ハラ・フレンド CH初4強


4大会目で初
世界743位のジェイ・ディラン・ハラ・フレンド(21歳=Jay Dylan Friend=ハラはミドルネーム)が、10月10日、ソラノチャレンジャー準々決勝(チャレンジャー50=アメリカ・フェアフィールド)に臨み、世界ランク358位のダニエル・ミラフスキー(24歳=アメリカ)を7-6(5),6-0で倒した。
チャレンジャー挑戦4大会目で初のベスト4進出を決めた。
圧倒的なサービスキープ
第1セットはオールキープでのタイブレーク。両者ともブレークポイントすらなかったジリジリした展開で、フレンドがタイブレークを取り切る。
対照的に第2セットはフレンドが3ブレークして6-0と圧倒。

フレンドのあまりのサービスキープ力の高さに、相手選手が音を上げる格好となった。
フレンドは9ゲームあった自らのサービスゲームで4度でラブゲームキープ。
3度が1ポイントしか失わなかったゲーム。
デュースになった2ゲームも相手にブレークポイントを与えず、危なげなくアドバンテージを先に奪ってキープした。
マッチを通じブレークポイントゼロ。
フレンドのサービスゲームでの失ポイント数 | ||||||
第1セット | ||||||
ゲーム | ① | ③ | ⑤ | ⑦ | ⑨ | ⑪ |
ポイント | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 |
第2セット | ||||||
ゲーム | ② | ④ | ⑥ | |||
ポイント | 3 | 0 | 0 |
ファーストイン時のポイント獲得率は87%(26/30)。
セカンドでも74%(17/23)と実に高い数字を誇った。
堅実さ+創造性あふれるプレー
サーブ力、強烈な3球目フォアが主体の素晴らしいオールラウンダーの戦いぶり。
堅実さの中に、創造性のあふれるショットも大きな魅力だ。
第1セット5-4、相手サーブの40-15。
バックのクロスを打つかと思いきや、フレンドは相手の逆を突くダウンザライン。
何とかフォアスラで返球した相手のボールを、すかさずネットに出たフレンドは、
フォアの逆クロスへの超アングルボレー。
ネットのわずか1メートル向こうに落ちる見事なコントロールに、観衆からは驚きの声があがった。
スピンロブにバックスピンドロップ
第1セット6-6、タイブレーク1-1。
相手は完璧なファーストサーブからバックスライスでアプローチ。
ベースライン20センチ手前という、ほぼ完璧なボールだったが、
フレンドはフォアのトップスピンロブ。
ここしかないという思い描いた通りの軌道で抜いて見せ、大きくガッツポーズを作った。
第2セット0-0、30-40。相手サーブ、フレンドのブレークポイント。
完璧なリターンから相手の両手バックはネットに当たるコードボール。ネット手前1メートルに落ちるフレンドにはアンラッキーなボールとなったが、何とか追いつく。返すのが精一杯、よくて相手にボレーさせるしかない厳しい位置だったが、フレンドの選択はドロップ。
相手は完全に予測できるはずだったが、
そのさらに上を行く強烈なサイドスピン+バックスピン。
相手が3バウンドしないと追いつけない完璧なショットでブレーク。
ここからイッキに勝利へひた走った。
強さ増す5連勝
これで予選2試合の勝ち上がりから5連勝。
予選2回戦、本戦1回戦とフルセットの激闘を制した。
2回戦は元世界81位のマイケル・ムモ(27歳=アメリカ)をストレートで退けた。この試合もファーストサービスイン時のポイント獲得率は82%。
試合数を重ねるごとに強さが増していっている印象だ。
7/29 ドイツ/ハーゲン チャレンジャー 75 (クレー) | ||||
回戦 | 対戦相手 | R | スコア | |
1回戦 | ⚫️ | Y・ハンフマン | 150 | 5-7,2-6 |
8/18 ギリシア/ヘルソニソス 4 チャレンジャー 50 (ハード) | ||||
回戦 | 対戦相手 | R | スコア | |
1回戦 | ⚫️ | M・エシャルギ | 191 | 6-4,2-6,4-6 |
8/26-29 スペイン/マナコル ラファ・ナダルオープンチャレンジャー75(ハード) | ||||
回戦 | 対戦相手 | R | スコア | |
1回戦 | ⚪️ | F・チナ | 210 | 6-0,6-0 |
2回戦 | ⚪️ | V・ヴァシュロ | 216 | 6-7(4),6-3,6-4 |
準々決勝 | ⚫️ | E・ブトヴィラス | 249 | 2-6,4-6 |
10/6-11 アメリカ/ソラノチャレンジャー50(ハード) | ||||
回戦 | 対戦相手 | R | スコア | |
予選1回戦 | ⚪️ | FLヴァシウティンスキ | 836 | 6-4,6-1 |
予選2回戦 | ⚪️ | S・ジョンソン | 962 | 6-3,4-6,6-4 |
1回戦 | ⚪️ | A・シャー | 394 | 6-2,3-6,6-2 |
2回戦 | ⚪️ | M・ムモ | 321 | 6-2,7-6(4) |
準々決勝 | ⚪️ | D・ミラフスキー | 358 | 7-6(5),6-0 |
準決勝 | G・ジョンズ | 294 |
8月のマナコル ラファ・ナダルオープンチャレンジャーでフェデリコ・チナ(18歳=イタリア)に6-0,6-0という衝撃のスコアでチャレンジャー初勝利。同大会ではベスト8。
9月には大学の試合に専念し、ITAオールアメリカン選手権のタイトルを獲得。自信と勢いを付けてプロの戦いの場に戻ってきていた。
世界ランク100位アップ
1カ月ぶりのチャレンジャー復帰戦で見事にベスト4、準決勝まで勝ち上がった。
743位だった世界ランクはライブで643位と、イッキに100位アップした。
次の相手は世界294位のギャレット・ジョンズ(24歳=アメリカ)。5試合を戦ってもフィジカル的に元気いっぱいに映るだけに、チャンスは十分ありそうだ。
次週にはリンカーン・チャレンジャー、11月には再び大学の大舞台、NCAA選手権を控えている。
その前にさらなる弾みをつける、チャレンジャー初タイトルまで残り2勝だ。
フレンドのプロフィール | |
選手名 | フレンド・ジェイディラン・ハラ (Jay Dylan Friend) |
生年月日 | 2003年12月22日 東京生まれ 21歳 |
両親 | 父はニュージーランド、母は日本出身で元ジュニア有名選手 |
世界規模 | 家族は世界各地に暮らしており、直近ではシンガポール、現在はバルセロナに住んでいる |
大学 | 2022年秋からアリゾナ大に進学 |
学内成績 | 現在大学4年生でキャプテン、2024ー2025年シーズンはチーム最多のシングルス34勝 |
全米受賞 | 2025年6月には、全米から学業とスポーツ両方に秀でた人物に与えられる「CSC Academic All-America® First Team」に選出。同大男子テニス部初の快挙 |
頭脳明晰 | 頭脳明晰、経営学専攻でGPA3.80 |
人格者 | メキシコの名選手にちなみリーダーシップ、人格ある人物に与えられる「ITAラファエル・オスナ・スポーツマンシップ賞」も受賞 |
日本代表 | 2025年7月、夏季ユニバ(FISUワールドユニバーシティゲームズ)日本代表。シングルス、ミックス、男子団体の3冠を達成 |
CH挑戦 | 2025~2026年のATP Next Gen Acceleratorプログラム(大学に在籍したま、プロのチャレンジャーなどに優先的に出場できる資格)で出場権を獲得済み |
複で優勝 | 2025年7月、M15 アムステルフェーンでダブルス優勝、これが国際プロ大会での初タイトル |
大学 タイトル | 2025年9月、ITAオールアメリカン選手権のタイトルを獲得 |
スタイル | 右利き、両手バック |
目標 | 錦織圭で「史上最高の日本人テニス選手の1人」 |



