伊藤あおいウィンブルドン初勝利にあと一歩

2時間24分 惜敗
世界ランク228位の伊藤あおい(22歳)がグランドスラム初勝利を懸けて、6月29日、ウィンブルドン1回戦に臨んだ。
世界ランク67位のダヤナ・ヤストレムスカ(26歳=ウクライナ)に挑んだが、6-7(1),6-4,5-7のフルセットで惜しくも敗れた。
試合時間2時間24分。
難敵にマッチポイント4本も
昨年のウィンブルドン1回戦では世界2位で第2シードだったココ・ガウフ(22歳=アメリカ)を破ってもいる、強者ヤストレムスカとの戦い。
伊藤はスペシャルランキングを使って早々と本戦インを決め、芝で4大会の前哨戦を戦って本場に臨んでいた。
そして、タフな相手をあと一歩まで追い詰めた。
ファイナルセット5-3リード。
マッチポイントを先に4本握ったが、あと1ポイントが届かなかった。
ヤストレムスカの土壇場での逆襲に屈し、ここから4ゲームを連取され敗れた。
グランドスラム初勝利ならず
グランドスラム大会は予選からを含め5度目の挑戦。
2度目のメーンドロー入りだったが、グランドスラム本戦初勝利は惜しくもお預けとなった。
| 伊藤あおい 全グランドスラム成績 | ||||
| 2025年1月7日 全豪オープン | ||||
| 回戦 | 対戦相手 | R | スコア | |
| 予選1回戦 | ⚫️ | 石井さやか | 221 | 3-6,4-6 |
| 2025年5月20日 全仏オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚫️ | P・マルチンコ | 209 | 5-7,2-6 |
| 2025年6月30日 ウィンブルドン | ||||
| 1回戦 | ⚫️ | K・ラヒモワ | 80 | 7-5,3-6,2-6 |
| 2025年8月19日、21、22日 全米オープン | ||||
| 予選1回戦 | ⚪️ | A・フリードサム | 197 | 6-4,5-7,6-3 |
| 予選2回戦 | ⚪️ | G・マリスタニー | 192 | 6-0,1-6,6-1 |
| 予選3回戦 | ⚫️ | J・ティエン | 147 | 1-6,2-6 |
| 2025年6月29日 ウィンブルドン | ||||
| 1回戦 | ⚫️ | D・ヤストレムスカ | 67 | 6-7(1),6-4,5-7 |
トータルポイント116対116
トータルポイントは両者まったく同じ116対116。
まさにどちらが勝ってもおかしくない、激戦だった。
ウィナーはヤストレムスカが49本。
一方の伊藤は相手の半分以下のアンフォースドエラー数21本。
伊藤は何度も芝に足を取られ転倒しながら、相手の強打を耐えしのぎチャンスを待った。
| 伊藤あおいVSヤストレムスカ スタッツ | ||
| ヤストレムスカ | 項目 | 伊藤 |
| 3 | エース | 3 |
| 5 | ダブルフォルト | 4 |
| 50% | 1stサーブイン | 67% |
| 65% | 1stサーブPW | 50% |
| 43% | 2ndサーブPW | 60% |
| 33% | ブレークPW | 50% |
| 19/23 | ネットPW | 14/24 |
| 49 | ウィナー | 13 |
| 58 | UE | 21 |
| 116 | トータルPW | 116 |
| PW=ポイントウォン、UE=アンフォーストエラー | ||
ここぞの場面で前へ
第1セットを落としたが、第2セット中盤以降は伊藤のペース。
そして最初に大きなチャンスをつかんだのも伊藤だった。
ファイナルセット第9ゲーム。5-3で伊藤のサーブ。0-30のピンチで、伊藤はワイドにスライスサーブを打つと、続けざまフォアのダウンザライン。
決して力強いボールではなかったが、この場面で大胆にもスルスルと前に出た。
相手のバックのダウンザラインをフォアのローボレーで見事に沈め、ガッツポーズを作った。
続いてバックのクロスの強打で相手を差し込ませ、30-30に追いつく。
相手のリターンミスで、ついにマッチポイント。
完全に伊藤ペース。
勝負はあったかに思えた。

土壇場で見せた笑顔
だが、ここからヤストレムスカの開き直ったかのような強打に苦しんだ。
体力的にも厳しいシーン。
伊藤は何度も転倒し、息が上がり両膝をつくが表情は穏やかだった。
長い4度目のデュースになると、観衆の励ましの声に満面の笑みを浮かべた。
テニス選手にとって夢の舞台で、夢のグランドスラム1勝が間近にあっても、
ゲームを楽しむマインドは変わらない。
敗れはしたが、伊藤の強さが間違いなくここにあった。
トップ100選手と遜色なし
堂々とトップ選手と渡り合い、間違いなくグランドスラム1勝へ、あと1ポイントにまで迫った。
昨年はトップ100選手に9勝7敗と勝ち越し。
今年は4連敗となったが、直近4試合すべてに50~60位の選手との対戦が集中した。
今回の一戦を含めフルセット2度。
体力的にもフルで戦えた。
相手の警戒感が増した今の状況を考えると、
その距離は間違いなく縮まっている、と言って過言ではない。
| 伊藤の2026年 世界100位以内との対戦 | ||||
| 月日 | 対戦相手 | R | スコア | |
| 6/7 | ⚫️ | A・ルジック | 58 | 3-6,4-6 |
| 6/14 | ⚫️ | P・マルチンコ | 50 | 2-6,6-4,2-6 |
| 6/21 | ⚫️ | D・パリー | 60 | 2-6,1-6 |
| 6/29 | ⚫️ | D・ヤストレムスカ | 66 | 6-7(1),6-4,5-7 |
1000万円には届かず
「大事ですよね、賞金は(笑)。初戦の意気込みは『1回勝てば賞金1000万円』です。宝くじよりは確率が高いと思っています」。
2回戦に進めば賞金は1600万円から約2600万円に跳ね上がる。
試合前、賞金へのモチベーションの高さを冗談まじりに話していた伊藤だが、
決してクジ運などではなく、自らの手で勝利を手にする日も近い。
一方で今の自分との差、課題など感じたものも大きかっただろう。
故障で落ちたランキングを上げていくためには、再び難敵を打ち破っていく必要がある。
得意のハードコートシーズンへ
いよいよハードコートシーズン。
次戦は7月11日から予選が始まるアテネ・オープン(ギリシャ)にエントリーしている。
昨年はウィンブルドンを終えた後、腰椎疲労骨折で離脱するまでの7、8月は絶好調。
1カ月半の戦績は13勝6敗、勝率.684だった。
特にレベルの高いWTA1000のナショナルバンク・オープン、シンシナティ・オープンの両大会で3回戦にまで進出した。
8月31日から始まる全米オープンでは、2枚目のスペシャルランキングのカードを切り、本戦からの勝負を選ぶことになるだろう。
次の照準に向け、どこまで上昇していけるか。
敗れてなお、期待が大きく膨らむ、聖地での大健闘だった。







