった。
伊藤が今すでに世界40位を倒せるだけの力があるという事実は揺るがない。
2週連続予選突破の4試合の相手すべてが自分より格上100位位内の選手だった。64ドローのWTA1000の1回戦は、グランドスラム2回戦レベルの厳しさがあると言っても過言ではない。伊藤とベンチッチの差は、この日の0-6、2-6のスコアほどは、ない。
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