坂本怜 大激戦惜敗4強逃す

ファイナルだけで88分
坂本怜が第1シードの強豪撃破を惜しくも逃した。
世界ランク180位で大会第6シードの坂本怜(19歳)が11月14日、兵庫チャレンジャー準々決勝に臨み、世界131位のツェン・チュンシン(24歳=台湾)と対戦。6-4,1-6,6-7(11)のスコアで惜敗した。
キャリアハイ83位、チャレンジャータイトル6勝を誇る
アジアの先輩をあと一歩まで追い込んだが、ベスト4進出はならなかった。
試合時間2時間32分。
特にタイブレーク11-13までもつれ込んだファイナルセットは、
このセットだけで1時間28分を擁する激戦だった。
ファイナル第1ゲーム粘り
坂本は1、2回戦ともフルセットの激しい試合を制しての勝ち上がり。
この日も第2セットを落とした直後、ファイナル第1ゲームがキーゲームとなった。
自らのサービスゲーム15-40。
相手にブレークポイント2本を許したシーンから素晴らしいプレーを見せた。
| ファイナル第1ゲーム坂本のサービスゲーム 被ブレからのプレー | ||
| カウント | 内容 | ポイント |
| 15-40 | 3球目攻撃でネットを奪い相手パスミス | 坂本 |
| 30-40 | 3球目攻撃でネットを奪いバックボレーウィナー | 坂本 |
| 40-40 | ロングラリーからネットへフォアボレーウィナー | 坂本 |
| AD坂本 | 7球目坂本がバックストロークミス | ツェン |
| 40-40 | 3球目で前へナイスボレーの後スマッシュ | 坂本 |
| AD坂本 | 3球目攻撃フォア逆クロスウィナー | 坂本 |
ファーストサーブから3球目で主導権を奪い、恐れることなく前へ。
6ポイント中4ポイントがネットプレーによるもの。
正念場で勇気あるプレーを貫いた。
フルパワーのショットの勝負ではなく、配球、組み立てを意識するのは、
緊張する場面ほど難しい。
1、2回戦で見せたのと同様、成長した姿でオールキープ6-6の白熱の展開を生み出した。

惜しかった第11ゲーム
ファイナルセット終盤、第11ゲームではツェンを土俵際まで追い込んだ。
6-5、坂本リードでツェンのサーブ。
ファイナル第1ゲームと同じようにロングラリーで組み立てネットウィナーで15-40とする。
リターンゲームとはいえ、2本のマッチポイントを手にした。
しかし、ツェンはキッチリと素晴らしいファーストサーブを2本入れてセーブ。
バウンドしてからグッと差し込むようなクォリティーの高いショットを連発。
坂本に4連続でバックをミスさせてキープ成功。
さすが百戦錬磨のツェン、という勝負強さを見せられた。
一進一退タイブレ
だが我慢ができるようになった坂本は
突入したタイブレークでも、レベルの高いプレーを維持し続けた。

両者ミニブレーク1本ずつでキープを続け、坂本から5-6。
ツェンに最初のマッチポイントが来た。
ここで坂本はセンターへのナイスサーブ。ツェンのフォアスラリターンはネットにかかり、ピンチをしのぐ。
ツェン2度目のマッチポイント、7-8。
ここでも坂本は譲らない。
ワイドに、会場がどよめく素晴らしいサービスエース。
ツェン3度目のマッチポイント9-10。
坂本は、さらに球速が上がったワイドサーブでノータッチエース。
続くポイントもセンターに連続エースで11-10とした。
| ファイナルタイブレーク ツェンのマッチポイントでの坂本のプレー | ||
| カウント | 内容 | ポイント |
| 5-6 | センターエース級サーブでリターンネット | 坂本 |
| 7-8 | ワイドに見事なサービスエース | 坂本 |
| 9-10 | ワイドに見事なサービスエース | 坂本 |
| 11-12 | 7球目坂本がフォアストロークミス | ツェン |
ツェンのファーストイン
だが、ツェンも負けていなかった。
坂本のマッチポイント、タイブレ7-6、9-8、10-11と、3度すべてファーストを入れて主導権を握り、しのぎきった。
第11ゲームを含めた相手マッチポイント5度ですべてファーストイン。
ファイナルセットのファーストイン確率は51%しかなかったから、
ここぞのイン率はまさに「離れ業」だった。
11-13で決着
最後は坂本から11-12。ツェン4度目のマッチポイント。
坂本は4たびファーストを入れる。
だが、フェンスぎりぎりまで下がったツェンに、ボディーを狙ったコースをなんとか返されラリー戦に。
7球目のフォアで坂本がわずかにロングミスして、ついにツェンに軍配が上がった。
ファイナルセット56対55
タイブレークだけで24ポイント、ファイナルセットだけで実に111ポイントを争った。
両者のポイントの内訳は56対55。
ツェンのリードは、わずか1ポイントだった。
坂本のマッチ通算サービスエースは9本だったが、タイブレだけで4本を奪った。
ツェンに負けず劣らず、
4度の相手マッチポイントですべてビッグサーブを入れる姿は立派だった。
どちらが勝ってもおかしくない、両者の意地と意地がぶつかりあった名勝負だった。
残すは慶應チャレンジャー
敗れはしたが、勝負は時の運。
ネットで勝負を決めるまで我慢する精神力。
類稀なるビッグサーブを、勝負どころで決められる集中力。
いずれも明るい要素が際立った今大会3試合となった。
次戦は17日からの横浜慶應チャレンジャー。
長期戦線離脱中の錦織圭が出場するかも注目されるが、
坂本にとっては文字通り2025年ラストの大会と見られる。
2026年ATPツアーでの躍進に向けて、さらに自信を確固たるものに変えてもらおう。




