パーフェクト坂本怜 上海マスターズ予選突破


「人生で一番のプレー」以上
強い!強い! 本当に強い! 坂本怜が衝撃的なテニスを見せた。
世界189位の坂本怜(19歳)が再びトップ100選手を完膚なきまでに叩きのめした。
9月30日、ロレックス上海マスターズ予選2回戦に臨み、世界96位で予選第5シードのマッケンジー・マクドナルド(30歳=アメリカ)と対戦。
キャリアハイ37位のクセ者を6-4,6-3のスコアで退けた。
9月22日、予選ワイルドカードで出場した木下グループ・ジャパン・オープンの予選1回戦で、世界76位で予選第6シードのアダム・ウォルトン(26歳=オーストラリア)を6-2,6-4のストレートで撃破したばかり。
「正直、人生で一番のプレーができたんじゃないかと思います!」と話したが、間違いなくそれ以上のプレーを披露した。
エース9本、アンフォーストエラーわずか7本、ウィナー数20本。
与えたブレークポイント0。
当然のオールサービスキープ。
1時間13分の素晴らしい快勝劇だった。
第1セット第10ゲームでブレーク
試合は終始、ハイレベルなサービスゲームが続いた。
第1セットは両者のサービスゲームともデュースなし。
永遠にキープが続くかのようなゲームを繰り広げた。
坂本は自身5度のサービスゲームで5ポイントしか失わなかった。
対してマクドナルドは自身4度のサービスゲームで1ポイントしか失わず。
そして迎えた第10ゲーム、マクドナルドのサーブ。
ここで坂本は従来のパワー一辺倒の印象を覆す、しつこいプレーで応戦。
見事なバックのリターンエースと粘り強いロングラリーなどで4ポイントを奪い、
理想的なタイミングでブレークに成功した。

マッチポイントも驚異の俊足
第2セットも両者の集中力はまったく衰えない。
3-3、6ゲーム終わって、坂本のサービス時3回の失ポイント1、マクドナルドは4。
またもデュースなしのキープが続く。
第7ゲーム、坂本のサーブで両者初めてのデュースを迎えるが、
坂本はブレークポイントを与えることなくキープ。
続く第8ゲーム、マクドナルドのサービスゲームはロングラリーの応酬。
坂本が12本目を見事な回り込みフォアストレートでウィナーを奪うなどして0-40。
さすがマクドナルドは2ポイントを返す粘りを見せる。
だが、最後はコードボールも絡んだ20本のラリー。
ネットに詰め寄った坂本のバックのハイボレーをマクドナルドがミスして、ブレーク成功。
5-3の第9ゲームは坂本サービス。強力なサーブで押し切り、迎えた40-15のマッチポイント。
マクドナルドの14本目の完璧なバックのドロップボレーを、坂本がベースライン後方から俊足を飛ばして追いつきアングル返球。
マクドナルドが親指を突き上げて称えるスーパープレー。2バウンド返球ではないかと主審がビデオ判定を求めるほど、信じられない距離を追いついた。
最終的にはビデオで確認し、坂本の勝利が決定した。
決してマクドナルドが悪かった訳ではなかった。
対戦成績2勝2敗、錦織圭との名勝負そのままに、ハイクオリティーなショットを打ち込み続けていたが、坂本はわずかなスキを見逃さなかった。
坂本ファーストイン時 無敵
マクドナルドにしてみれば、やるべきことはやったという表情だった。
各セット両者のサービスイン確率 | ||
坂本怜 | マクドナルド | |
76% (19/25) | 第1S | 74%(17/23) |
69% (18/26) | 第2S | 82% (18/22) |
73% (37/51) | マッチ | 78% (35/45) |
その証拠に、マクドナルドのファーストサービスインの確率は
第1セット74%、
第2セット82%と完璧と言っていい数字。
ファーストサービスイン時のポイント獲得率も悪くはなかった。
各セット両者のファーストサービス時ポイント獲得率 | ||
坂本怜 | マクドナルド | |
84% (16/19) | 第1S | 82%(14/17) |
100% (18/18) | 第2S | 61% (11/18) |
92% (34/37) | マッチ | 71% (25/35) |
だが、坂本はその上を行った。
ファーストサービスイン時のポイント獲得率は
第1セット84%、
第2セットに至っては驚異の100%。
完璧なサーブだけでなく、精度と威力を兼ね備えた3球目攻撃。
5球目以降にもつれ込んでも、マクドナルドに打ち負けない粘り。
まさに無敵と言って良い強さだった。
いざATP1000 2度目の本戦
坂本のトップ100撃破は3度目。
2025年3月のATP1000マイアミ予選2回戦で当時世界95位だったジェームズ・ダックワース(33歳=オーストラリア)に7-5,7-6(5)で勝利。
そして先日の有明予選で76位アダム・ウォルトン(26歳=オーストラリア)を倒して以来。
立て続けの勝利は、間違いなく大きく成長した証しだ。
特に両手バックの安定感が格段に増した。フルスイングしても安心してコートに収まる、ナチュラルスピンを手に入れたようだ。
ATPツアーの予選突破も、ワイルドカードで出場した3月のマイアミ、ダックワースを倒して以来となった。
その際は1回戦敗退。
初のツアー本戦勝利へ。
1回戦の相手は世界73位のマッテオ・アルナルディ(24歳=イタリア)に決まった。
そしてキャリアハイを更新へ、ランキングを大きく上げるチャンス。
東京・有明では暴れきれなかったが、期待感MAX。
最高の状態でメーンドローに挑む。