田畑遼 全仏Jrベスト８進出

第４シード格上破る

日本男子テニス期待の第13シード、田畑遼(17歳)が６月４日、全仏オープン・ジュニア３回戦に臨み見事6-4,7-6(4)で勝利。自身初のベスト８進出を決めた。

対戦相手はアメリカのJ・ケネディ（17歳）。ITF世界ランク５位の今大会第４シード。過去０勝３敗。直近の３月、バナナボウル（J500 ガスパール）３回戦では0-6,0-6で敗れていたが、見事大舞台で雪辱を果たした。

終始冷静な試合運び

第1セットは第５ゲームで先にブレークに成功し、そのまま6-4で奪取。

第２セットは一転してブレーク合戦となったが、終始落ち着いた試合運びでゲームを重ねていった。お互い４ブレークずつ、田畑は自身のサービスゲーム２度のマッチポイントをモノに出来ず、タイブレークに突入する展開だったが、慌てなかった。

タイブレークでは積極性が復活。

ウィナー級を含め３度の強烈なフォアハンドと、バックのウィナー、デュースサイドのワイドサーブ２本で、粘る相手を振り切ってみせた。

勝ちを意識し過ぎた反省はあったろうが、

逆に、ここ一番でのポテンシャルの高さを見せつける形になった。

ネットプレーも魅力

まだまだ未完成だが、たくさんの魅力が詰まった選手だ。

強烈な逆クロスを中心とした破壊力あふれるフォアハンドストロークが最大の武器。

サービスも、この日のファーストの最速は196キロ。セカンドサーブの平均アベレージは142キロ。

何よりスピンサーブの精度が素晴らしく、17歳にして、すでに完成の域が近いと感じさせる。

確実にピンポイントでコーナーを狙えるから、時折交えるワイドサーブが効く。

ストロークが主体だが、バックのスライスもうまく、ボレーでのタッチセンスも一級品。

この日も大事なポイントでサーブ＆ボレーを見せたり、ソフトタッチのハーフボレーでドロップを決めるなど、随所でネットプレーでの潜在能力の高さをのぞかせた。

ネットでのポイント獲得率は75%。

今大会３戦平均でも76%を誇っている。

今春先から急上昇

田畑は2008年1月6日生まれ、北海道札幌市出身。幼少期を過ごした北海道で６歳から本格的にテニスを開始。仙台で小学校６年間を過ごした後、関東に移り住み埼玉の「むさしの村ローンテニスクラブ」を拠点として成長を遂げてきた。

昨年11月にはジュニア・デビスカップで日本のシングルスNo.1としてベスト４入りに貢献。

今年の春先にはITFジュニアツアーで出場３大会連続優勝。

J300ノンタブリークローズド地域選手権の決勝では元世界１位、レイトン・ヒューイットの息子クルーズ・ヒューイット（オーストラリア＝16歳）を下している。

▶「The Lawn Tennis Association of Thailand」公式動画より

最後には初々しい英語の優勝スピーチ

昨年まで100位台だったITFジュニア世界ランキング も16位まで急上昇。

グランドスラム大会は昨年、今年と全豪オープン・ジュニアに２度出場しているが、いずれも初戦敗退だった。

今大会１回戦で挙げたグランドスラム初勝利以降も、勢いは止まらない快進撃だ。

クレーキング 目指し単複８強

それもそのはず。

ローランギャロスの赤土に対する憧れは人一倍だ。

目標はグランドスラム優勝ではなく「全仏オープンで優勝すること」。

憧れの選手は今大会でも席巻中の王者カルロス・アルカラス（スペイン）。

拠点とする「むさしの村ローンテニスクラブ」がクレーコートで、ラリー展開が長く展開できるサーフェスを得意としている。

夢達成の足がかりとして、全仏オープンジュニア制覇に対する意気込みは誰よりも強い。

シングルス４強入りをかけた、準々決勝の相手はA・ヴァシレフ(18歳＝ブルガリア)。クレーを得意とする世界14位の選手だ。

Y・T・アレクサンドレスコウ(ルーマニア)と組むダブルスでも、ベスト８入りしており、すでに単複８強。ともにシングルス準々決勝を勝ち上がれば、このパートナーと準決勝で顔を合わせる可能性もある。

近い将来のクレーキングを目指すためにも、まだまだ負けられない戦いが続く。

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スポーツ紙勤務30年で退職した元野球記者、データコラムニスト
大学時代は関西１部リーグ庭球部所属もボーラー、ベンチコーチの方が多かった
数字でテニスを深堀り！時々ただの観戦記。わかりやすくテニスの魅力が伝わればと
ATP、ＷTAの公式データを参考にさせていただいています。
U-NEXT、WTAのテニス配信も利用させていただいています。