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伊藤あおいの試合予定と結果は
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石井さやか 柴原に大逆転勝利

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世界ランク215位の石井さやか(19歳)が4月30日、岐阜カンガルーカップ1回戦で世界ランク139位の柴原瑛菜(27歳)と激突し、7-5,2-6,7-5のフルセットで勝利した。

ファイナルセット3-5ダウンの絶体絶命のピンチから攻め続け4ゲーム連取。

日没直前、2時間44分のロングマッチを制した。

トータルポイントは104対110。両者合わせて214ポイントを争う激闘。

テニスでは大抵、勝者がトータルポイントでもリードするものだが、柴原が最後まで6ポイント勝っていたにもかかわらず、ラストの大まくりを見せた石井に軍配が上がった。

それほど凄まじい接戦だった。

両者のトータル214ポイント
石井柴原
第1S4443
第2S2635
第3S3432
第3Sの経過
第3Gまで
3-0石井リード
137
第4~8Gまで
5-3柴原逆転
21
第9~12Gまで
7-5で石井再逆転勝利
164
通 算104110

最終セットを迎えた岐阜のセンターコートは異様なほど静寂に包まれていた。2人の集中力の高いプレーに息を呑んでいた。

出だしは石井が持ち前の「バズーカ」フォアを炸裂させた。フォアバック、サービスエースとウイナーを連発。

石井がイッキに3-0までリードを奪う。

しかし、ここから柴原が持ち前の粘り強さで反撃する。相手の一瞬のスキを突くワイドサーブ、石井のフォアにも臆せずカウンターをぶちかまし、攻め込まれても粘り強くもう1本を返し続けた。

第4~8ゲームまでは柴原がポイント21-5と圧倒。

イッキに5ゲーム連取で逆転した。

第3セット 第9ゲーム
石井S153040G 4-5
柴原15
赤はウイナー、オレンジはフォースドエラーを奪ったポイント

3-5で迎えた第9ゲーム。石井は自らのサービスゲームでなんとか踏みとどまる。

1本目、柴原の強烈なフォアのリターンエースで勝負あったかに見えたが、そこから反撃。

開き直ったようにフォアを打ち、最後はバックのクロスでウイナーを奪い、このゲームキープ。

石井から見て4-5。

第3セット 第10ゲーム
柴原S5-5
石井153040 G    

続く柴原サーブの第10ゲーム。石井は好リターン続け、柴原が先に放り出す形でラブゲームブレーク。ついに5-5に追いつく。

第3セット 第11ゲーム
石井S153040 G 6-5
柴原1530

だが、スコア上はまだタイ。プレッシャーのかかる第11ゲーム、石井のサーブ。15-0のからダブルフォルトと得意の3球目フォアをミスし、痛恨の15-30。

石井は「もーっ」と、この試合初めてと言っていい苛立ちの大声を上げ、柴原は「カモーン!」と声を張り上げた。

これまでの石井ならズルズルいっていたかもしれない。だが、石井は15-30から強気のフォアを打ち続け計12本のラリーを制す。最後はワイドへのサービスエース。

我慢のキープに小さくガッツポーズを作った。

第3セット 第12ゲーム
柴原S157-5
石井153040G 

第12ゲーム、柴原のサービスゲーム。あれだけ粘り強かった柴原が重圧からか、連続アンフォースドエラーを重ね、0-30。3球目攻撃のフォアウイナーで1本返し、意地を見せる。

だが、続くポイント、再び石井のフォアを止めきれない。

16本のラリーの末、石井の逆クロスウイナーが決まる。

15-40。もう柴原もミス待ちは期待できないと悟ったのだろう。石井のマッチポイントはこれまで以上に強気に打って出た柴原のフォアハンドエラーで決着した。

石井はゲームカウント3-5の土俵際から、攻める姿勢を忘れず。

ポイント16対4の大猛攻で、再びゲームを逆転させた。

石井がここまでの集中力を発揮できたのは、相手が柴原だったことが大きいだろう。

3月のサントドミンゴで年下で同じIMGアカデミーを拠点に戦う園部八奏に敗れた。その後も富士薬品セイムスは2回戦、安藤証券オープン1回戦敗戦と、早期敗退が続いた。

安藤証券オープン準決勝で、伊藤あおいをフルセットで下し、決勝で園部にフルセットで惜敗している柴原。

自分の「現在地」はどこにあるのか。それを確かめるためにも、20歳伊藤、17歳園部にライバル心を抱く19歳のハートは、燃えたぎっていたはずだ。

そして、見事に目の前の大きな壁を越えてみせた。

柴原にしてみれば、伊藤と2時間45分、園部と2時間28分、石井と2時間44分。

3試合で7時間57分。

真っ向から勢いを受け止め、1度も隙を見せることなく、若手に勝負の厳しさを見せ続けた。

日本代表の杉山監督は、さぞ柴原の真摯な姿勢に感謝していることだろう。

マイアミ・オープンでWTA1000の本戦デビュー以降、今ひとつ戦績が伸び悩んだ石井にとっては、大きな1勝に間違いない。

フォアのテークバックが大きすぎる、攻めが単調すぎるなど、「外野」からの声は少なからず、耳に入っていただろう。しかし、この日勝てた最大の武器は、間違いなく、ネットぎりぎりを通過してベースラインに突き刺さる、世界でも屈指の「バズーカフォア」だった。

こんなに破壊力があり、相手に重圧を与えるシグニチャーショットを持つ選手がほかにいるのだろうか? 結果が出ないからといって、簡単にリミッターをかけてしまっていいような「代物」ではない。

石井はまだ20歳。目標はグランドスラム優勝。そこそこ勝てるプロを目指している訳ではない。

2回戦の相手は、小池愛菜。1回戦で細木咲良にフルセット逆転勝ちした。

石井の1歳年下の18歳、同じIMGアカデミーでしのぎを削る後輩だ

負けるわけにはいかない。

何より柴原に勝てた自信は大きい。この一戦が、19歳大物の、さらなる飛躍を呼ぶターニングポイントになるかもしれない。

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テニスうどん
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駆け出しブロガー
スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西1部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り!時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、WTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。
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