伊藤あおいヘトヘト195日ぶり復活勝利

試合時間2時間30分超え
伊藤あおいが復帰戦を辛くも勝利で飾った。
腰椎疲労骨折で約半年間試合から遠ざかっていた世界ランク203位の伊藤あおい(21歳)が3月4日、ITF W35「マジック・ホテル・ツアーズ・バイ・FTT」(チュニジア・モナスティル)大会1回戦に第1シードで登場。
予選上がりで世界1483位のデニス・ヴァレンテ(21歳=イタリア)に4-6,6-2,6-4のスコアで逆転勝利した。試合時間は2時間37分。
勝利は2025年8月21日の全米オープン予選2回戦以来、6カ月と11日、195日ぶりとなった。
| 伊藤あおい 故障前3大会と今大会スコア | ||||
| 2025年7月26,27,29,31日 WTA1000 ナショナルバンク | ||||
| 回戦 | 対戦相手 | R | スコア | |
| 予選1回戦 | ⚪️ | A・サスノビッチ | 125 | 6-4,5-7,6-0 |
| 1回戦 | ⚪️ | K・ヴォリネッツ | 108 | 6-2,2-6,6-2 |
| 2回戦 | ⚪️ | J・パオリーニ | 9 | 2-6,7-5,7-6(5) |
| 3回戦 | ⚫️ | J・B・マネイロ | 51 | 6-4,5-7,3-6 |
| 2025年8月5,6,7,9,11日 WTA1000 シンシナティ | ||||
| 予選1回戦 | ⚪️ | A・クルニッチ | 354 | 4-6,6-4,6-2 |
| 予選2回戦 | ⚪️ | D・ガルフィ | 102 | 6-3,6-4 |
| 1回戦 | ⚪️ | E・ルーセ | 58 | 6-2,7-6 |
| 2回戦 | ⚪️ | A・パブリュチェンコワ | 33 | 6-1,4-6,6-4 |
| 3回戦 | ⚫️ | M・キーズ | 6 | 4-6,0-6 |
| 2025年8月19,21,22日 GSM 全米オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚪️ | A・フリードサム | 197 | 6-4,5-7,6-3 |
| 予選2回戦 | ⚪️ | G・マリスタニー | 192 | 6-0,1-6,6-1 |
| 予選3回戦 | ⚫️ | J・ティエン | 147 | 1-6,2-6 |
| 2026年3月2日 ITF W35 モナスティル | ||||
| 1回戦 | ⚪️ | D・ヴァレンテ | 1483 | 4-6,6-2,6-4 |
ランク1000番台の選手に大苦戦
メモリアルな2026年シーズン初戦。
自称「へにょへにょテニス」が「ヘトヘトテニス」になった。
長期離脱明け、心配された体力的な不安がモノの見事に露呈した。
序盤から2025年、幾度となく相手を「沼」にハメてきたテニスを展開した。気持ちよくエースを取らせながらも、ミスしてもらう戦術。
ハードヒッターの世界ランク1000番台の相手は格好な餌食となるはずだった。
2024年以降、ランク外や1000番台の選手に
伊藤は過去10勝1敗、8連勝中だったが、危うく敗れかけた。
大事な決定機にフィニッシュミス
相手に「ひとり相撲」をさせる伊藤の戦術の成否は
大事なポイントで繰り出すネットプレーや、カウンターが確実に決まってこそ。
絶妙に大事なゲームをモノにする素晴らしさこそ、伊藤の武器なのだが、
この日は完璧に展開を作っても、ことごとくフィニッシュが決まらなかった。
苦手の強風もあって勝負どころでミスを重ねる。
両者ポイントは「33」対「36」。
競った3ポイント差ながら、伊藤は第1セットを4-6で落とす。
| 伊藤VSヴァレンテ トータルポイント | ||
| 伊藤 | セット | ヴァレンテ |
| 33 | 第1S | 36 |
| 32 | 第2S | 21 |
| 46 | 第3S | 39 |
| 111 | 通算 | 96 |
第2セットは相手のミスが増え、6-2で奪い返したが、
このセット終盤から、けいれんを心配してか、伊藤が足を手で抱えて伸ばす仕草が増え始めた。
ファイナル中盤 疲労ピークに
ファイナルセットに入ると、伊藤の疲労はピークに達する。
第1ゲームこそ簡単にキープしたが、その後3ゲーム連続でデュース突入した。
競ったポイントでのロングラリーが増え、左右に振り回された。
転倒して大きな「尻もち」もついた。

特に風下のリターンゲームとなった第4ゲームは相手の強打に防戦一方。
ポイント間は、足をストレッチする仕草か、
ひざまずいて、うつむいて呼吸を整えるシーンばかりになった。
なんとか集中しようと、得意のラケット縦回しでリズムを取るが、第4ゲーム、デュースの結末は無情だった。
伊藤のボレーミスで、相手にアドバンテージ。
次のポイントは、それを上回る完璧な展開。フォアのストレート強打でネットに詰め、後は落とすだけというシーンとなったが、これまたフォアボレーをネットにかけるミス。
「あ~マジでぇ」と、伊藤の大きな嘆き声が響いた。
連続デュース3ゲームを、すべて失うという伊藤にしては珍しい出来事。
この時点でファイナルセットの両者ポイントは「18」対「21」と相手の3ポイントリード。
ゲームカウント1-3となり、いよいよ追い詰められた。
負けず嫌い 中盤以降2ブレーク
だが、ここから負けない伊藤の本領発揮だ。
2時間超えとなった復帰初戦。無理せずゲームセットへ向かうと思いきや、
負けず嫌いの性格が完全に顔をのぞかせた。
続く風下の第5ゲームのサービスゲーム。
ようやく目立った前後の展開を入れ相手のミスを誘い出す。
なんとかキープした後、風上に立った第6ゲームは無理しすぎることなく攻めて、ラブゲームブレーク。
最後も第10ゲーム相手の40-15から、4連続ポイントでブレーク成功。
見事に中盤以降の2ブレークで逆転勝利した。
その間、疲れて、ひざまずくシーンは1度も見られなくなっていた。
あっという間の集中モードへと転じていた。
らしさ全開で2回戦へ
一時ヘトヘトになったが、腰椎疲労骨折再発の懸念というより、
あくまで長期ブランクによる、体力的な「慣れ」の問題と推察する。
本調子でなかったフォアスラはリターンがネットの真ん中付近に当たって、本人が恥ずかしそうに苦笑いするシーンもあった。
決定機のミスの多さ、ダブルフォルト6本といい、これも実戦不足によるものだろう。
課題はあるが、元気にコートで動き回れただけで大前進。
嘆き節にお疲れポーズ連発に転倒2回。
伊藤あおい「らしさ」全開で次のステップに進んだととらえよう。
2回戦の相手は、世界445位ルー・ジャージン(36歳=中国)に決まった。
次戦では、ハラハラドキドキだけではなく、もうひと味違う「観ていて飽きない姿」を見せてくれるはずだ。




