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伊藤あおいの試合予定と結果は
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望月グランドスラム初勝利

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世界144位の望月慎太郎(22歳)がうれしい、うれしいグランドスラム初勝利を挙げた。

7月1日、イギリスで行われたウィンブルドン1回戦で、世界351位のジュリオ・ゼッピエリ(23歳=イタリア)と対戦。2-6,3-6,6-3,7-6(8),7-5のフルセットの末、大逆転勝利した。

前日6月30日に始まった試合は、2セットダウンから挽回した。2時間33分を戦い抜き、2セットオールに追いついた。ここで日没サスペンデッド。そしてこの日、2日がかりとなった激戦を、見事に勝ち切った。トータルの試合時間は3時間14分。

ウィンブルドンはもちろん、これが自身4大大会本戦での初勝利となった。

最終セット最終12ゲーム、勝負をかけたフォアのリターンエースで千金のブレークに成功すると渾身のガッツポーズ。

健闘を称え合った後、「ウォーッ」と声にならない声を挙げた。

見守った日本からの応援団の前で、心の底からの喜びを爆発させた。それほど大きな1勝だ。

2日目は両者、永遠にサービスキープが続くかのような展開だった。

5セットの激闘、ゼッピエリは身長183センチのサウスポーから繰り出す強烈なサーブを武器にポイントを重ねた。エースの数は22本。これに対して望月のエース数はわずか5本だった。

相手が1、2本で簡単に決める中、望月は丁寧なリターン、ストロークを打ち続けた。そして要所では果敢に攻め、そしてネットを陣取った。

ファイナルセット3-3で迎えた第7ゲーム15-40。

自らのサービスゲームを落とせば、ほぼその瞬間に、初勝利は滑り落ちる。

そんな恐怖を背にしながらも、望月は前に出続けた。

鮮やかなサーブ&ボレーで1本しのぎ、次はセンターへのスライスサーブでデュースに。一進一退の攻防でも2度、セカンドサーブでネットダッシュしてポイント。

最後はサーブ&ドロップボレーでゲームを奪った。

少しでも気持ちで引けば、その瞬間、負けていただろう。

紛れもない、望月の「勇気」がもたらしたサービスキープだった。

芝で絶対的な自信を見せる、自分の形を貫いた。

5セット通じてネットを取った回数は実に59度。そのうち46をポイントにつなげた。

ネットに付いた回数、奪ったポイント数ともは相手ゼッピエリのほぼ4倍。

サービス1本ではない。戦略と確かな技術、そして攻めるメンタルに裏打ちされた、わずか差で、最後の最後に「勝利の女神」は望月に微笑んだ。

両者のネットプレーと獲得ポイント割合
セット望月ゼッピエリ
13/650%3/475%
212/1675%2/2100%
39/1275%0/00%
412/1486%4/667%
510/1191%3/3100%
通算46/5978%12/1580%

2019年7月、ウィンブルドンジュニアを制覇。日本選手として初となるジュニア男子の4大大会タイトルを獲得し、世界ジュニア1位も保持した。

華々しい栄光から丸6年。

その後の道のりは決して平坦ではなかった。

望月慎太郎のグランドスラム成績
全豪全仏ウィン全米
2025Q1Q1
2024R128R128Q1Q3
2023Q1R128Q2
2021Q2

グランドスラムでは2023年ウィンブルドン、2024年全豪、全仏オープンと3度本戦に進んだが、いずれも初戦敗戦。

ドロー運にも恵まれず、いきなり上位シードや強豪とぶつかってばかりだった。

望月慎太郎のグランドスラム本戦スコア
2025年ウィンブルドン1回戦
G・ゼッピエリ351⚪️2-6,3-6,6-3,7-6,7-5
2024年全豪オープン1回戦
T・マハーチュ75⚫️5-7,1-6,5-7
2024年全仏オープン1回戦
H・フルカチュ⚫️6-4,3-6,6-3,0-6,3-6
2023年ウィンブルドン1回戦
T・ポール15⚫️5-7,3-6,1-6

ATPツアーでは2023年10月、木下オープンで初勝利を挙げ、準決勝まで進む快進撃。ようやく本領発揮と思われたが、その後も、本戦で勝てない状況に逆戻りした。

木下オープンの準決勝敗退から、2024年の0勝5敗と数えて6連敗。

グランドスラムを含めればATPツアー本戦初戦8連敗。

ジュニア卒業後、海外で会心の勝利と呼べるものは、今回が初めてだった。

1998年のウィンブルドンジュニア覇者、ロジャー・フェデラー(スイス)の印象が強烈過ぎたこともあるかもしれないが、実はウィンブルドンジュニア覇者が、そのままATPツアーでの活躍を保証されているような、生易しい世界ではない。

フェデラー以降、ジュニア優勝経験者でウィンブルドン本戦で勝利を挙げられたことがある選手は半分ほどしかいない。望月の後の優勝者は、まだ誰も勝利を挙げられていない。未勝利のまま引退していった選手もたくさんいる。

2017年覇者のアレハンドロ・ダビドビッチ・フォキナ(スペイン)も本戦1勝まで、5年を要した。2000年のニコラ・マユ(フランス)は6年、2010年のマートン・フチョヴィッチ(ハンガリー)や2007年のドナルド・ヤング(アメリカ)に至っては9年も要した。

ウィンブルドンJr覇者のシニア初勝利と最高ランク
優勝年選手名初勝利R
2024N. Budkov Kjaer287
2023H. Searle 389
2022M. Poljicak259
2021S. Banerjee580
2019S. Mochizuki2025129
2018C. Tseng83
2017A. Davidovich Fokina202221
2016D. Shapovalov201810
2015R. Opelka201917
2014N. Rubin125
2013G. Quinzi142
2012F. Peliwo161
2011L. Saville2014152
2010M. Fucsovics 201931
2009 A. Kuznetsov201339
2008G. Dimitrov 20113
2007D. Young 201638
2006T. De Bakker201040
2005J. Chardy200825
2004G. Monfils 2005
2003F. Mergea243
2002T. Reid105
2001R. Valent300
2000N. Mahut200637
1999J. Melzer2003
1998R. Federer2001
※2020年は開催せず、現役選手のRはここまでの最高位

そんな中、望月は1つの大きなハードルを越えた。

かつての栄光におごることなく、地道に確実にステップアップしてきた.

グランドスラム初勝利が、「最も好き」「特別な場所」という、ウィンブルドンになったのも運命的なものを感じているはずだ。

2回戦の相手は、世界19位、第17シードのカレン・ハチャノフ(29歳)に決まった。

強敵なのは間違いないが、これまで世界19位ウーゴ・アンベール(フランス)、世界8位フベルト・フルカチュ(ポーランド)、世界10位ティラー・フリッツ(アメリカ)、世界15位トミー・ポール(アメリカ)と、上位ランカーと何度も顔を合わせてきた望月にとっては、今さら、特別に臆する相手でもない。

ウィンブルドンジュニア制覇経験者で、ウィンブルドンも制したのは、長い歴史の中で過去4人。

ビヨン・ボルグ(スウェーデン)、パット・キャッシュ(オーストラリア)、ステファン・エドバーグ(スウェーデン)、ロジャー・フェデラー(スイス)。いずれもそうそうたるメンバーだ。

ジュニア制覇からシニア制覇までボルグ4年、キャッシュ、エドバーグ、フェデラーも5年かかっている。

決して笑うなかれ。望月は22歳。可能性は無限大。

初勝利まで6年かかったが、まだ確かに、「MOCHIZUKI」は、歴代5人目になり得る権利を持っている。

2019年11月、ITFのインタビューに答えた望月の言葉を、今こそ振り返ろう。

「グランドスラムでプロ選手のプレーを見てきました。将来、自分もああいう試合に出て勝てると信じています。一歩一歩ですが、私の夢であり、究極の目標は世界ランキング1位になることです

ハチャノフと好勝負を演じられれば、その夢はまた一歩、現実味を帯びる。

▶「WOWOW official」動画より 歓喜の雄叫び

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テニスうどん
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駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
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