坂本怜 圧勝で2大会連続8強

63分ストレート勝利
世界ランク176位で大会第2シードの坂本怜(19歳)が11月19日、横浜慶應チャレンジャー2回戦に臨み、世界455位のマクシム・ジューコフ(20歳)と対戦。6-1,6-2のスコアで勝利した。試合時間1時間3分。
前週大会の兵庫チャレンジャーに続いて2大会連続8強入りを果たした。
第1セット、第2セットともオールキープ。相手からは2ブレークずつを奪う完勝だった。
トータルポイントは63対39と、24ポイントもの大差を付けた。

第1セット BP100%セーブ
序盤から1ポイントを奪うたびに声を出し、頻繁に小さなガッツポーズを繰り出した。
目の前のポイントにフォーカスして質の高いプレーを維持し続けた。
オールキープだったが、自らが迎えたブレークポイントは実は5度もあった。
しかもすべて第1セット。
第1セット第3ゲーム15-40。まだゲームカウント1-1の序盤だったが、キッチリとサービスのギアを上げ4連続ポイント。2本のブレークポイントを死守。
同じく第1セットの第5ゲーム15-40。ここも4連続ポイント。2本のブレークポイントをセーブした。
第1セット第7ゲームもデュースにもつれ込み相手アドバンテージを迎えたが、圧倒的なサーブ力で3連続ポイントを奪い、このセットをモノにした。
第1セットのブレークポイントのセーブ率は5/5の100%。
逆に続くセットは、自身4度のサービスゲームで相手に5ポイントしか与えず。
第2セットはブレークポイントなし、という完璧な試合運びだった。
1st時のポイントウォン上昇
この日は坂本のリターンも良かったが、安定した試合を可能にしているのは、相手ブレークポイントにも動じない、その圧倒的なサーブ力だ。
今シーズン、ここまでの坂本のファーストサービス時のポイント獲得率は平均70.8%。ただでさえ上位の数字だが、今大会2試合は、その上を行く。
1回戦カシディット・サムレジ戦は88%、この日の2回戦は84%。
平均86%超えという素晴らしい数字を残している。
| 坂本の今大会サービススタッツ PW=ポイントウォン | ||
| 1回戦 | 2回戦 | |
| エース | 13 | 5 |
| 1stイン | 71%(40/56) | 60%(32/53) |
| 1stPW | 88%(35/40) | 84%(27/32) |
| 2ndPW | 63%(10/16) | 48%(10/21) |
前大会兵庫チャレンジャーでもすべて平均を上回る数字で、80%超えも1回。
| 坂本の兵庫チャレンジャーサービススタッツ | |||
| 1回戦 | 2回戦 | 準々決勝 | |
| エース | 15 | 8 | 9 |
| 1stイン | 59%(60/102) | 66%(62/94) | 72%(68/94) |
| 1stPW | 82%(49/60) | 77%(48/62) | 72%(49/68) |
| 2ndPW | 52%(22/42) | 41%(13/32) | 46%(12/26) |
2025年ラストの2大会で明らかにスタッツが向上していることが分かる。
エース数は普段に比べれば少ない5本。だが大事な場面ではエースだけでなく、3球目攻撃による確実な連続ポイントが多かった。
これも、サーブ力1本の力に頼りになり過ぎていない、証拠と言えるだろう。
ロングラリーで圧倒
リターンゲームでも同様に、展開を作る粘り強さが加わっている。
この日10本以上に及んだラリーは7度。
最終的に坂本がポイントを奪ったのは「6勝1敗」の圧倒だった。
7度中6度までが坂本のリターンゲーム。
サービスゲームの優位性は3度、5度、7度とラリーが進むほど失われ、以降はほぼ互角になるとされる。
坂本はリターンゲームで粘り強くラリーを重ね、最終的に粘り勝っていたことがよくわかる。
坂本がポイントを失ったのは第1セット第4ゲーム、バックでウィナーを狙いわずかにサイドラインを切った1本だけ。
ロングラリーを制したポイントがあった6度のリターンゲーム中、半分の3度までがブレークに繋がった。
| 坂本10本以上のラリー数結果 | |||
| ゲーム | R数 | 結果 | ポイント |
| 第1S第2G | 11 | 相手バックミス | 坂本 |
| 第1S第4G | 10 | 坂本バックミス | ジューコフ |
| 第1S第4G | 11 | 相手フォア返球できず | 坂本 |
| 第1S第6G | 11 | 相手フォアミス | 坂本 |
| 第2S第1G | 13 | 相手バックミス | 坂本 |
| 第2S第5G | 15 | 相手バックミス | 坂本 |
| 第2S第6G | 14 | 相手バックミス | 坂本 |
超トップレベルのファーストサービスでしっかり強弱がつき、リターンゲームでも粘れる。
「我慢」を覚えた19歳は、やはり強い。
準々決勝の相手は内山
準々決勝の相手は、第7シードで世界330位の内山靖崇(33歳)に決まった。
こちらもファーストサービスイン時の平均ポイント獲得率が70%を超えるビッグサーバーだ。
両者の対戦は2023年11月の兵庫チャレンジャー予選1回戦以来、2度目となる。
前回は1-6,2-6のスコアで坂本が完敗した。
その敗戦マッチのサービススタッツを見ると、内山がファーストイン時78%のポイントを奪ったのに対して、坂本は50%しかなかった。
| 2023年兵庫チャレンジャー坂本対内山 サービススタッツ | ||
| 坂本 | 内山 | |
| エース | 3 | 5 |
| 1stイン | 50%(27/54) | 78%(35/45) |
| 1stPW | 52%(14/27) | 83%(29/35) |
| 2ndPW | 37%(10/27) | 40%(4/10) |
坂本の今大会の最高成績は昨年のベスト8。
それを越えられるか? 2年前と比べ、坂本のサーブ力、リターン力はどう変わったのか?
坂本の成長度、現在地を探るうえでも非常に楽しみな一戦となる。




