柚木ボパンナ組 劇的決勝進出


ファイナルタイブレ18-16
柚木がマッチタイブレークを自身の力でもぎとった。
9月29日、ATP500木下グループジャパンオープンテニス(東京・有明)のダブルス準決勝が行われた。
日本の柚木武(27歳)とダブルス元世界1位ロハン・ボパンナ(45歳=インド)のペアが第1シードのダブルス世界16位クリスチャン・ハリソン(31歳=アメリカ)と同17位エヴァン・キング(33歳=アメリカ)ペアと対戦。
ボパンナ柚木組は、第1セットを4-6で落としたが、第2セットを6-3で取りセットオール。
迎えたマッチ10ポイントタイブレークは大激戦となった。
柚木が思い切りの良いプレーを連発して、最終的には18-16で勝利。
1時間34分の戦いを制して、見事決勝進出を決めた。

積極的プレー連発
ファイナルタイブレーク。
1回戦のように、ボパンナに引っ張られるような柚木の姿はなかった。
1本目からハリソンのセカンドサーブを叩き、リターンダッシュ。
最後はセンターのボール、まるでボパンナから奪い取るかのように前へ出てスマッシュを決めた。
続く自らのサービスは2本とも相手の好プレーで落とした。
相手に2本キープされ1-4とされたが、怯まない。
ボバンナのサーブ。前で柚木は、ダウンザラインのボールに飛びつくバックボレーポーチ。続いては甘くなったリターンをスマッシュ。
ボバンナがリターンでポイントを失った後、センターのサーブを叩きフォアの逆クロスリターンエース。
もちろんダブルスはコンビプレーだが、
ここまで柚木組の6本のポイントすべてを柚木が奪ったと言っても過言ではない
積極プレーの数々だった。

相手マッチポイントで234キロ
その後は互いにキープが続き8-9。
ハリソン組に先にマッチポイントがやってきた。
サーブは柚木。何としてもフリーポイントがほしい場面。
注文通りセンターに234キロのファーストサーブイン。
そのド迫力の一撃に有明がどよめいた。
ハリソンはラケットの先端に触れるのが精一杯。9-9。
続くポイントを落とし、再び相手のマッチポイント。だがボパンナがナイスリターンでキングのミスを誘い出し、10-10。ここで柚木はまたもフォア逆ロロスで完璧なリターン。キングのラケットを弾き飛ばし、マッチポイントを奪い返す。
その後も互いにマッチポイントが行き来する、もつれにもつれる展開。それでも柚木は肩口の難しいフォアのドライブボレーを決めたり、フォアストロークの打ち合いに勝つなど出力全開。
第1シードと元世界1位に囲まれた中で、
遜色ないどころか一際目立つプレーを繰り出し続けた。
勝負のリターン 勝負のセカンド
迎えた16-16。リターンの柚木はハリソンのセカンドサーブを叩く。
勝負に行ったバックのダウンザライン。
これぞダブルススペシャリストという勝負師の一撃が決まった。
キングのラケットをまたも弾き飛ばした。
柚木組に6度目のマッチポイントがやってきた。
再び柚木のサーブ。ファーストは233キロ、ロングのフォルト。
セカンドでも迷いはない。
きっちりと振り切り、普段より速い186キロのフラット気味のサーブ。
ハリソンのリターンがネットにかかると、柚木は堂々と右手拳をスタンドに突き上げた。
自身初のツアー勝利に始まった今大会、一気に波に乗って決勝進出。
自身初のファイナリストがかかった一戦、自身初の超ロングタイブレーク。
すべての重圧を柚木がモノの見事に振り払った。
239キロで初優勝目指す
オンコートインタビューでも自信に満ちた表情を見せた。
「明日は239キロを出すんで、みなさん応援に来てください!」
測定器で図ったかつての自身最速サーブは228キロだったというが、それを試合を重ねるたびにゆうに超えていく。
アドレナリンMAXの決勝は自己最速239キロを目指すという。
9月30日の決勝の相手は第2シード。世界ダブルスランク20位のヒューゴ・ニス(34歳=モナコ)と同18位のエドゥアール・ロジェバセラン(41歳=フランス)組。
ヴァスランは、ロバンナが2013年のジャパンオープンを制した際のパートナーでもある。
もう誰が相手でも柚木に遠慮はないだろう。
それだけのプレーができることを有明の準決勝のコートで存分に証明して見せた。