川西飛生ジャパンオープンJr初制覇


逸崎にストレート勝利
U17日本代表で第7シードの川西飛生(16歳=湘南工科大学附属高)が9月21日、J200ジャパン オープン ジュニア(兵庫・三木)決勝に臨み、第3シードの逸﨑獅王(18歳=相生学院高卒、トップランAIOI)を下した。
大会ダブルスでペアを組み、2025年全豪オープンジュニアにも共に出場した「兄貴分」的な先輩を相手に6-1,6-2のスコアでストレート勝利。
大会初優勝を飾るとともに、これがJ200グレードでの自身初制覇にもなった。
正確かつ積極的なリターン炸裂
試合開始から5ゲーム連取と終始、川西のペースで進んだ。
ファーストサービスの入りに苦しむ逸崎に対して、川西は正確無比かつ積極的なバックのリターンを連発。ベースライン内側に入り込んでの逸崎の時間を奪い、完全に主導権を握った。
第1セットは逸崎に全く付け入るスキを与えず6-1。
第1セット第5ゲームから第2セット第4ゲームにかけては、3ゲームが長いデュースになるなどもつれたが、川西は我慢のテニスでサービスキープを継続。
第2セットも第5、7ゲームをブレークして、そのまま6-2で逃げ切った。

各セット両者の1stサービスイン確率 | ||
川西飛生 | 逸崎獅王 | |
50% (11/22) | 第1S | 44% (10/23) |
47% (14/30) | 第2S | 41% (9/22) |
48% (25/52) | マッチ | 42% (19/45) |
トータルポイントは「62」対「35」と、川西の圧勝だった。
各セット両者のトータルポイント | ||
川西飛生 | 逸崎獅王 | |
30 | 第1S | 15 |
32 | 第2S | 20 |
62 | マッチ | 35 |
素晴らしい創造性
川西にはジュニアにありがちな、粗削りの部分が一切なかった。
素晴らしいハンドアイコーディネーションで正確にスイートスポットでボールをとらえ、
ミスショットは、ほとんどがジャストアウト。
良さを挙げればキリがないが、
- 自由自在な両手バック
- 威力あるファーストサーブと精度が高いセカンドサーブ
- 丁寧かつ前に入り込んだリターン
- フォアスラを駆使した時間コントロール
- 攻守の切り替えのうまさ
ここまで書くと、安定感が目立つかもしれないが、
その創造性にあふれたプレーは、さらなる伸びしろの大きさを感じるには十分だった。
ダブルファースト&ギアチェンジ
第2セット3-2、自らのサービスゲーム。1ブレーク差の逸崎はまだまだ逆転を諦めていなかったが、川西はこのゲームで、周囲を驚かせるショットを連発した。
15-15のセカンドサーブ。デュースサイドワイドへのまさかのトップスライスサーブ。
ダブルファーストと思わせるスピードで完全なサービスエース。
川西はさらにネットに詰め寄っている用意周到ぶりだった。
40-15からはTゾーンへ完璧なビッグサーブ。続けざま3球目を両手バックでクロスサイドラインへノータッチウィナー。
これで完全に逸崎の反撃の意欲を削ぎ落とした。
ラリー中に見せる見事な攻守の切り替えだけでなく、
ゲーム展開の中で、一気にギアを上げられる、サプライズなアタック力も見事だった。
最終ゲームのマッチポイントはセカンドサーブでネットダッシュ。
ファーストボレーは見事なバックのドロップボレー。惚れ惚れするようなウィナーで決めた。
昨年と今年の全日本ジュニア王者対決
川西は2008年12月2日生まれ。主な経歴は2024年の全日本ジュニアU16&2025年の全日本ジュニアU18王者。
一方の逸崎は2007年1月13日生まれ。主な経歴は2021年全日本ジュニアU14&2024年全日本ジュニアU18王者。秋からは名門テネシー大学に進みNCAAの大学テニスで腕を磨くことが決まっている。
昨年と今年の全日本ジュニア覇者同士の対決は、2学年下の川西に軍配が上がった。
昨年10月のITF関東国際ジュニアテニス(J100)決勝では1-6,2-6と完敗していたが、見事雪辱を果たした。
4連続V 驚異21連勝
6月の全仏オープンジュニアに出場、その1回戦で敗れてから、川西の飛躍ぶりは凄まじい。
直後にカザフスタンのアルマトゥイで行われたITF大会(J100=クレー)を2大会連続優勝。その後、8月の全日本ジュニア、そして今回のジャパン オープン ジュニアと4大会連続で優勝。
- 6月 J100アルマトゥイ1=5連勝
- 6月 J100アルマトゥイ2=5連勝
- 8月 全日本ジュニア=6連勝
- 9月 ジャパンオープンジュニア=5連勝
全日本ジュニアはITF大会ではないが、
それも含めれば、なんと驚異の21連勝だ。
5試合失セットゼロ
特に今大会は過去の優勝の中でも最もグレードの高いJ200。
準々決勝はITF48位で第1シードのサヴァ・リブキン(16歳)を6-1,6-2。
準決勝はITF105位で第5シードのリハード・ネイマニス(17歳=ラトビア)を6-1,6-1。
5試合10セットを戦い、失セットゼロ。
しかも2回戦の第1セットで4ゲームを失った以外は、すべて2ゲーム以下しか与えず。
まさに「完全優勝」と言っていい、素晴らしい内容で頂点まで駆け上がった。
川西の優勝までの勝ち上がり | |||
回戦 | 対戦相手 | スコア | |
1回戦 | ⚪️ | キム・テウ | 6-2,6-0 |
2回戦 | ⚪️ | L・ミートゥシュ | 6-4,6-2 |
準々決勝 | ⚪️ | S・リブキン[1] | 6-1,6-2 |
準決勝 | ⚪️ | R・ネイマニス[5] | 6-1,6-1 |
決勝 | ⚪️ | 逸崎獅王[3] | 6-1,6-2 |
さあ世界スーパージュニアへ
休むまもなく、次戦は、すでにこの日から予選が始まっているJ500世界スーパージュニア(大阪・靭)に向かう。
2023年全日本ジュニアU16覇者で、川西と同じく全仏オープンジュニアに出場し4強にまで勝ち上がった田畑遼(17歳)が第1シード。
この日、決勝を争った逸崎も出場する。
勢いに乗った川西飛生は、どこまで「飛躍」できるのか。この進撃を止める者は現れるのか。
木下ジャパンオープン開催の裏で、もう1つの見逃せない戦いが始まる。