伊藤あおい 復活手応えの4強惜敗

トータルポイント106対111
世界ランク218位で大会第1シードの伊藤あおい(21歳)が4月11日、ITF W35「富士薬品セイムス ウィメンズカップ」(大阪・靭)シングルス準決勝に臨んだ。世界330位で第7シードの岡村恭香(30歳)に6-4,3-6,5-7で惜しくも敗れた。
試合時間2時間38分。
トータルポイント106対111。
わずか5ポイント差の大接戦だった。
今大会これが3試合連続2時間超えのフルセット。
最後はエネルギー切れ、体力面の差が勝敗の差につながった。
| 過去のITF伊藤あおいvs岡村恭香 | ||||
| 2023年3月 W25 甲府国際 1回戦 | ||||
| 伊藤 | ⚫️ | 3-6,3-6 | ⚪️ | 岡村 |
| 2024年4月 W50 富士薬品セイムス 1回戦 | ||||
| 伊藤 | ⚪️ | 6-3,1-6,6-1 | ⚫️ | 岡村 |
| 2024年9月 W50 能登和倉 準決勝 | ||||
| 伊藤 | ⚪️ | 6-2,6-2 | ⚫️ | 岡村 |
| 2026年4月 W50 富士薬品セイムス 準決勝 | ||||
| 伊藤 | ⚫️ | 6-4,3-6,5-7 | ⚪️ | 岡村 |
復帰から1カ月 プレー向上
それでも今大会で故障復帰後、初めてとなる準決勝進出を果たした。
腰椎疲労骨折から6カ月のリハビリ期間を経て3月に復帰。今大会まで、2大会が2回戦進出、直近2大会が1回戦敗退だったことを考えれば、好材料はたくさんある。
復帰から1カ月が過ぎ、プレーの質という面では大きな改善が見られた。
| 伊藤あおい 復帰後のシングルス勝敗 | ||||
| ITF W35 モナスティル#10 | ||||
| 2026年3月4日,5日 | ||||
| 回戦 | 対戦相手 | R | スコア | |
| 1回戦 | ⚪️ | D・ヴァレンテ | 1483 | 4-6,6-2,6-4 |
| 2回戦 | ⚫️ | ルー・ジャージン | 455 | 1-6,3-6 |
| ITF W35 モナスティル#11 | ||||
| 2026年3月10日,12日 | ||||
| 1回戦 | ⚪️ | E・ミロヴァノビッチ | 583 | 7-6(4),6-7(4),6-4 |
| 2回戦 | ⚫️ | ティエン・ジアリン | 636 | 3-6,0-3 RET |
| ITF W75 甲府国際 | ||||
| 2026年3月18日 | ||||
| 1回戦 | ⚫️ | ジュ・リン | 142 | 0-6,2-6 |
| WTA500 チャールストン・オープン | ||||
| 2026年3月29日 | ||||
| 1回戦 | ⚫️ | E・ヴェダー | 254 | 2-6,1-6 |
| ITF W35 富士薬品セイムス | ||||
| 2026年4月8,9,10日 | ||||
| 1回戦 | ⚪️ | 小林ほの香 | 682 | 6-1,6-0 |
| 2回戦 | ⚪️ | 清水綾乃 | 421 | 3-6,6-3,6-4 |
| 準々決勝 | ⚪️ | E・ミチッチ | 365 | 6-7(4),6-4,6-2 |
| 準決勝 | ⚫️ | 岡村恭香 | 330 | 6-4,3-6,5-7 |
冴えたリターン ファアスラ復活
まず1つ目が伊藤の武器の代名詞フォアスラのタッチ感覚の復活だ。
この日の岡村戦で特に目立ったのがリターンミスの少なさ。
岡村の22に対して9回しかエラーがなかった。
| 両者のリターンミスの数 | ||
| 伊藤 | 岡村 | |
| 3 | 第1S | 12 |
| 2 | 第2S | 5 |
| 4 | 第3S | 5 |
| 9 | 通算 | 22 |
フォアスライスのリターンは、丁寧にサービスラインとベースラインの間のコート中央付近、最もリスクの少ないゾーンに落とし続けた。
岡村は膝を曲げ持ち上げなければならず、ネットが高く感じる分、角度をなかなか付けられない。いつもの感覚と違う分、序盤は3球目攻撃のミスが目立った。
第1セット第6、8、10ゲーム、第2セット第2ゲームにかけては驚異的。
伊藤はなんと33連続でリターンに成功した。

この4ゲーム間に2度のブレーク成功。
岡村はストロークでも伊藤の粘り強さ、滑って曲がるスライスに終始手を焼いた。
中盤まで得意なベースラインからの強力なフォアを完全に封じられていた。
ここぞの展開力も復活
そしてもう1つ、伊藤の復活要素はネットプレー。
昨年7月、世界9位ジャスミン・パオリーニ(29歳=イタリア)を撃破した際のタイブレークで見せたような躍動感が蘇った。
象徴的だったのが、ファイナルセット相手のマッチポイントで見せた攻撃だ。
ゲームカウント4-2アップからまくられ、5-6で迎えた自身のサービスゲーム30-40。
どう考えても硬くなるところだが、伊藤は強心臓ぶりを発揮する。
3球目フォアのスピンで叩いて前に出て5球目をバックのドライブボレーウィナー。
続く岡村アドバンテージ、2度目のマッチポイント。
相手リターンをフォアのドライブボレーで叩いて前へ、
返ってきたボールをフォアで絶妙なドロップボレー。
またも岡村アドバンテージ、3度目のマッチポイント。
ワイドコーナーにファーストを入れ、フォアのドライブボレー。
ミスすれば試合が終わるという大事な場面を、飄々とした表情のまま
3度連続ドライブボレーでしのぎ切った。
決してビッグサーバーと言えるタイプではないが、自分の組み立ててでポイントを奪える点は、さすがとしか言いようがない。
ダブフォで連続セットダウン
もちろん課題も残る。
第2セットもファイナルセットも最後は自らのダブルフォルトで落とした。
「も~」と声を挙げながら、恥ずかしそうに苦笑いを浮かべた。
ダブルフォルトはマッチ通算12本。
第1セットこそ2本だったが、第2セット6本、ファイナルセット4本と、明らかにリズムを崩していった。
第2セット以降はデュースが続くと、しんどそうに息を整える姿が目立った。
サービスの精度と体力面は、まだまだ改善の余地があるが、
それ以外のボール勘の部分は、ほぼ故障前に戻ったと言っていいだろう。
宮崎 有明 岐阜でさらなる上昇を
来週以降は宮崎、安藤証券オープン、岐阜カンガルーカップと国内主要3大会で、さらに試合経験を重ねる予定。
順調なら5月以降はグレード一段上げ、WTA125江西オープン(中国)へ参戦すると見られる。
ここで無事、上昇曲線を描けば、いよいよスペシャルランキングを使ってのWTAのビッグ大会への出場にも踏み出せるだろう。
本戦から出場できるグランドスラムの狙いは
6月下旬のウインブルドンと8月下旬の全米オープンだ。
再び世界の大舞台で伊藤のプレーが見られる日も着実に近づいてきている。
その前に、存分に国内で伊藤の上昇ぶりを見届けておこう。




