17歳ドイツ新星がデビスカップ日本戦に初招集

ボリス・ベッカー以来の若さ
ドイツの世界220位、ジャスティン・エンゲル(17歳)がデビスカップ日本戦(9月12、13日=有明コロシアム)に初招集された。
エース候補だった世界56位のダニエル・アルトマイヤー(26歳)が全米オープンで故障し、急きょ代役として白羽の矢が立った。
2007年10月1日生まれ、ドイツ・ニュルンベルク出身。まだ17歳。
もし試合に出場すれば、ボリス・ベッカー以来の若さでの代表デビューとなる。
ジャスティン・エンゲルとは?
185cmの長身から繰り出すサーブ、両手バックのフラット気味のカウンターショット武器に、2024年以降、急速に頭角を現した。
- 2024年10月:ATP250アルマトイ(ハード)で、当時世界133位のコールマン・ウォン(香港)を破りツアー初勝利。2007年生まれ以降でツアー初勝利一番乗り。
▶「Tennis TV」YouTubeより
- 2025年5月:ATP500ハンブルク(クレー)で、今回ドイツ代表にも選ばれている世界86位のヤン・レナード・ストルフを撃破。トップ100からの初勝利。
- 続く2回戦は世界17位のアンドレイ・ルブレフに3-6,5-7で敗れる。
▶「Tennis TV」YouTubeより
- 2025年6月:ATP250シュトゥットガルト(芝)で世界94位のジェームズ・ダックワース(オーストラリア)に逆転勝ち。初のグラスコートでの公式戦で勝利。
- 続いて世界35位のアレックス・ミケルセン(アメリカ)も破る。芝のATP大会で準々決勝進出の史上最年少記録(ボリス・ベッカー以来)を樹立。
▶「Tennis TV」YouTubeより
- 続く準々決勝は世界29位のフェリックス・オジェ=アリアシム(カナダ)に6-7,3-6で敗れる。
▶「Tennis TV」YouTubeより
すでにATPツアーでは17歳8カ月にして、
ハード・クレー・芝の3つのサーフェスすべてで勝利を挙げている。
1990年以降この記録を達成したのはラファエル・ナダルのみ(17歳2カ月)。
ちなみにエンゲルの目標はベッカーではなくナダル。
憧れのプレーヤーに次ぐ、史上2番目の若さで成し遂げた偉業だ。
コーチは父ホルスト、さらに元世界16位のフィリップ・コールシュライバーも指導に加わっており、育成体制も盤石だ。
コールマンも期待
ドイツメディアによれば、コールマン監督は当然、アルトマイヤーの不在を嘆きながらも、17歳のエンゲルへの期待感を、こうあらわにした。
「ジャスティン・エンゲルがチームに加わったことを嬉しく思う。これは彼個人にとって素晴らしいチャンスであるだけでなく、ドイツテニスの次世代にとって重要な兆しでもある」
エンゲル自身も素直に喜びを語った。
「デビスカップ代表に選出されたことは夢の実現です」
「ドイツ代表としてプレーすることはずっと私の目標だったので、この挑戦を本当に楽しみにしています。チーム一丸となって日本に打ち勝てたら嬉しいです」
17歳11カ月勝利へ
まだ17歳のボリス・ベッカーがウィンブルドンを制したのは1985年。強烈なサーブ&ダイビングボレーで世界中を熱狂に巻き込んだ「伝説」だ。
ベッカーは、その4カ月前の3月のスペイン戦で代表デビュー。デビスカップで初勝利した時の年齢は、まだ17歳3カ月だった。そこから1999年まで、ドイツの看板を背負い、54勝12敗の成績を残した。
エンゲルが日本戦でデビュー、そして勝利すれば、年齢的には17歳11カ月。
高校生の年齢が母国に与える衝撃は、「ベッカー再来」と大いに騒がれることだろう。
望月か西岡と対戦も
そのエンゲルと対峙する可能性があるのは、望月慎太郎か西岡良仁。
エンゲルの最大の武器はベッカーと同じく、サービス。
芝の大会では1試合で16本のエースを叩き込んだ実績がある。
粘り強いリターンを武器にする日本勢のスタイルは真っ向勝負となる。
あくまで代表戦の雰囲気をつかませるための帯同か、それともアルトマイヤー不在に乗じて、驚きの起用はあるのか。
ネクストジェンATPファイナルズ争い、最年少17歳にして11位につける新星の参戦で、もう1つの注目ポイントができた。
日本代表メンバー | ||
選手名 | ランク | 年齢 |
錦織 圭 (にしこり・けい) | 90位 | 35歳 |
望月慎太郎 (もちづき・しんたろう) | 112位 | 22歳 |
西岡 良仁 (にしおか・よしひと) | 149位 | 29歳 |
綿貫 陽介 (わたぬき・ようすけ) | 148位 | 27歳 |
柚木 武 (ゆずき・たける) | 複105位 | 26歳 |
世界ランクは2025年8月25日付
ドイツ代表メンバー | ||
選手名 | ランク | 年齢 |
ダニエル・アルトマイヤー Daniel Altmaier | 56位 | 26歳 |
ヤニック・ハンフマン Yannick Hanfmann | 132位 | 33歳 |
ヤン・レナード・ストルフ Jan-Lennard Struff | 144位 | 35歳 |
ジャスティン・エンゲル Justin Engel | 220位 | 17歳 |
ケビン・クラウィーツ Kevin Krawietz | 複7位 | 33歳 |
ティム・プッツ Tim Puetz | 複8位 | 37歳 |
アルトマイヤーの欠場をドイツテニス連盟が9月4日発表 |
ご存じない方がいるかもしれないので、ボリス・ベッカーの動画も付けておく。
▶「Wimbledon」公式YouTubeより 1985年優勝 懐かしいサーブ、ラケット
▶「Tennis TV」YouTubeより スーパープレー集、現代とは違うラケットでこのスピン


