園部八奏 クロスリーに勝利


日本選手対決制す
世界ランク304位の園部八奏(17歳)が、日本選手対決を制した。
W100ケーリー1回戦で、同413位のクロスリー真優(19歳)と対戦。7-6(2),3-6,6-4のフルセットで勝利した。前日第1セット終了後、雨のため順延されていた試合を2日がかりで制した。
わずか2ポイント差
試合はもつれにもつれた。
両者のトータルポイントウォンは園部「97」対クロスリー「95」。
わずか2ポイント差で決着が付いた。
最終セット1ブレークずつで迎えた4-3園部リード。クロスリーのサービスゲームで、ボレーボレーの反応対決を制して、園部がブレーク成功。
5-3として勝負あったかに見えたが、クロスリーも意地を見せる。
続く園部のサービスゲームをラブゲームブレーク。
最後は、5-4のクロスリーのサービスゲームを、園部がデュースの末、ブレークしてゲームセット。
このゲームをキープされていれば、サーブに苦しんでいた園部は、負けていたかもしれない。
クレーの鬱憤晴らす
園部の勝ちたい気持ちが、痛いほど伝わってきた。
正念場のファイナル5-3、第9ゲームのサービスゲームでは、信じられない凡ミスを繰り返した。珍しく硬さが手に取るように分かるほど、気負い、ラブゲームブレークを許した。
この大会前までクレーコートでは出場4大会連続で本戦1回戦敗退だった。
予選スタートとなったW50ポルトロスこそ予選2試合を勝ち上がったが、1回戦で敗退。
その後もW75ブレシア、カゼルタ、W100ビアリッツと初戦負け。
その分もハードコートシーズン初戦を白星で飾りたかったのだろう。
決して会心の勝利ではなかったが、とにもかくにも連敗を「4」で止める大きな1勝となった。
園部八奏 連敗脱出 | |||
大会 相手 | サーフェス | 勝敗 | スコア |
7/3 W100ケーリー1回戦 クロスリー真優 | ハード | ⚪️ | 7-6(2),3-6,6-4 |
6/12 W100ビアリッツ L・タラルディー | クレー | ⚫️ | 6-1,1-6,2-6 |
6/3 W75カゼルタ1回戦 M・B・リベラ | クレー | ⚫️ | 4-6,4-6 |
5/28 W75ブレシア1回戦 齋藤咲良 | クレー | ⚫️ | 3-6,3-6 |
5/21 W50ポルトロス1回戦 E・ゴルゴゼ | クレー | ⚫️ | 6-4,3-6,1-6 |
5/21 W50ポルトロス予選2回戦 A・ズッキーニ | クレー | ⚪️ | 7-5,4-6,6-4 |
5/21 W50ポルトロス予選1回戦 G・チェスキ | クレー | ⚪️ | 7-5,6-1 |
因縁の1学年差
クロスリーと園部は同じ日本出身選手で1学年差。ともに予選上がりで、本戦初戦で、いきなりぶつかった。不思議な因縁を感じざるを得ない。
クロスリーは2019年、14歳以下の全日本ジュニア、13歳以下のRSK全国選抜ジュニアの覇者。決勝では、いずれも今をときめく齋藤咲良を下している。
その2年後の2021年、13歳以下のRSK全国選抜ジュニア、14歳以下の全国選抜ジュニアを制して、同じ2冠を達成したのが、他ならぬ園部だった。
同じフロリダ 別アカデミー
時をほぼ同じくした2021年、クロスリーは拠点をアメリカ・フロリダに移し、エバートテニスアカデミーで腕を磨いた。この秋からはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でプレーすることが決まっている。
2022年にはオレンジボウル、エディハーで優勝。
今年5月に入って直近3大会も絶好調。
クレーのW15オーランド制覇。
W35ディケーターで準決勝進出、W35ウィチタでは準優勝。
日本ではあまり報じられていないが、
世界ランクも自己最高の413位まで上げてきていた。
両者主な比較 | ||
園部八奏 | 項目 | クロスリー真優 |
2008年1月17日 | 生年月日 | 2006年6月15日 |
1位 | Jr最高位 | 5位 |
304位 | 世界ランク | 413位 |
287位 | 最高位 | 413位 |
24年J500オッフェンバッハ 25年全豪オープンJr優勝 W100安藤証券オープン優勝 | タイトル | 22年オレンジボウル優勝 22年エディハー優勝 25年W15オーランド優勝 |
59勝21敗 | 通算成績 | 53勝29敗 |
一方の園部は、2022年からアメリカ・フロリダのIMGアカデミーに入学し確実に成長を遂げた。それでも所属は今も故郷の埼玉「与野テニスクラブ」のままだ。
今年1月、全豪オープンジュニアを優勝。沢松和子が1969年のウィンブルドンを制して以来、56年ぶりの日本人女子のグランドスラム制覇で一躍注目を浴びた。2月のWTA500のアビダビでは、同世代ではいち早くツアー初出場初勝利も挙げた。
歩みは違えど、アメリカの地で、初めて顔を合わせた日本の有望株2人。
初対決の軍配は1学年下の園部に上がった。
増える日本女子対決
全豪オープンジュニア以降、戦いの舞台をシニアに移した園部は、日本選手の1、2学年上の世代とITFツアーでぶつかることが増えた。
3月、2学年上の石井さやかに勝利したが、5月には1学年上の齋藤咲良に敗れた。
そして今回1学年上のクロスリーに勝利し、「ほぼ同世代対決」2勝1敗となった。
園部の直近世代対決 ITFのみ、ジュニアは除く | |||
2025年3月25日 W50サントドミンゴ2回戦(ハード) | |||
石井さやか | 19歳vs17歳 | ⚪️ | 6-1,6-4 |
2025年5月28日 W75ブレシア1回戦(クレー) | |||
齋藤咲良 | 18歳vs17歳 | ⚫️ | 3-6,3-6 |
2025年7月3日 W100ケーリー1回戦(ハード) | |||
クロスリー真優 | 19歳vs17歳 | ⚪️ | 7-6,3-6,6-4 |
VS先輩 しのぎ削る
WTAのランキング順に日本女子の10代選手を上から並べると、園部は3番目に位置するが、年齢は1番年下だ。
10代選手の日本女子WTAランク上位 | |||
R | 選手名 | 年齢 | 生年月日 |
226 | 石井さやか | 19歳 | 2005.8.31 |
252 | 齋藤咲良 | 18歳 | 2006.10.3 |
304 | 園部八奏 | 17歳 | 2008.1.17 |
413 | クロスリー真優 | 19歳 | 2006.6.15 |
504 | 木下晴結 | 18歳 | 2006.10.27 |
603 | 小池愛菜 | 19歳 | 2006.11.21 |
この中から誰が頭1つ抜け出すのか。
日本女子のティーンエイジャーは、まさに「群雄割拠」の様相を呈している。
だが、コートに一歩は入れば、馴れ合いでは戦えない。ランキングを上げていくためにも、負けられない相手であるのは間違いない。
試合後、両者は握手以外交わさずにコートを去った。
厳しい世界で勝つために
2回戦では世界626位のレイチェル・ゲイリス(アメリカ)と当たる。ランキングは低いが2004年生まれの20歳。直近W35サントドミンゴでは準優勝もしている。
今大会は予選を勝ち上がり、本戦1回戦では、同じアメリカの第1シードで世界158位のホイットニー・オスイグウェ(23歳)から、番狂わせの勝利を奪い取った。同じアメリカ選手対決で、世代の近い先輩を倒しての勝ち上がりと、園部と似通っている部分は多い。
誰もが、こういう試合を勝っていかないと、上位にはいけない厳しい世界なのだ。
残ったサーブの課題
これで園部のハードコート戦績は15勝5敗。勝率7割5分のデータは、この日も健在だった。
ベースラインの中に入って打つ、思い切った強打は、やはりハードで活きる。
しかし、ファーストサービスイン率54.8%、ダブルフォルト8本と、クレーコートで浮き彫りになった課題は、相変わらず残った。
まだまだ勝って、修正していく必要があることを、誰より本人が感じているはずだ。
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