坂本怜 決めた初グランドスラム本戦

ストレートであっさり
坂本怜が自身初のグランドスラム本戦出場を決めた。
世界ランク202位、坂本怜(19歳)が1月15日、全豪オープン予選3回戦に臨み、世界156位ジュリオ・ゼッピエリ(24歳=イタリア)と対戦。6-2,6-2のスコアで、ストレート勝利を挙げた。試合時間1時間9分という快勝で、プレッシャーの掛かる予選決勝を、見事までに、あっさりと勝ちきった。
昨年の全豪、全米では予選敗退だったが、今回、3度目の挑戦で初の突破。
うれしい自身初のグランドスラム本戦入りを決めた。
「目標にしていた本戦出場が決まって一番うれしいです。プレーの質も良くて初めての本戦につながるいいプレーだったと思います」
言葉の内容とは裏腹に、淡々と静かにインタビューに答える姿は、本戦出場もあくまで「通過点」と思わせるような、自信に満ちあふれていた。
| 坂本の過去のグランドスラム予選成績=選手名の後ろは当時の世界ランク | ||||
| 2025年1月 全豪オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚫️ | T・ボイヤー | 136 | 0-6,2-6 |
| 2025年8月 全米オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚪️ | T・ジンク | 348 | 4-6,7-5,7-6(8) |
| 予選2回戦 | ⚫️ | I・ブセ | 135 | 4-6,6-4,4-6 |
| 2026年1月 全豪オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚪️ | D・エバンス | 187 | 6-1,6-2 |
| 予選2回戦 | ⚪️ | C・スミス | 148 | 6-4,6-4 |
| 予選決勝 | ⚪️ | G・ゼッピエリ | 156 | 6-2,6-2 |

25ゲーム連続サービスキープ
第1、第2セットともオールキープで2ブレークずつという完璧な試合運び。
すでにグランドスラム本戦出場6度、3勝を誇るザッピエリ。頻繁に練習機会があり、坂本自らが「友人」と話す相手を圧倒した。
ファーストサービスインの確率は60%と通常よりやや低めだったが、安定感は凄まじい。

ピンチには時に210キロの高速サービスエース、時に球速を落としたスピンサーブをうまく使い分ける。
マッチ通算のファーストサービス時のポイント獲得率は75%、セカンド時は79%。
相手が慣れてくるはずの第2セットで特に数字は上がり
ファースト時82%(9/11)
セカンド時100%(7/7)と付け入るスキを与えなかった。
| 両者のサービススタッツ | ||
| 坂本 | ザッピエリ | |
| 5 | エース | 6 |
| 60%(28/47) | 1st確率 | 64%(38/59) |
| 75%(21/28) | 1stPW | 61%(23/38) |
| 79%(15/19) | 2ndPW | 38%(8/21) |
サービスの調子や勢いだけに左右されない、配球や頭脳的選択が、予選を通じて目立った。
これで予選は3試合25ゲーム連続キープ。
若さだけではない、シーズンを通して活躍するに、不可欠な要素を確実に手に入れた。
アンフォーストエラー激減
この日の2セット4ブレークには、いずれも好リターンが絡んだ。
派手さこそないが、簡単にフリーポイントを与えず、確実に相手の嫌なところに返球するリターンが冴えている。
サービスゲームは淡々と、リターンゲームは粘って相手にプレッシャーをかけるテニスを確立しつつあるようだ。
このリターンを皮切りに、持ち込むロングラリーも、しつこく、相手にとって実に嫌らしい。
アンフォーストエラーも第1セット「4」第2セット「3」。
試合を通じてわずか「7」という安定感。
予選3試合の数字を見ても、相手を大きく上回る凡ミスの少なさが際立つ。
| 坂本の予選3試合アンフォーストエラー数 | ||
| 坂本 | 相手 | |
| 13 | 1回戦 | 23 |
| 13 | 2回戦 | 20 |
| 7 | 3回戦 | 20 |
10代では日本男子3人目
10代での日本男子のグランドスラム本戦出場経験者を見ると
- ①18歳5カ月=ウィンブルドン=錦織圭
- ②18歳11カ月=全米オープン=西岡良仁
- ③19歳6カ月=全豪オープン=坂本怜
10代で本戦出場を決めたのは史上3人目。
| 日本男子グランドスラム主な本戦出場者と本戦初勝利 ※全英=ウィンブルドン | ||||
| 初本戦 | 年齢 | 本戦初勝利 | 年齢 | |
| 錦織圭 | 2008年全英 | 18歳5カ月 | 2008年全米 | 18歳7カ月 |
| 西岡良仁 | 2014年全米 | 18歳11カ月 | 2015年全米 | 19歳11カ月 |
| 坂本怜 | 2026年全豪 | 19歳6カ月 | ? | ? |
| 望月慎太郎 | 2023年全英 | 20歳1カ月 | 2025年全英 | 22歳0カ月 |
| 松岡修造 | 1988年全豪 | 20歳2カ月 | 1988年全米 | 20歳9カ月 |
| ダニエル太郎 | 2014年全米 | 21歳6カ月 | 2016年全仏 | 23歳3カ月 |
| 鈴木貴男 | 1999年全豪 | 22歳3カ月 | 2003年全英 | 26歳9カ月 |
| 添田豪 | 2007年全豪 | 22歳4カ月 | 2012年全英 | 27歳9カ月 |
| 綿貫陽介 | 2023年全豪 | 24歳9カ月 | 2023年全豪 | 24歳9カ月 |
| 杉田祐一 | 2014年全英 | 25歳9カ月 | 2017年全英 | 28歳9カ月 |
錦織のグランドスラム本戦初出場は2008年ウィンブルドン。メーンドローにダイレクトインだったが、棄権負け。グランドスラム初勝利を挙げたのは、同年8月の全米1回戦で18歳7カ月の時だった。
西岡は最初のグランドスラムとなった2014年全米予選で予選3試合を突破。本戦に出場したが1回戦敗退。本戦初勝利は、2015年全米オープンまで待たねばならず、その際の年齢は19歳11カ月だった。
坂本が今回本戦1回戦を勝利すれば、錦織に次ぐ日本男子2番目の年少勝利。
そして日本男子初の10代グランドスラム初本戦で初勝利の偉業となる。
望月と日本男子2人だけ
坂本が全豪オープンジュニアを制したのは、2024年1月27日。
その日から数えて、この日で719日。
本戦への意気込みを、坂本はこう語った。
「自分のプレーができれば一番なんですけど、そんなことをさせてくれない人がメーンドローにはたくさんいると思うので。まずは初めての5セットを楽しんでやりたいです」
トップ100の厳しさに何度も直面しながら、一歩一歩、確実に成長してきた。
長年日本男子テニス界を牽引してきた錦織圭、西岡良仁の名前は、本戦にないが、
22歳望月慎太郎とともに、頼もしさを増した19歳坂本に、大いに暴れてもらおう。




